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2006年2月14日 (火)

Sound Box

5a3 レコードに刻まれた音溝を針がなぞり、その振幅をジュラルミン製の振動板に傳へると音が出ます。これが蓄音機の基本構造で實に單純ですが、心に響く温かい音がするから不思議です。


Sdbx 針を支へ、振動板とその枠の部分が心臓部に當たり、これを「サウンド・ボックス」と申します。電氣録音以前は、振動板が雲母板(マイカ)で大音響は無理でした。各社それぞれ工夫を凝らし、特許を取得して、我社が一番だと競ひ合つたものです。骨董市で見附けた二束三文のぼろぼろ蓄音機に、もしも素晴らしいサウンド・ボックスが装着できれば(大抵口徑が違ふ爲合ひません)、それだけで夢見心地となることでせう。

Expart アクースティックな蓄音機の最高峰とも呼ばれる、ホーンの口徑が75糎にもなる巨大且つ偉容を誇るEMジン社の蓄音機の爲に開發された、エクスパート社のサウンドボックスは全く違ふ構造をしてゐます。アルミニウムの振動板を真鍮の重たい枠が支へ、竹針を使ひ、とても素晴らしい再現力があり、これはこれでHMVとは全く違ふ別世界へと扉を開いてくれます。

5a6 このサウンド・ボックスを替へることにより同じ曲を掛けても、全く違ふ印象を受けます。英國グラモフォン社のサウンド・ボックスは規格統一され同軸のアームに取り附けられますので、この金メッキの5Aだけでなく、雲母板の4番や、携帶用蓄音機HMV102用に開發された5Bでも聽くことができます。4番は歌や提琴に向く反面、管絃樂では威力が發揮できません。5Bですと、中音域がガンガンと鳴りすぎる爲、クラシックよりは流行歌或ひはジャズ向きな氣がします。併し、5Aは元々この蓄音機の爲に開發されただけあつて、曲を選ばず、伸びやかに隅々まで再現してくれる優れものです。

 良い音を求めやうとする人間の飽くなき挑戰は、音色の再現にも氣を使ひ、然もSP盤をできるだけ傷めない針の開發を即したのでした。明日は針のお話しです。

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