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2006年3月13日 (月)

銀色

 映畫「ヒンデンブルク」が飛行船好きになる切掛だとお話しました。1930年代に大勢を運べる最速の乘り物であつたにも拘はらず、1937(昭和12)年の事故以降旅客に用ひられず幻と化したこと、そこに、ヴィスコンティにも通じる滅びの美學も見出してしまひます。併しそれだけでなく、空飛ぶ優雅な旅行そのものに夢を感じ、また單純にキラキラ輝くあの「銀色」が未來を感じさせてくれるのです。

 輕い金屬と云へばアルミニウムであり、丈夫な合金はジュラルミンでしたから飛行船だけでなく、飛行機の機體も銀色に輝いてゐたものです。1897(明治30)年にツェッペリンに先驅けて、墺地利のシュヴァルツの理論に基づくガソリン内燃機關(エンヂン)附きのアルミニウム製飛行船の實驗が行はれ、1929(昭和4)年には加利福尼亞(カリフォルニア、略して加州)で全金屬、蒸氣機關による飛行船も試運轉されたり、銀色の飛行船は常に飛んでゐました。

 銀色をしたツェッペリンの飛行船と云へば1928(昭和3)年に初飛行した「ツェッペリン伯號」と1936(昭和11)年に北大西洋横斷飛行に就航した「ヒンデンブルク號」が有名です。「空飛ぶホテル」と讃えられる豪華な室内も當時話題でした。英國の「R100號」や「R101號」、亞米利加「アクロン號」や「ロス・アンゼルス號」も皆銀色です。

 それに、初期の宇宙飛行士の宇宙服も銀色でしたし、特撮テレビ番組「ウルトラマン」も銀色で、最先端技術だとか、宇宙を感じさせるものは悉く皆銀色をしてゐました。

 1968(昭和43)年から日本の空を飛んでゐた「日立キドカラー號」や、1973(昭和48)年に飛んだ岡本太郎デザインの「レインボー號」や、1988(昭和63)年に麦酒の宣傳の爲の「アサヒスーパードライ號」だとか、これまた皆船體は銀色でした。

 勿論、光を吸収して熱を持たないやうに反射効率の良く、雨を彈くものが飛行船の船體にはよく、銀色がその答へでした。月面に降り立つたアポロ11號(1969年)の頃から宇宙服も白いやうに、現在の飛行船「ツェッペリンNT」は帆布を銀色に塗装したものでなく、白くて丈夫な合成繊維です。銀色の帆布を持つ1930年代のツェッペリン飛行船ですと、銀色塗装だけでは雨に遭ふと外皮が水を吸つてしまひ、重たくなつて航行に影響がありました。

 おもちゃではありますが、ちゃんとヘリウムで飛ぶ室内用ラヂオ操作の飛行船「スカイ・シップ」が賣られてゐます。これであなたも「銀色」の虜になること請け合ひです。



飛行船―空飛ぶ夢のカタチ


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飛行船―空飛ぶ夢のカタチ


著者:天沼 春樹

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