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2006年4月 4日 (火)

グレイト

Schubert 年代的に見ると、ベートーヴェンの次に交響曲を9曲書いたのは、フランツ・シューベルトになります。以前は7番と呼ばれてゐましたが、これはロ短調の「未完成」が發見される前に初演された爲です。現在では國際シューベルト學會の提唱により「8番」とされることも多いのですが、どうも最初に覺へた「9番」が自分には一番しっくり來ます。

 この交響曲第9番ハ長調 D944は、當時の交響曲の概念を越える演奏時間の長さ、規模の大きさから、1838(天保9)年に自筆譜面を發見したシューマンをして「天國的な長さ」と稱され、第6番ハ長調と區別する爲、こちらを〈大交響曲(Die grosse Sinfonie)〉と呼んだものが、英語でThe greatとなり、日本では〈グレイト〉の名で通つてゐます。
 1825(文政8)年の夏から書き始められ、シューベルトの亡くなる年の28(文政11)年3月には書き終へたやうですが、生前に發表されることなく遺品のひとつとして、實兄フェルディナントの家にほったらかしにされてゐました。それをシューマンが發見し、1838(天保9)年3月21日にメンデルスゾーンの指揮により少し短縮して初演され、今では後のブルックナーを豫感させる廣がりを感じさせる爲、人氣があります。

 第一樂章はのんびり牧歌的に始まり、樂しげでわくわくし、三部形式の第二樂章は絃樂器の刻みの上に現れるオーボエの旋律が美しく、第三樂章では絃樂器の刻みが細かく増え、その上に生き生きとした木管が旋律を奏で揺れ動きます。終樂章は階段を力強く登るやうな力と沸き上がる推進力により、前へ前へと輝かしく前進して頂點を迎へて健康的に終はります。作曲の技倆的にはもう少し推敲も必要でしたでせうが、この盛り上がりがいいですね。

Gross フルトヴェングラー晩年の1951年11月27,28日、伯林フィルと共に伯林のイエス基督教會で録音されたものが、SP盤(Deutsche Grammophon LVM72153/56)にあります。併し、これはLP發賣を控えた時代で從來のSP盤よりもLP並に溝が細く片面で10分程、凡そ倍は録音が可能なヴァリアブル・マイクログレード(Vaeiable Micrograde 78)に入れられてゐて、通常の蓄音機では掛かりません。無理に掛けるとすれば、鐵針ではなく、タングステン針や長時間針を使はないとレコード盤を傷附けるだけで終はつてしまひますので、電氣再生に適してゐます。これは、その上正規録音ですから、理性的で落ち着いてゐますが、本番の演奏會ならきっとオケを煽つてさぞかし盛り上がつたことでせう。

 實況録音で擧げるとすれば、カール・ベーム指揮、ドレスデン國立歌劇場管絃樂團との〈グレート〉でせう。1970年代後半、日本では絶大な人氣を誇つたベームもやや忘れられた存在になつて來ました。派手なカラヤンに對する對抗馬として獨逸系の中で年長のベームが押し出されたのかも知れません。私はベームの生演奏を聽きそびれた爲、ベームのLPを集め、彼のレパートリーと共に自分の好みの曲も廣がりました。




シューベルト : 交響曲 第9番 ハ長調 D.944「ザ・グレート」


Music

シューベルト : 交響曲 第9番 ハ長調 D.944「ザ・グレート」


アーティスト:ドレスデン国立管弦楽団

販売元:ユニバーサルクラシック

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