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2006年4月19日 (水)

ブラ2

 悲壮感漂ふブラームスの交響曲第1番に比べると、2番は力まずに書いた所爲か、明るく伸び伸びしたところがあります。冒頭からして、ホルンの獨奏はおおらかで牧歌的です。そして迎へる第二樂章が〈アダージオ・ノン・トロッポ〉、「緩やかに、度を超さずに」と云ふ速度指定が附いてゐます。

 物憂げな感じでチェロが歌ひ出し、寂しさが滲み出ます。そして木管旋律が對するやうに響き、息の長いホルンの膨らみ、絃樂器の優しさが加はります。二つのアレグレットの明るさに挟まれた、一時の陰りなのですねえ。この沈みがないと變化が附くことで、陰鬱な北獨逸の冬を私は思ひ出します。いつも曇りがちで、禿げた木々の寒々しさが、一段と零下の氣温を思はせ、遠くの家屋から立ち上る練炭の匂ひ、やるせない感じがすぐに浮かびます。

 學生時代にやりましたが、私は降り番でしたから、袖口で総譜を見乍ら聽きました。練習に比べて、本番のノリは良過ぎて、滑つた獨奏もゐましたが、學生らしく、若々しさに溢れた演奏でした。勢ひだけで押したとも云はれるかも知れませんが、仲間としては良い思ひ出です。

 私はブルックナーの7番2樂章なら單獨で聽いても何ら問題ないのですが、このブラームスの2番の第2樂章の場合は、このまま終はるにはちと辛いです。第3樂章で生氣を取り戻すことが判つてゐるからこそ、安心して聽けるのであつて、後がないとどうも居心地が惡いですね。

 SP盤では、またまたフルトヴェングラーですが、伯林でもなく、維納でもなく、倫敦フィルを振つたものですDecca AK1875/79。山崎浩太郎さんの名譯『レコードはまっすぐに』によるとプロデゥーサー、カルーショーの意に添はない録音でした。通常と違ふマイクロフォンの數と位置に苛ついたフルトヴェングラーがみんな取り去つてしまつた爲にデッカ社らしい音ではないと半ば嘆いてゐるものです。どうして、どうして蓄音機で聽く分には、そんな感じはせず、幾分響きが少なく演奏會場ではなく、スタジオの雰圍氣が傳はるものの、十分樂しめます。

 CDでは、小澤征爾指揮、齋藤記念オーケストラが、なかなか重厚な音がして宜しい。設立當初は松本まで追つ掛けたこともあるオケです。盛り上がるところで溜めないのが小澤さんが好きになれない原因ですが、そんなことを感じさせない流れがあります。



ブラームス : 交響曲 第2番 ニ長調 作品73


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ブラームス : 交響曲 第2番 ニ長調 作品73


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レコードはまっすぐに―あるプロデューサーの回想


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