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2006年4月10日 (月)

巴里オペラ座

 迷信と云へば、劇場に棲む怪人を扱つた《オペラ座の怪人》の映畫が昨年注目されました。もとはガストン・ルルーの怪奇小説『Le Fantome de l'Opera』(1910年發行)ですが、アンドリュー・ロイド・ウェーバーのミュージカル(1986年初演)でまた有名となり、このミュージカルをジョエル・シュマッカー監督が映畫化したものでした。
 舞臺となる巴里の「オペラ座」は地下水が湧き出る岩盤の上に建てられてゐる爲、奈落の下、基礎部分は貯水槽が在ると云はれてゐます。それ故、其処に怪人棲むと云ふ傳説が生まれました。以前、テレビ番組の中で小澤征爾さんが其処を訪ねる場面を見たことがありますが、ほんたうに真っ暗闇に靜かに水が溜まつてゐました。

Garnier オスマン男爵の巴里改造計畫の一環として、設計公募が廣く行はれ171人の應募者の中で、まだ無名の若干35歳シャルル・ガルニエの作が選ばれ、當時非常に驚かれました。かう云ふところは日本も見習ふべきでせうねえ。新宿都廳も丹下健三さんのやうな高度成長期に活躍した有名人起用に拘る必要はなかつたのではないでせうか。垂直指向の背の高い威壓的な建物ではなくて、もっとどっしりとした風水的にも安定したものが選ばれるべきでした。
 話しは戻つて、「オペラ・ガルニエ」は1860(万延元)年から工事が始められましたが、地下水が湧き出た爲、工事は難航し15年の歳月を掛けてやつと完成し、1964(昭和39)年になつて客席天井にシャガールの絵畫「夢の花束」が描かれました。天井から吊るされてゐるスワロフスキー製のシャンデリアは重さ8噸(トン)もあり、豪華さの極みです。

 1989(平成元)年に、バスティーユに「新オペラ座(Opera Bastille)」が完成した爲、現在こちらではバレヱが中心ですが、上演は續けられてゐます。それ故、バスチーユと區別する爲、今では「ガルニエ宮(Palais Garnier)」と呼ばれてゐます。もしも、巴里に行く機會があれば、是非お訪ね下さい。現在、6ユーロ程度で日中見學できます。
 私は1988(昭和63)年にフランクフルト・アム・マインから電車で7時間揺られて、巴里在住でした友人宅に泊めて貰ひ、見に行きました。ご存じの通り、巴里地下鐵驛「オペラ」から階段を上がると正面に鎮座まします。丁度、バレヱの稽古か豫行演習(リハーサル)でしたから、客席内まで入れませんでしたが、二階席の扉窓から舞臺がちらり覗けました。また、2階テラスで珈琲を飲んで、正面の硝子戸を開けて寫眞を撮つてゐたら、「そこは危ないから空けないで下さい。」とやんわり言はれてしまひました。

 此処でまづ驚かされるのは、入つてすぐの正面大階段(グラン・エスカリエ)でせう。ガルニエ本人も此処で歌つて貰つたら、大理石に反響し、さぞかしいいだらうと述べてをり、寶塚の少女歌劇團の舞臺のやうな感じです。曲線が美しく、白大理石の滑らかな階段、高さ30米(メートル)の吹き抜け、丸天井、青銅(ブロンズ)女神像の灯り… 大道具は揃ひ、ゆっくり上がる紳士淑女の氣持ちが高まる設計です。優雅で豪華な空間は巴里ならではのものでせう。

 今週は歌劇場探索致しませう。

巴里オペラ座




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