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2006年6月21日 (水)

遊覧飛行

 アルミニウムと云ふ丈夫で輕い金屬の枠組みの中に風船を入れ、それにゴンドラを提げて飛ぶ、硬式飛行船LZ1は1900(明治33)年にフェルディナント・ツェッペリン伯爵が私財を投げ賣つてやつと成功しました。根っからの軍人であつた伯爵は軍事利用を考へてはいたものの海軍から註文も入らず、郵便と客船として飛行船事業を考へざるを得ませんでした。そこで世界初の航空會社「獨逸飛行船運輸會社(DELAG = Deutsche Luftschifffahrts-Aktiengesellschaft)」が1910(明治43)年に設立されてゐます。

 まづ、LZ7「獨逸號」が就航しますがエンジン故障で事故を起こしますが、「獨逸二世號」は30回もの國内遊覧飛行を行つてゐます。狭いゴンドラ内には向かひ合はせになつた籐椅子が並び、輕食も頂けました。LZ10「シュヴァーベン號」はバーデン、ゴータ、伯林、ポツダム、フランクフルトを巡回し安全で快適な飛行を見せ附けてゐます。1912(大正元)、13(大正2)年の2年間に250回の飛行はめざましい進歩でした。

Schwaben そこで何が出されたかが氣になります。アルベルト・ザムト元船長の自傳『飛行船に尽くした私の人生(Mein Leben fuer den Zeppelin)』 Verlag Pestalozzi Kinderdorf Wahlwies に「シュヴァーベン號」の色刷の美しい献立表が載つてゐます。それを見ると、キャビア・ベルーガ、ストラスブール産フォア・グラのパテ、佛蘭西産肥育鶏、サラダ、ピーチ・メルバが載つてゐます。ボトルワインは6種類、それに食後酒とミネラルウォーターもあります。調理場はありませんので、地上で皿盛りにしたものを幾つか載せたのでせう。暖かい料理はないにしても、現在の遊覧船も似たやうなものです。獨逸の觀光船でライン下りをした際に見た献立よりも高價な食材です。それは、誰もが乘船できなかつたことを意味し、富裕層を狙つたからです。それをきちんと最初から商賣にしてゐて、黒字經營であつたのも立派なことです、ワイングラス片手にキャビアやフォア・グラなんて、さぞかし美味かつたことでせう。

Nt_1 現在、南獨逸のフリードリヒスハーフェンを基點としてツェッペリンNT號が遊覧飛行をしてゐますが、こちらは12人乘りで食事はありません。戻るとゼクトで乾杯は致します。日本にも同じ型の飛行船が廣告にのみ使はれてゐますが、2003(平成15)年に乘つた時、確か335ユーロでしたので凡そ1時間の遊覧飛行で5萬圓と決して安くはありません。併し、それだけ拂っただけのことはあります!のんびりとボーデン湖の上を飛ぶのは非常に氣持ちいいものです。ただ、「窓や窓枠もプラスチックなので手を掛けないで下さい」との注意放送には吃驚しました。「確實に落ちます」なんてはっきり言はれると、自己責任の國なのだなあと思ひました。それ故、日本では遊覧飛行に使はないのでせうか。

ボーデン湖遊覧飛行

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