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2006年6月28日 (水)

ミュシャ

Gismonda モラヴィア出身のアルフォンス・ミュシャ(1860 - 1939)はアール・ヌーヴォーを代表する畫家でせう。幾何學模様と草木装飾過剰な背景に美しい女性が全面に立つ多くのポスターや挿繪は何処かで見たことがある筈です。優雅な歐州への憧れを強調し、サラ・ベルナール(1844 – 1923)の舞臺ポスターや自轉車や煙草の宣傳等、商品を賣ることが主としても多色刷りの石版畫は夢を多く語ります。

 舞臺女優サラ・ベルナールは當初喜劇と道化芝居ばかりでしたが、1880年代にまづ巴里で名聲を勝ち取り、全歐州、亞米利加へと舞臺を廣げました。1894(明治27)年の年の瀬に、まだ正月公演の宣傳廣告が決まつてゐませんでした。殆どの畫家が基督降誕祭休暇の爲居らず、ようやく見附けたルメルシエと云ふ印刷所で働いてゐたまだ無名の挿繪畫家ミュシャにポスターを依頼します。ひとり殘つてゐたミュシャでさへも、それまでポスターは描いたことはありませんでした。何とか納期に間に合ひ短期間に仕上げられたこの作品は、元旦から街中に貼られ、4日からの公演も大成功に終はります。ベルナールが特に氣に入つたのは言ふまでもなく、以降幾度も依頼するやうになり、この一枚「ジスモンダ」がミュシャを巴里中に知られる賣れッ子ポスター畫家に押上げたのですね。アール・ヌーヴォーと云へば、まづミュシャが思ひ浮かぶ程です。

 ベネディクティンやモエ・エ・シャンドン・ホワイト・スター・シャムパーニュ、リィナール・シャムパーニュ等食後酒や發泡酒を飲むだけで女性が輝いて見えるポスターも素敵です。歐州の街中に在る廣告塔に貼ることが前提だとは思ひますが、通常のA版サイズより縦長で、日本の掛け軸を彷彿とさせます。細かな装飾に微妙な淡い色遣ひ、人物は大膽に描寫したところにも、浮世繪を感じさせます。

Ames 1983(昭和58)年のヘンデルの《救世主(メサイア)》の公演にこのデザインを拝借して描いたことがあります。細いペン畫故迫力に欠け、一色刷りなので随分頑張つたのですが、今見ると稚拙な技術にがっかりします。

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コメント

ミュシャの絵の独特の雰囲気はいいですね。
ご謙遜されていますが、gramophonさんの絵のお上手なのに驚きました。

投稿: Tiberius Felix | 2006年6月28日 (水) 21時27分

當時は開けても暮れてもミュシャの繪ばかり眺めてゐました。
過分な褒め言葉ありがたうございます。昔は繪が好きで、繪ばかり描いてゐたものです。教科書の餘白とかに(笑)。

投稿: gramophon | 2006年6月29日 (木) 10時24分

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