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2006年7月31日 (月)

LZ129

129cnst5 先週の「ヒンデンブルク號の料理」再現で折角調べたので、今週はそれをお傳へしませう。
 
 國家社會主義獨逸勞働者黨(ナチス)政府援助の下、1935(昭和10)年末に、超大型硬式飛行船「ヒンデンブルク號」は完成しました。不燃性のヘリウム瓦斯を使ふことを念頭とした爲、「ツェッペリン伯號」より10米長い全長245米、最大直徑も10米長い41.2米、瓦斯容量はほぼ2倍の20萬立方米、巡航速度は時速125粁、積載量60噸、6日間は燃料補給なしで滯空できる最新の設備が整つた夢の飛行船でした。

Piano ツェッペリンの飛行船は全て「硬式飛行船」故、輕金屬アルミニウム材で強固な船體を造り、薄い氣嚢(瓦斯袋)が内部に入つてゐます。船體内部は一六の部分に分けられ、各區畫に一つの氣嚢がありますので、16の風船で飛行船を持ち上げる形です。當時、唯一のヘリウム産出國亞米利加は軍事利用を恐れて輸出を許可せず、水素瓦斯を使ふことになりました。それ故、浮力が増したのでブリュットナー社製のアルミ合金に淡い黄色の羊革を張られた「グランド・ピアノ」がサロンに設置されました。

Hbdeck 「ツェ伯號」ではゴンドラ内部に操舵室と客室が在りましたが、大容量となつたお陰で、「ヒンデンブルク號」では客室は船體下部に組み込まれました。船客は折り疊み式の階段を上がると下部のBデッキへ出ます。
 左舷にはシャワー室、乘務員食堂、厨房があり中央通路を挟んだ右舷にはお手洗ひ、事務長室とバーが在り、その奥には喫煙室が設けられてゐました。先程の階段をもう一階上がるとそこがAデッキで、船名の元となつたパウル・フォン・ヒンデンブルク大統領の頭像が迎へてくれます。

Hraum1 中央部に客室が25部屋、折り疊み式二段ベット、熱いお湯も出る洗面臺、机、椅子、戸棚まで在ります。左舷には食堂、右舷は奥に仕切られた圖書と書物室、手前はサロンとなり、長さ14米、幅4米の展望プロムナードでは長椅子も設置されて、ゆっくりと移り變はる地上250米の景色を眺めることができます。
 それまでの「ツェ伯號」南米航路は片道3000弗もしたのに對し、「ヒンデンブルク號」は大型化した爲400弗と破格な運賃も魅力で、百萬長者でなくても一般客でも手の届く乘り物となつてゐました。
 當時の北米航路の客船は凡そ一週間掛かり、この年に英豪華客船「クイーン・メリー號」が出した新記録でも亞米利加まで4日と27分でしたが、「ヒンデンブルク號」は通常2日、最大でも3日で紐育へ着きました。
 「一睡もしなくていいので、サロンに乘せてくれ」と云ふ客の要望もあり、この年の冬には客室が増設され70人収容できるやうになりました。
Hadeck

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