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2006年7月 6日 (木)

レーベル

Thmv 同じ録音であつても、金型原盤(スタンパー)が送られた國により表記が變はつて來ます。まづは登録商標名が各國に翻譯されて違ひます。犬印の「主人の聲」は本家英國では「His Master's Voice」ですが、お隣り佛蘭西では「la Voix de son Maitre」に、獨逸では「die Stimme seinen Herrn」に、伊太利では「la Voce del Padrone」に、亞米利加では姉妹會社の「Victor」となります。日本は亞米利加の流れを汲んでゐる爲、「日本ビクター」となるのですね。

Telect それだけでなく、佛蘭西盤には「Disquue "Gramophone"」があり、獨逸録音盤は「Schallplatte "Grammophon"」や後に獨逸には「Electrola」ができたりし、更に統廢合が加はり判り辛いのですが、基本的に生産された國の言葉で書かれてゐるので、何処産かは判ります。

 今日、お見せするレコードは全て同じフルトヴェングラー指揮、伯林フィルによるワーグナーの樂劇《トリスタンとイゾルデ》より〈愛の死〉最終面、レコード番號DB3420、マトリックス番號は2RA2660-2です。1938(昭和13)年2月11日に録音されたこの銘盤は、獨逸録音ですので雛型となるマスターは「エレクトローラ社」にあり、そのスタンパーが各國に送られました。

Trcav 亞米利加では國際企畫番號DBを使用せず、ヴィクター社獨自の番號を使ひ、このレコード番號は18034、2枚組故セット番號DM653と云ふのも書かれてゐます(これだけ畫像は前半部分)。所謂赤盤(レッド・シール)と呼ばれるもので、一般の流行歌の黒レーベルよりも豪華に仕上げ、高く賣られました。歐州盤は犬印が多色刷りのとても綺麗なものですが、音ではヴィクターの方が柔らかく感じます。スタンパーの違ひだけでなく、プレスの微妙な力加減もあるのか、同じ録音でもレコード生産國によりかなり差があることに最近氣附きました。勿論、新品SP盤が手に入らない以上は全て中古品で、前の持ち主の使用頻度により程度に差がかなりあるので、一概には申せませんが、大きな音や膨らみ、奥行きに関しては斷然獨逸盤がよく、減り張りのある英國盤、柔らかい米國盤、そして戰後プレスになるとずっと立體感が減つてしまひます。

Tfrance この最後のは戰後プレスの佛蘭西盤で、非常にピカピカと艶のある素晴らしい状態のレコード盤にも拘はらず、音は一番貧弱なのです。
 たまたま、先月のレコード・コンサート『戰中のフルトヴェングラー』を聽くで、録音に失敗し幾度か掛け直した爲、結果として聽き比べることとなり、同じ録音でもこんなに違ふのか、と音に大きな差があることに初めて氣附いたばかりでした。只、手に入ればいいと思つてた筈が、好きな曲になると普段掛けるもの、豫備、蒐集用と欲しくなり、この《トリスタン》に至つては5組も揃へてしまつた譯です。も一組は戰後プレスのHMV盤故、犬印がこの佛蘭西盤と同じく單色となつてゐます。蒐集莫迦も極まりと云ふ感じでせうか。

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