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2006年8月 2日 (水)

優雅な食事

Hdining1 1911(明治44)年の「シュヴァーベン號」にはキャビアやフォア・グラのテリーヌのやうな冷製食材やシャムパーニュが積まれてをり、1928(昭和3)年の「ツェ伯號」には温かい料理を調理する爲の厨房と専任コックが配置され、快適な空の旅を演出する重要な要素として食事が扱はれてゐました。

 更に「ヒンデンブルク號」ではオーヴンの數も増え、毎朝焼きたてのロールパンが供され、晝食にはスープまたは前菜、肉料理、デザートの三皿が出され、夕食にはスープ、前菜または魚料理、肉料理、チーズ(デザートなし)を樂しむことができました。

Hbsp2_1 淡い乳白色の厚紙で、開くと毎日、船内でタイプ打ちされた晝食と夕食が一頁に印刷されてゐます。1936(昭和11)年8月21日のオリヂナル献立表の晝食はコンソメ 細切りパンケーキの浮實、印度風チキン カレー味に御飯、豌豆添へ、苺 生クリーム添へ、珈琲。夕食はオクラのスープ、瑞典(スウェーデン)風玉子パン、ポーターハウス・ステーキ、シュヴェッツィンガー産ホワイトアスパラガス、馬鈴薯、アリーセ風サラダ、チーズの盛り合はせとなつてゐます。初めこの料理を再現するつもりでしたが、ポーターハウス・ステーキ(Tボーンステーキ)の材料、牛の背骨附肉がBSE(牛海綿状腦症)により手に入らず諦めたことは以前お傳へしました。

Hdining2 飲物は別紙に有り、ワインは11種、獨逸のモーゼルやラインの白ワイン9種、ボルドーとブルゴーニュの赤ワイン各一種、獨逸發泡酒(ゼクト)が4種、ミネラルウォーターも3種あり、それぞれ瓶の註文となりました。他に辛口シェリーにポートワイン、ヴェルモット酒、他にスコッチ・ウヰスキー、ブランデー、ラム、キルシュヴァッサー、ベネディクティンの強い酒もグラスで用意され、亞米利加で流行してゐる最新のカクテル、マティーニやマンハッタンも出されました。

 Bデッキのバーへ行けば直接カクテルの註文もでき、こちらにはまた専用のメニューがありました。バー奥の回轉式二重扉の向かうの喫煙室(右圖)で煙草が吸へるのも今までの火氣嚴禁の飛行船と大きな違ひです。但し、有事にはこの喫煙室だけ落下させる仕組みになつてゐたことをお客は知りません。

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コメント

〉但し、有事にはこの喫煙室だけ落下させる仕組みになつてゐたことをお客は知りません。

ひどい話ですね。今の感覚ではリスクの事前説明なくしては自己責任とはいえないと思いますが、実際に喫煙中の乗客が喫煙室ごと放り出されたことはあるのでしょうか。

投稿: Tiberius Felix | 2006年8月 2日 (水) 22時51分

 設計圖を持つてゐる知人から最近聞いた話しなので、實は乘組員も知らなかつた可能性もあります。それ故、放り出された事實もありません。

投稿: gramophon | 2006年8月16日 (水) 16時43分

そうだったのですか。
しかし、乗組員も知らなければ有事の際には切り離せませんね。仏作って魂入れず、といったところでしょうか。

投稿: Tiberius Felix | 2006年8月25日 (金) 22時34分

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