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2006年9月28日 (木)

キャビネット

Cab1 大事なSP盤は文字通りお藏入りです。人類の遺産であり、私は後世への橋渡しに過ぎないのですから、滅多なことでは掛けません。藏なんて云ふと「さぞかしどでかい土藏」を思ひ浮かべて貰つては困るのですが、ベルランの個室にひっそり2つキャビネットが置いてあります。此処に入れたものは、稀少價値の高い、或ひは思ひ入れたっぷりな盤ばかりです。1つは1920年代後半から30年代前半に造られたであらう、5型(Filing Cabinets Model 5)、製造番號37です。100枚入りで、一枚毎仕切られ、下のボタンを押すと、するりと棒が立ち上がり、レコードがするすると下りて來る優れものです。マホガニー製で、表扉の意匠が203型蓄音機(HMV Model203)と同じになつてをり、並べて置いても遜色ない氣配りです。最初手にした時はかなりガタ附いて、塗装も酷い状態でしたから、八王子の西洋古道具「ガスリーズ・ハウス」さんにお願ひして、綺麗にして貰ひました。此処は、昨年194型に落書きされた際に治して貰つたところです。

Cab2 もう一棹(箪笥と同じやうに「サオ」と數へるのでせうか)は少し時代は下つて1930年代後半以降のもので、こちらはアルバム對應となつて、400枚入ります。觀音扉なのは同じですが、素材、意匠随分と簡略化されて、ちゃちく感じます。こちらは蟲喰ひがあつた爲、側板を張り替へたり、「ガスリーズ・ハウス」さんで大手術でしたが、無事に退院して現役續行してゐます。フルヴェンものが一番多く、クナの小品の數々、ワルターのマーラーの交響曲、カザルスの無伴奏全曲等代え難いものものばかりです。お見せすると、安直に「聞かせろ」と宣(のたま)ふ客人が多いのですが、SP盤は針で削られる爲、一期一會で音が違ひますし、無闇に矢鱈と掛けては盤の價値が下がるばかり。後世の人に申し譯ないので掛けません。ご理解下さい。

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