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2006年10月24日 (火)

映畫博物館

Dh000034 トリノで一番目立つ「モーレ・アントネッリアーナ(Mole Antonelliana)」は167米の高さを誇る、トリノを象徴的する尖塔です。1863(文久3)年着工當初は猶太教のシナゴークの筈でしたが、資金難から頓挫し、完成前にトリノ市に譲渡されて1889(明治22)年に完成しました。そして何に使はれてゐたかは知りませんが、2000(平成12)年に改装されて、映畫博物館(Museo nazionale del cinema)に生まれ變はり、歐州一の集客力を誇る映畫博物館になりました。

 映畫好きとしては、トリノの自由時間にまづ此処を目指し、ストライキで止まった市電やバスを横目にテクテク歩きです。今年はモオツァルトの年でもありますが、ルキノ・ヴィスコンティ監督生誕100周年記念でもあり、大きな垂れ幕が特別展示を知らせてゐます。
 入り口で展望臺昇降機と博物館共通切符を買ひ、地上階から真っ先に高い所へ昇ります。この昇降機は硝子張りで然も外側に囲ひがなく、只太い起重機用針金(ワイヤー)に引ッ張られるだけなので、支柱のない圓蓋(ドーム)部分の真ん中をスイーっと上がつて行く、とても恐ろしいものです。よく云へば、意匠(デザイン)が非常に近代的(モダン)で、フリッツ・ラング監督映畫《メトロポリス》をふと思ひ出させるやうな感じです。上に昇ると、煉瓦色の屋根が連なる市内や王宮、ポー河から遠くの山々まで見渡せて氣持ちのいいものです。

Dh000033 そして、一旦下へ下りて階段を上がると、先程昇降機が突き抜けた圓蓋部分が大廣間となつてをり、そこで寝椅子に横になり乍ら名畫の數場面が見られます。お疲れの方は此処でずっと横になり、半分居眠りして鋭氣を養つてゐました。映畫封切り當時のポスターが壓巻で、《雨月物語》、《羅生門》等ヴェネチア國際映畫祭で授賞した日本作品や《俘虜(邦題:戰場のメリー・クリスマス)》、北野武作品のポスターも有りました。それが、伊太利語なので雰圍氣が全然違ひます。《スター・ウォーズ》にしても、ハリウッド映畫に見えて來ません。随所に工夫が凝らされ、飽きず、全體として伊太利映畫の良さを感じて欲しいと云ふ制作側の意圖も傳はつて來ます。

Dh000031 順繰り見られるやうに大きな螺旋のカーブが巡らされ、そこが丁度ヴィスコンティ回顧展になつてをり、名場面の大きな寫眞(スチール)が年代順に飾られてゐます。初期の白黒映畫には見てゐないものもありますが、原題と邦題が違ふものには一瞬戸惑つたり、初めて見る撮影風景畫や、よく知る1齣(コマ)等に感心し、こちらの記憶を辿る作業も樂しく、お勸めです。
 日本でも11月初めまで代表作《山猫》《ルートヴィヒ》《イノセント》が新宿のテアトル・タイムズスクエアで上映されてゐます。186分、240分、129分の長いものですから、通し狂言ではないので、一日で全部見ようと思はないで下さい。

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