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2006年10月16日 (月)

人形淨瑠璃

 無事に伊太利から歸國し、本日より復歸。食べ過ぎ、飲み過ぎで太りました。そのうちに寫眞も整理して、ご報告致します。

 さて、9月の國立劇場小ホールでは、人形淨瑠璃「文樂」、通し狂言《假名手本忠臣藏》が上演されました。だいぶ前に觀た時は朝から晩まで、文字通り通しで座つたので、疲勞困憊、苦行に近く、後半は集中力にも欠け、見終へた充實感だけが殘りました。日本版《ニーベルングの指環》みたいな感じです。きっと、昔は辨當持參で、食べ乍ら、飲み乍ら、相撲の枡席のやうな、至つてのんびりとした鑑賞方法であつたことでせう。谷崎潤一郎の『蓼喰う蟲』にはセックスレス夫婦の主人公が妻の父と、その若い愛人と一緒に淡路嶋に文樂を見に行く情景が細かく描いてありますが、上演中に食べる愛人の作るお辨當や食べさせ方の描寫が妙に氣に掛かりました。

 さて、今回は國立劇場開場40周年記念の一環のひとつで上演され、前後つ2つに分けるのではなく、3部構成にした爲、朝・晝・晩と分けたのに合はせて、3日に分けてじっくり觀ることができました。

 粗筋はどなたもご存知の通り、主君の仇討ちを遂げる47士の物語です。討ち入りのあつた1702(元禄15)年12月14日から、47年後にそれまでに演じられた淨瑠璃、歌舞伎、芝居等から趣向や名場面を取り入れ、云はば義士ものの集大成として上演されたのが、この《假名手本忠臣藏》です。勿論、生々しい事件を直接扱ふのがまだ憚られる時代でしたから、時代を元禄から室町時代に移し、舞臺も江戸から鎌倉にして、淺野内匠頭を鹽谷判官(エンヤ ハングワン)、吉良上野介を高師直(カウノモロナホ)、大石内藏助を大星由良助(オオボシ ユラノスケ)としてゐます。併し、誰が見ても元の事件が偲ばれます。歌劇でもヴェルディの《假面舞踏會》は、17世紀に瑞典(スウェーデン)國王グスタフ3世暗殺事件を扱つてゐますが、こちらも矢張り物語りを亞米利加のボストンに移して上演されてゐますね。

 意地惡、刃傷事件、切腹と急展開を見せる第1部、おかると勘平の悲話(第2部)、そして心理劇(義と情の對立)に仇討ち本懐までの第3部とまとまりもよく、ふと日本人でよかったと思へた公演でした。今週は忠臣藏に就いて。



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岩波文庫版は一寸高いけれども、小出楢重の挿絵がいい!


 

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