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2006年11月 8日 (水)

エリオ・アルターレ

 ラ・モッラのリストランテで白トリュフを食べてゐた時、隣の卓子に着いた面々を何処かで見た氣がしました。係の者に尋ねると、近くのワイナリーの人ですよと氣輕に言ひますが、それは「バローロ・ボーイズ」と呼ばれた、1980年代にバローロの可能性を信じて單なる地元ワインから、世界に名を廣めるやうな高品質のワインを造り出した醸造家の一人、エリオ・アルターレさんでした。それまでは自分の所で醸造することなく、大手ワイナリーに葡萄を賣却するだけの葡萄農家が多かつたのです。

Dh000104 伊太利のソムリエの資格をもつ我々の良き通譯、池田美幸さんの懇願により、翌日藏を見せて頂くこととなりました。バローロ・ボーイズの中でも「最高の造り手」、または「バローロ・ボーイズの頂點」と賞賛されるエリオ・アルターレ(Elio Altare)さんは、よいワインを造る爲には熟成用の小樽(バリック)が必要だと、内緒で代々傳はる大樽を鋸で真っ二つにして、親に勘當されたこともあつたさうです。ラ・モッラ村から下ること半ばに横道に入ると藏は在りました。裏はテラスで葡萄畑を一望にできる飼ひ犬すら見惚れる程の素晴らしい見晴らしです。

Dh000110Dh000111 ワイン造りとは何か、自分の哲學を延々と話し、それぢゃ貴重な話しを聞いたんだから帽子持って回るかな(心附けをくれ)と冗談ばかり言ひます。小さな農家が土地を守りワイン造りができないやうではいけない。環境にも優しくない。大企業だけに任せてはいけないんだ、とそれまでの經驗を語つてくれました。
 地下藏へ下りると、折角だから醗酵途中のものも飲ませてあげようと、ステンレスタンクの口を捻り、生温かくて、まだ甘い、ピチピチ炭酸が舌を刺戟するものも味はせてくれました。本來賣りものになるワインの素ですから、試飲させてくれることは非常に稀です(歡迎されてる?)。そして、整然と並んだバリックを自慢げに見せてくれました。オレが若い時にはこんな小樽を使つてるのはバローロに誰も居なかった。でも、もっといいものを造りたいと思ひ、試行錯誤の結果がかうなんだ。今では喰ふに困らなくなり、上の娘は獨逸へ留學させたら、あっちで彼氏をつくりやがって… 話しは飛びます。オレは最近買つた別荘へ行くからと、試飲は奥様に代はりました。別荘はなんとチンクエテッレに在るのだとか。何だ翌々日、我々も行くよと傳へると、君たちはどう云ふ團體かい、と目を丸くしてました。伊太利人も羨むやうな白トリュフに、南の海に面したポルトフィーノや世界遺産チンクエテッレに行くとはねえ。おったまげたと!

 日本で買ふと1萬圓を下ることはなく、然も數が限られてゐる爲殆ど手に入らないエリオ・アルターレのバローロ。普段飲むにはドルチェットが良いとか、バルベーラ、ランゲ・ロッソと飲み、2002(平成14)年のバローロは雹が降り全滅したので作れなかつたとか、「リンシエメ」と云ふ混醸ものを仲間で同じ名前で出したとか、話しを聞き乍らゆっくり、じっくり試飲させて貰ひました。殘念なのは有名な「アルボリーナ」は既に完賣して在庫がなかつたことでせうか。

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