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2006年11月13日 (月)

ムラツァーノ

Dh000003 今回も乾酪(チーズ)工房を訪ねました。羊を飼ひ、毎日新鮮な乳で乾酪(この邊りではムラツァーノ・チーズ)を作り、熟成させて賣つてゐるカッシーナ・ラフラッツ(Cascina Raflazz)です。丘陵地でほぼ羊と牛を放し飼ひにして、できるだけ自然なままに飼育して毎朝乳を搾つてゐます。ここのおかみさんは16歳で結婚したので、もしも生まれ變はつたら同じ人生は選ばないとこっそり言つてゐました。できちゃった結婚で、農家に嫁ぎ、たいへんな苦勞をされたのでせうが、不平を言ふ譯でもなく、朝から晩まで忙し過ぎて旅行も行つたことがなく、そんな極東の嶋からよく訪ねて來なさつたねえ、と始終手を休めず笑顔で應えてくれました。

Dh000007 羊は牛と違ひ子供を育てる春から秋までしか乳が出ません。それ故、最盛期よりは少ないとのことですが、火に掛けて温まった乳にレンネット(凝固剤)を入れて豆腐状になつたものを型に流して行きます。ステンレスの流し臺を外すと下に丁度型が有りました。それでも餘る分は小分けして型に入れて行きます。或る程度水氣が切れたら、今度は全部引ッ繰り返す作業を續けます。娘さんがやると5秒位掛かるのですが、おかみさんがやるとものの2秒半位で、チャンチャンと収まつて行きます。速いですね、と聲を掛けると長いこと殆ど毎日やってるからとニッコリ。あれよあれよと片附いて行きます。

Dh000008 引ッ繰り返すことで水分が抜けるだけでなく、型の形が附いて上下がほぼ平らになつて行きます。プラスチックの籠なんて味氣ないと思つて訊いてみると、昔はテラコッタ(素焼きの陶器)で重くて割れてたいへんだつたのがアルミニウムになり、輕いのはいいがすぐに駄目になり、結局、強くて丈夫で衛生的なプラスチックになつたのださうです。入れ物ひとつにも歴史的背景があるものなのですね。この時點では鹽も振つてゐませんから、少し甘い離乳食のやうな感じですが、むせ返るやうな羊獨特の匂ひは部屋中に充滿してゐます。

Dh000009一晩寝かせて鹽をして、また引ッ繰り返し、休ませます。一週間位から數年寝かせたもの(瓶の中)まであり、長く貯藏すると固くなつて、味はひも鋭く辛くなるさうです。晝食の際には7種も食べさせてくれました。薪拾いから戻つたご主人を見ると、確かに年はとつたとは云へ、なかなかいい男です。今では屋根裏部屋を改装してアグリツーリズモとして、民宿も營んでるさうです。一泊朝食附きで30ユーロは格安です!

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コメント

おいしそうですね。
私は羊独特の香りがすごく好きなので、ぜひとも食べてみたいです。
ペコリーノやフェタはおなじみですが、 ムラツァーノも日本に入っていますでしょうか?

投稿: Tiberius Felix | 2006年11月14日 (火) 00時52分

 美味しかったですよ。若いチーズは癖が少なく、ヴィンテージものほど癖がありました。「くさや」のやうに強烈な瓶詰めもありましたが、これは殘つたものをグラッパで溶かして寝かせたものだとか。孰れにしもて、日本では見掛けたことがありません。

投稿: gramophon | 2006年11月14日 (火) 10時55分

そうですか。
ではぜひともまたイタリアを訪ねるときに、忘れずに食べに行かなくては。
「強烈な瓶詰め」、楽しみです。

投稿: Tiberius Felix | 2006年11月14日 (火) 23時50分

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