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2006年12月 4日 (月)

シャルビューク夫人の肖像

 最近讀んだ本の紹介でも致しませう。 ジェフリー・フォード著、田中 一江譯『シャルビューク夫人の肖像』ランダムハウス講談社は久々の翻譯ものミステリーとして讀み應へがあり、餘韻も心地よい味はひです。

 19世紀末の紐育を舞臺に、伊太利系移民の肖像畫家ビアンボは奇妙な肖像畫の依頼を受けます。依頼主の富豪、シャルビューク夫人は自分の姿を見ずに、自分の語る話と聲だけで姿を想像して描けば莫大な報酬を與へると云ふのです。毎日通つて質問をし、屏風越しに夫人の語る過去が本當なのか、單なる夢なのか、妖しい世界にずるずると引き込まれて行きます。奇妙な占ひ師や夫人に忠實な盲目の從者とか、一癖も二癖もある者が登場し、畫家仲間が何故か親切に手助けしてくれたり、夫人との密會を咎める別れた夫から附け狙はれ、昔見限つた自分の師匠との關はりを思ひ出したり… 次から次へと、ビアンボの回りでも奇妙な事件が重なります。

 馬車が行き交ふ摩天樓の築かれる前の紐育。時代設定、荒唐無稽とも思へる夫人の話、翻譯の日本語もよく、第一級の小説でせう。お勸めです。



シャルビューク夫人の肖像


Book

シャルビューク夫人の肖像


著者:ジェフリー・フォード

販売元:ランダムハウス講談社

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