« 櫛 | トップページ | のだめ »

2007年1月12日 (金)

黄楊

 櫛の素材としては、静電氣の起こるやうなプラスチックは論外として、動物の角か木製が宜しいやうです。きつと昔は象牙なんかが最高級品であつたことでせう。木材としては、緻密で堅い本黄楊(ホンツゲ)がよいやうです。印鑑や將棋の駒にも用ひられてゐる通り、櫛にも使はれてゐます。戰前には歐州にも傳統的な黄楊櫛があつたさうですが、今では職人が居ない爲廢(すた)れてしまひ、日本の職人さんは讃へられるべき貴重な存在です。

 ところが口髭専用の櫛はありません。不忍池の畔に在る「十三屋」と云ふ江戸時代から續く黄楊櫛専門店へ伺つたことがありますが、そこにはお客さんの要望で作つたと云ふ今まで使つてゐたプラスチックの獨逸製口髭櫛と同じ大きさのものがありました。「でも、お客さんみたいに立派ならもっと齒の大きな普通の櫛の方がいいのではありませんか」とご忠告頂きました。お客さんの髪質を持て、齒の並びや太さを選んでくれる慎重さを見ても、信頼のおけるお店でした。只、持つた感じが手に馴染まなかつた爲、髭用にはその時は購入せず、歐州の知人のお土産だけ買ひました。因みに、櫛の九+四=十三が店の名前になつてゐるのですね。

Tuge 現在時折使ふ黄楊櫛は元々眉毛用のもので、これは京都の黄楊櫛屋で手に入れました。齒が細かく、小さい(全長さ12糎、齒の部分は3糎弱)ので口髭全體には不向きですが、先だけとか部分に使ふには便利です。黄楊は水には弱い分油を染み込ませるとよいとのこと。椿油を使用して口髭を梳かすだけで、髭にも櫛にもいいのです。大昔に伊豆大嶋で買つた椿油の小瓶がなかなか減らず、時折髭の榮養補給も兼ねて使ひます。今ならオリーヴ油の方が手に入れ易いと思ひます。

|

« 櫛 | トップページ | のだめ »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。