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2007年2月21日 (水)

池波正太郎の食べたもの

 飛行船狂ひの私としては、是非とも調べたこととか、再現した料理とかで一冊本にしたい。料理寫眞の専門家山家學さんにわざわざ寫眞を撮つて頂いたものの溜まつたので、ここいらで書かうと思ふのですが、なかなか人に美味しさだとかを言葉で傳へるのは難しいものです。

 江戸時代の食べ物を書かせたら最高の池波正太郎は「食道樂」の人でも知られてゐました。そんな彼の好物を縁の料理に再現させた本がありました。池波正太郎の書生であつた砂糖隆介が思ひ出話しと共に文章を書き、季節毎に和食を元山の上ホテルの料理人、現「てんぷら近藤」の主人、近藤文夫と、洋食を「たいめいけん」の茂手木雅章とに再現して貰ひ、一皿づつ料理方法も記載してあります。嗚呼、こんな食べ方をしてゐたんだとか、拘りがよくわかります。6月になると、私も無性に鮎が食べたくなる人間なので、さすが先輩と頷いてしまひます。

 母の實家が岐阜なので、夏休みにずっと遊びに行つた譯です。すると近所の小父さんが友釣りで釣れたばかりの鮎をお裾分けに呉れたものです。長良川の上流とかで捕れたものです。それも、毎週のやうに届くので、至極當たり前のやうにして鹽焼きで頂いてました。田舎ですから、蓼酢とかそんなものはありません。只の鹽焼きです。餓鬼の癖に、コケの味がするから天然ものだとか、口の形から養殖ものだとか、そんなことは言ひません。夏はもう決まつて食べるものだと身體が覺へちゃいました。だから、所帶を持つやうになり、祖父も他界すると氣樂に遊びにも行けませんから、無性に鮎が戀しくなります。一年に一回は食べないと氣が濟まないのですが、懐具合がそんなによくありませんから、なかなか難しいものがあります。

 この本の中で料理だけは総天然色でプロの技の光る撮り方をしてゐます。デジカメで美味しさうに撮るのは難しいんですよ!山家さんは奧から光を當て、手前に反射板を置き、全部を撮るんじゃなくて一皿手前に焦點を合はせればいいと教へてくれましたが、なかなかどうして難しい。この本も、作家の拘りを反映してるのに文庫本で安いのが素敵です。


ELLE a tableのサイトに山家學さんの『料理写真を上手に撮るコツ、教えます』が連載されてゐます。




池波正太郎の食卓


Book

池波正太郎の食卓


著者:佐藤 隆介,茂出木 雅章,近藤 文夫

販売元:新潮社

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