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2007年3月 6日 (火)

天丼

 揚げ物はシャキッとした齒触りがとても好きで、出前の天丼が大嫌ひでした。味が染み込んでゐるとは云へ、ベチャッとした感じが美味しさうには見えず、箸で持ち上げた途端に衣でも落ちようものならがっかりします。できれば天麩羅の定食の最後にでも、掻き揚げをサッとタレを潜らせてご飯の上に載せたものがいいですね。

 神田の「いもや」は親父さんが揚げてゐる頃は古本探しに疲れるとよく寄つたものですが、忙しい時間帶にバイトのお兄ちゃんが客の來る前から、どんどん揚げてしまつてべちゃっとして、がっかりした記憶があります。淺草の雷門傍の「三定」は胡麻油の香ばし香りが店先からして來ますが、胃袋の小さい私としては、重たいので食べ切るのがたいへんでした。もう15年位前からずっと贔屓にしてゐるのは甲府の「M」です。勝手に書いて迷惑を掛けてもゐけないので、頭文字だけにしてをきます。

 夜はおまかせコースしかありませんが、季節の野菜や旬の魚を揚げてくれます。山菜だとか、葡萄に桃、菊の花であつたり、風情があり、私が豫約を入れると1箇月も前からご主人は體調を整へ、山に食材探しに行つてくれたり、特別に釣りに行つてくれたり、最高のもてなしをして下さいます。併し、他のお客さんが奥座敷にでも入ると、途中で集中力が削がれるのが厭だと云ふ職人さんです。カウンターで揚げるところを見るのもよく、山梨辯のほのぼのとした會話も素敵です。でも年に一度くらいしか行けないのが殘念ですが、ご主人曰く「そんなに何度も來られたらたまったもんぢゃない」と笑つてゐます。

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