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2007年4月 6日 (金)

鷗外の坂

 鷗外が住んだ千駄木、團子坂上の觀潮樓は現在、鷗外記念本郷圖書館となつてゐます。當時は海が見えたのでせう。鷗外の住んだ家々跡を訪ね歩き、古地圖まで載つた 森まゆみ著『鷗外の坂』新潮文庫 は歩いた道筋も小説から探し出して同じ道を巡ります。
 街道筋の宿場町「千住」の醫者となつた父と共に住んだ家、千駄木町57番地の家は後に夏目漱石が住んだもの、隣近所を見渡せば、明治の町並みが蘇ります。まだまだ田圃も多く、水道はなく井戸水を使ひ、武家屋敷が増えると共に近隣農家はその庭を支へる植木職人になり、移動は専ら人力車でした。テレビやラヂオのない時代の樂しみは寄席や歌舞伎。100年前の生活がチロチロ焙り出て來ます。
 そして、本人のことは小説から探り、回りの人の証言を集めてゐるのが面白いです。母峰の日記、後妻しげの言動は子供たちの回顧録から、記述を探し出し、それにより鷗外自身が見えて來ます。御殿醫から近代醫師として東京に出てから、千住から千駄木、本郷と徐々に都心へ近附く出世街道。家族を深く愛した様子が伺ひ知れます。

 さう云へば、この間道端を歩いてゐたら外人さんに「あっ、明治時代」と言はれてしまひました。髭と帽子の所爲でせうか。



鴎外の坂


Book

鴎外の坂


著者:森 まゆみ

販売元:新潮社

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