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2007年4月23日 (月)

ワン・ツー・スリー

 「伯林中央驛」のMASATOさんがブログの中で紹介してゐた、ビリー・ワイルダー監督作品 『ワン・ツー・スリー』1961(昭和36)年 のDVDを購入して觀ました。白黒、108分のコメディーなのですが、壁が造られたばかりの伯林を舞臺に、冷戰や共産主義も資本主義も笑ひ飛ばしてゐます。當時は餘りに現實的で全然受けなかつたらしいのですが、80年代から見直されたと云ふのも納得します。

 主演のジェームズ・ギャグニーは西伯林に在るコカ・コーラの支店長。蘇聯との契約を取り、失地挽回して倫敦支店長になるのが夢です。突然、アトランタのから、社長の娘の觀光と世話を頼まれます。お嬢さんで我が儘いっぱいに育つたヤンキー・ガールが、目を離してゐたら、東伯林へ遊びに行き、東獨逸の若者と結婚してしまつたのです。運の惡いことに、社長夫妻が長々戻らない娘を連れて歸へる爲に伯林へ來ることになり、さあたいへん!此処からドタバタ喜劇の始まりです。

 英語の科白に所々獨逸語が混じつたギャグニーのマシンガントークが凄く、字幕だけでは解らない微妙な現地法人社長の努力が滲み出てゐます。金髪の美人秘書との浮氣、社長の娘の彼氏を西側に連れ出して無理矢理教育するところ、踵を鳴らさないと濟まない社員、支店長が通る度に起立する社員たちにプロイセンの軍国主義やナチの影響を見せて、笑ひ飛ばします。細かいところを話すとネタバレで面白くなくなるので控えますが、伯林のこと、獨逸語を知らなくても樂しい作品です。

 白黒なのに、色を感じる撮り方も素敵ですが、音樂がクラシックもジャズも得意なアンドレ・プレヴィンなので、ハチャトゥリアンの〈劍の舞〉だとか、非常に上手です。脚本もいいのでせう。ブランデンブルク門前の巴里廣場もセットとは云へ非常に本物らしく、今だからこそ笑へる内容です。テムペルホーフ飛行場のセットも綺麗で、あの全體主義が臭ふ建物や、高い天井、半圓に並んだ搭乘口、飛行機を降りて歩く際に濡れないやうに施された高い廂(ヒサシ)等、よく再現されてゐます。

 ワイルダー監督の1950年代の作品を振り返ると、
  『サンセット大通り』(1950)、
  『地獄の英雄』(1951)、
  『第十七捕虜収容所』(1953)、
  『麗しのサブリナ』(1954)、
  『七年目の浮氣』(1955)、
  『晝下りの情事』(1957)、
  『翼よ!あれが巴里の灯だ』(1957)、
  『情婦』(1957)、
  『お熱いのがお好き』(1959)、
  『アパートの鍵貸 します』(1960)
とヒットが續いてゐます。然も、ハリウッド内幕、戰爭もの、戀愛もの、冒險譚、法廷劇、都會派喜劇と分野も違へば、内容も全く違ふものが並ぶことに驚かされます。然も、殆ど見てます。

 さう考へると、大人が笑える上質な喜劇映畫が最近頓にハリウッドで作られないのが殘念です。



ワン・ツー・スリー


DVD

ワン・ツー・スリー


販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

発売日:2007/02/02

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