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2007年4月 5日 (木)

孤愁の假面

 昨日の午後はジークフリートが劍を抜いたのかと思ふ程の、春の嵐に驚かされました。真ッ黒な空に雷雨で先が見えなくなる位でした。皆さん、大丈夫でしたか。

 さて、今の自分って何でせう。中學生にお話しをするところから、何だか自分を見つめ直すことにもなりました。獨逸で働いてゐたこと、家業を繼ぐと云ふこと、(五代目の)家長となるべき重責、嫁や子供、友人、と見回すとどうしても、鷗外に自分を重ね合はせてしまひます。

 漢籍への深い理解、家族の出世欲だとか、後妻と母の不和だとか、當て嵌まらない部分もありますが、几帳面なところとか、論爭を挑まれたら決して引かない意地ッ張りなところ、細かい説明責任を果たさず、つひ傍觀者のやうにニヤッと笑つて見てるだけであつたり… 共通點を擧げて行くと澤山出て來ます。陸軍の最高醫師、軍醫総監者として、家長として、雑誌編輯者として、作家として、家族からの期待だとか、様々な柵(しがらみ)の中でも決して不平は言はず、假面を附けてゐるが如く實に淡々と精力的に日々をこなして行く鷗外。
 そんな鷗外が陸軍の重鎮山県有朋につひ抗議をしてしまひ、手痛ひしっぺ返しを浴びせさせられる。飽くまで小説なので、大逆事件や妻との會話等まるで見て來たやうに書かれた沼口勝之著『孤愁の假面』新人物こ往來社。役職に振り回され、夫として母の顔を立て、妻の機嫌を取り、歌會を開き、文學者との交流が生き生き描かれてゐます。明治の男はたいへんだったんですね。




孤愁の仮面


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孤愁の仮面


著者:沼口 勝之

販売元:新人物往来社

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