ジークフリート
リヒャルト・ワーグナーとコージマの息子、ジークフリートは1869(明治2)年生まれ。ワーグナー56歳の時の子で、当然リストをも祖父に持つ譯ですから、音樂一家に育ち父親に似ず、温厚な性格であつたやうです。當時作曲された歌劇は現在全く忘れ去られてゐますし、指揮者としてのジークフリートの實力も餘り評價されず、單にワーグナーの息子としてしか記憶されてゐません。長寿を全うしたコージマの跡を受けて、バイロイト音樂祭を切り盛りしたものの、1930(昭和5)年に急死したのが何よりも惜しまれます。長生きすれば、妻ヴィニフレートがヒトラーを招き入れることもなかつたかも知れないからです。
伯林國立歌劇場管絃樂團と共に入れた、樂劇《ラインの黄金》第1幕より〈ワルハラへの神々の入場〉Odeon O-7550 を持つてゐますが、殘念乍ら氣の入らない平凡な演奏です。偉大な父親の陰に脅えることなく、伸び伸び演奏してゐるのがせめてもの救ひでせうか。
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