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2007年4月16日 (月)

マイスタージンガー

P4130168 7日(土)の「蓄音機の會」で取り上げた、カール・ベーム指揮、ザクセン州立歌劇場(ドレスデン國立歌劇場)の演奏がよいので吃驚しました。ワーグナーの樂劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》は4時間を超える大作で、戰後カラヤンがバイロイトでSP盤68枚に全曲録音してゐます。ベーム盤は第3幕のみの録音で、然も私が持つてゐるSP盤は第5場から終幕部分(RCA Victor DM 538 -21/30)の後半部分(Volume II)のオートチェンジャー盤だけです。
 録音状態もよく、溌剌としたテムポで、ぐいぐいと引ッ張る感じで前へ前へと云ふ感じの勢ひがあります。合唱にも力が漲り、ニュルンベルク郊外の野原での歌比べの様子が肌に直に傳はつて來ます。ベーム44歳の時の録音故か、若々しさに溢れてゐます。ベームはフリッツ・ブッシュの後任として、1934(昭和9)年にこのドレスデンの音樂監督として迎へられ、1月7日の就任最初の演奏會でも、この《マイスタージンガー》を取り上げてゐますので、指揮にも餘程自信があつたのでせう。
 威嚴のあるハンス・ヘルマン・ニッセンのザックス、甘い聲のトールセン・フックスのヴァルター・フォン・シュトルツィンク等歌手陣も精鋭が揃ひ、揺るぎのない、自信に滿ち滿ちた中身の濃い演奏です。

 でも、1939(昭和14)年の4月録音を考へると、獨逸軍の波蘭侵攻の5箇月に當たり、前年に墺地利も併合して、誤つた方向に自信を持つて進んでゐる時期でもあります。實はその時代の空氣をも録音してゐるのではないか。そんな氣もして來ますね。

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コメント

 エネルギッシュでしかも重厚で、これぞドイツ、という感じの名演奏でしたね。
 ベームは、一番オーソドックスにドイツ/オーストリアらしさを体現している指揮者のような気がします。フルトヴェングラーやクナッパーツブッシュはドイツ云々以上に個性のほうが際立っていますしね。

投稿: Tiberius Felix | 2007年4月16日 (月) 13時37分

フルヴェン、クナファンの方々が「ベーム如きが…」と一寸小馬鹿にした感じでよく話して居ますが、どうして、どうして立派な演奏でした。確かに個性は少ないかも知れませんが、質実剛健な獨逸らしさが全面に出てゐましたね。

投稿: gramophon | 2007年4月16日 (月) 16時26分

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