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2007年5月10日 (木)

中折れ帽

P1000149 山の中央部に溝を作つて被るので「中折れ帽」と云ひます。フェルト等の柔らかい生地で作つてゐるので「ソフト帽」とも云ひます。これは勤め人の帽子でした。父の記憶では、以前歌舞伎座の座席の下には、この帽子が丁度収まるやうになつてゐたさうです。座席の裏側に針金で枠があり、そこにソフト帽の鍔(ツバ)が引ッ掛かるやうにできてゐたのだとか。

 昨年、伊太利へ赴いた時に真ッ先にボルサリーノの店を訪ねました。併し、山が高く、然も頭の形が前後に長い歐米人に似合ふものが、私のやうな丸い頭には、どうもしっくり來ないので諦めたのでした。併し、銀座に在る「トラヤ」へ行くと、矢張りボルサリーノが置いてありますが、何か違ひます。訊くと、これは日本人向けにトラヤが發注して、ボルサリーノに特別に作られたものだと云ふのです。他にも鍔の廣いものとか、微妙に違ふものもあり、伊太利よりも逆に豐富に揃へてある感じでした。それで、幾つか被って、灰色の色合ひ、リボンの太いのも氣に入り、これを頂きました。被る際には前の廂をやや下向きにして被ります。氣分は映畫『ボルサリーノ』のドロンのやうですが、電車の中では視線を感じますね。

P1000148 背廣はこれでいいのですが、スモーキング(タキシード)のやうな略式夜會服にはもうひとつ上のシルクハットか「ホムブルク」(畫像)が必要となります。中折れは同じなのですが、縁取りがあり、硬い生地で出來てゐますから、ソフトではありません。1860年代に獨逸の温泉地ホムブルクで流行つたものらしく、英國皇太子(後のエドワード7世)が、1889年に本國に持ち歸へり、上流階級に廣まったさうです。その後、1910年頃亞米利加でも流行し、外交官から勤め人まで被るやうになつた、シルクハットに次ぐ上等な帽子です。冬に二重回し(インバネス)を着る時は、これでないと収まりが惡いと云ふものでせう。

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