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2007年6月18日 (月)

ベルリン1919

 クラウス・コルドンの伯林三部作を讀みました。第一次世界大戰の終はりから、ワイマールの崩壊、そして第二次世界大戰の終焉まで、1919(大正8)年、1933(昭和8)年、1945(昭和20)年の伯林の北部に在る勞働者一家を通して克明に描いてゐます。
 そのヴェディングには知り合ひもなく、用もなかつたので、全く足も踏み入れたことのない地域でした。帝政獨逸の崩壊と共に、ほんたうに良い國を作らうと考へた人々がゐました。けれども、國の將來を巡つて共産主義でも急進派と穏健派がぶつかり、武装蜂起した水兵が王宮に立て籠もつたり、下町の家族が翻弄されて行きます。弟や妹の面倒を見乍ら家計を助ける利發な長男ヘレ(ヘルムートの愛稱)とその家族は片腕失つて傷痍軍人となつて戻つた父と共に、今を一所懸命生き抜きます。
 蘇聯も崩壊した現在、共産主義が良いだなんて誰も言ひません。ですが、1919年當時、毎日の食べ物にも事欠く底邊の勞動者にとつては、唯一の希望であつたのでせう。歴史として、皇帝が退位して和蘭に亡命したこと、キール軍港で水兵が叛亂を起こしたことは知つてゐても、そこで血を流したり人がゐて、死者が出たとはこの本を讀むまで、實感すら沸きませんでした。毎日の仕事に没頭して、社會の動きに目を瞑るのは簡單です。併し、氣附いた時は押し流されて、取り返しのつかないことが起きるのです。新聞やテレビを鵜呑みにしてはいけない。大きく目を見開いてゐないといけませんね。



ベルリン1919


Book

ベルリン1919


著者:クラウス コルドン

販売元:理論社

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