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2007年8月31日 (金)

元禄忠臣藏

 溝口の『元禄忠臣藏』後編は大石内藏助の祇園遊びから始まり、前編最後が途中で重なります。火鉢だけの冬、着物柄だとか、時代考証もしっかりしてゐる爲、成る程さうであつたのかと納得し乍ら、氣の早る浪士を抑へたり、見てるこちらもまだかまだかと云ふ氣分で討ち入りを待ちます。
 ところが、此処の討ち入りだけは史實通りでなく、浅野内匠頭未亡人、瑶泉院への手紙だけで濟ませ、完全に肩透かしを食らひます。いつまでたっても仇討ちをしない内藏助が突然挨拶に來てから、不審に思つて寝附けないところに討ち入りを知らせる手紙が届き、吉良さんが屋内に見附からずしくじったかと思ひきや、炭焼小屋で發見されて無事に本懐を遂げたことを、下女がはらはらし乍ら候文を讀んで聞かせるだけの場面です。非常に、抑への効いた展開で説得力がありました。第三者はかうしてヤキモキして事の成り行きを、固唾を呑んで見てゐたことでせう。そして、泉岳寺での報告、切腹まで英雄として祭り上げるでもなく、淡々として、武士としての心構へを説くやうに映して行きます。この邊りは時代が反映してゐるのかも知れません。大陸へ征く人たちにそっと、心亂さない、肝の据はつた大石内藏助の姿を通し、兵士の生き方を傳へたかも知れませんね。



元禄忠臣藏(前篇・後篇)


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