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2007年10月 5日 (金)

若鶏の煮込み マレンゴ風

 3日(水)の「料理とワインのマリアージュ」では カポナータ & 若鶏の煮込み マレンゴ風 を取り上げ、カポナータにはグレーコ・ディ・トゥーフォとチュチュのペコリーノを合はせ、マレンゴ風にはそれいゆの甲斐ノワールとリオハのドダⅡ・リセルヴァを合はせました。
 さて、このマレンゴ風のマレンゴとは町の名前で、佛蘭西革命戰爭最中の逸話から料理名となつてゐることが知られてゐます。「マレンゴの戰ひ」と聞いて、プッチーニの歌劇《トスカ》を思ひ浮かべる方は相當の歌劇通ですね。第一幕では、墺地利軍が早まってナポレオン軍敗戰の誤報が羅馬にもたらされ、警視総監スカルピアは大喜び。第二幕になつて、初めてナポレオン軍勝利の正しい知らせが届き、革命派に與する畫家カヴァラドッシは拷問の最中でも思はず「勝利」を叫んでしまひます。

 1800(寛政12)年6月14日、伊太利北部のピエモンテ州、アレッサンドリア近郊の町マレンゴに於いて、ナポレオン軍が、墺地利軍に逆転勝利を収めました。その際、ナポレオン・ボナパルトの料理人であつたデュナン(Dunand)の機轉に因り考案さたのです。但し、その材料がどこまでなのか、色々な文献を當たると、それぞれ違ふことが書かれてゐて、迷つてゐましたが、佛蘭西語の原書が1933(昭和8)年と云ふ キャルノンスキー&ガストン・ドリース著 大木吉甫譯 『美食の歡び』 中公文庫 に書かれてゐることが一番信憑性があるやうです。

 マレンゴの戰ひ勝利の晩、氣短な征服者を滿足させる爲、その場に有つた材料を掻き集めて、創り出された料理なのですが、たまたま糧食馬車が動かず、幕僚たちが困り果ててゐたところに、ナポレオンお抱への料理人デュナンが乘つた糧食用有蓋車が到着し、それならばと見渡した所、藁葺き屋根の朽ち果てた農家が見えたので、食材調達に派遣したのです。命令を受けた二人の騎兵は2~3羽の鶏と、畑からトマトと大蒜を手にして戻り、それでトマトと大蒜入りの鶏の白ワイン煮込みにクロスティーニ(クルトン)を加へて完成させました。
 その後、目玉焼きが添へられるやうになり、更にエクルビスやトリュフが加はり豪華な料理として供されたと出て來て納得しました。本に拠っては3人目の兵士は玉子を持つて歸へつて來たとか、一緒にエクルビス(ザリガニ)を捕まへて來たとか、それっぽいことが書かれてゐました。傳承されるうちに、工夫も凝らされるので分からなくものです。

美食の歓び (中公文庫BIBLIO)Book美食の歓び (中公文庫BIBLIO)


著者:キュルノンスキー,ガストン ドリース

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» 勝利はもっとも根気のあるものにもたらされる。 ナポレン・ボナパルト [書き留めておいた素晴らしい言葉]
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