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2007年10月16日 (火)

未完

Bruckners9 土曜日の蓄音機の會の主題はブルックナーの交響曲9番でした。1884年夏に交響曲第8番が完成して、すぐに取り掛かつた第9番でしたが、既存曲の改定とかに時間を取られて、1896年10月11日、最期の朝まで第4樂章の筆を握つてゐましたが、完成できませんでした。第3樂章までを弟子のレーヴェが1906年に、ワーグナー風の音で當時受けるやうに改竄してしまつたものが、暫く演奏され續けてゐました。
 それがやっと、1932年になりオーレル校訂版が出て、これをその年初演したのが、ジークムント・フォン・ハウスエッガーの指揮、ミュンヘン・フィルでした。そして、Electrola(HMV)に1938(昭和13)年にこの9番の初録音(私の持つてゐるのは米盤Victor 15784/90)をしてゐます。この方は1872年に墺地利のグラーツに生まれ、1948年にミュンヘンで亡くなつた人で、指揮者、作曲者として活躍したやうです。9番の初演に際して、クレメンス・クラウスと爭ひ、結局、初演と初録音の榮譽を得て、クラウスはラヂオでの初放送及び録音で収まつたらしい。

 演奏はと云ふと、決して上手ではありません。獨逸の片田舎のオケと云ふ感じが随所にします。各面がどうもちぐはぐで全體の釣り合ひに欠け、然も、第7面の第2樂章はトリオの後、再度掛けると云ふ横着振り。豫算の都合であつたかもしれませんが、SP盤蒐集家としては、この面だけ何度も掛けるのは氣が引けます。併し、實際に鳴らしてみると、全く同じ演奏なのに不思議と後の方がより印象的で大きく鳴つてゐた氣がしました。
 1樂章の出だしは金管がおっかなびっくりで全奏で頭が揃はず、若干音も小さくてはっきりしません。マトリックス番號を確かめると、頭から順繰りに演奏してゐますので、ビビッてゐたのかも知れません。ですから、3樂章ともなると逆に分厚い響きが聞こえ、深淵な世界へ誘はれ、下手なのに、非常に感動的な終はり方をしました。響きが心に深く刻まれた所爲か、その日中ずっと頭の中で様々な主題が鳴り續けてゐました。

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