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2007年11月 1日 (木)

催馬樂

 雅樂は演奏だけの「管弦」、舞ひを伴ふ「舞樂」、それに歌を伴ふ「歌謡」があります。以前、宮内廳樂部の演奏會で舞樂を見させて頂いたことがありますが、平安朝の貴族と云ふよりも、もっと昔の装束で色も鮮やかに、ゆったりと舞つてゐました。
 SP盤に刻まれた音は兩面6分に収める爲、テムポはあてになりませんが、微妙な音の移ろひはしっかりと聽こえます。歌ひ物の中には日本古來の原始歌謡に基づく「國風歌(クニブリノウタ)」と、大陸系の音樂の影響を受けた「催馬樂(サイバラ)」や「朗詠」があります。國風歌では笙を使はず、しゃく拍子を打つて歌ひ、催馬樂では和文を拍節的に、そして朗詠は漢詩文を非拍節的に歌ひます。
 「更衣(コロモガヘ)」と云ふ催馬樂を聽きましたが、一本調子の詠ひで、ゆったりしてゐました。お經の聲明(シヤウミヤウ)や詩吟とも違ふ、變化の乏しい歌で、何となくグレゴリア聖歌に近い氣がしました。拍子に合はせて和琴や琵琶がジャランと鳴り、篳篥(ヒチリキ)が旋律を歌ひますが、どうも出だしがもやもやしてすっきり合ひません。何となく音が移るやうな感じで、何の束縛もなく、それで居て一緒に奏でようと云ふ氣持ちは現れてゐますから、西洋音樂的解釈の全く通じない世界です。清元や義太夫なら、横一列に並んだ人が何の合圖もなく、ピタッと合ふのに、笙の和音のもやもやから始まり、何だかよくわからない内に曲が始まり、何時しか終はる。細かいことに拘らず、おおらかな氣持ちが太古の日本にはあつたのでせう。

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