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2007年11月19日 (月)

和蘭繪畫

 六本木にできた新國立美術館へ先日行つて來ました。丁度「フェルメール『牛乳を注ぐ女』と和蘭風俗畫展」をやつてをり、行って吃驚、小學生は無料だとは知りませんでした。自分が小學生の頃も親に連れられ、學校で貰つた割引券を手に、幾度も見に行ったものです。西班牙の巨匠「ゴヤ展」の際は2時間も並び、「カスパール・フリードリヒとその周邊展」では獨逸浪漫派の幻想畫に強い感銘を受け、獨逸で暮らしてゐた時に再會できたことも忘れられません。他に印象深いのは「アンドリュー・ワイエス展」でせうか。寫眞のやうな細密寫實畫として描かれた裸婦の赤毛の股間にどぎまぎしたものです。
 
 さて、朝10時開場に合はせて、少し過ぎて行きましたが、どの繪の前も長蛇の列。自分の好きなやうに見られないのが、企劃展示の欠點でせう。それでも我慢して並び、お目當ての「牛乳を注ぐ女」だけはじっくり觀られました。最前列は立ち止まらせず、柵を設けて立ち止まつてじっくり觀られる場所もあり、工夫が凝らされてゐます。
 何年か前に和蘭のゴッホ博物館でゴーギャンとゴッホの展覧會を見ましたが、その時はでかい和蘭人の林の中から垣間見る感じで、然も繪の力が強くただただ疲れるだけでした。20代の頃は何とも思はず見られたゴッホの繪の魔力でせうか。色遣ひの所爲か、兎に角疲れましたが、通常云はれるところの和蘭繪畫は風車と筋雲と青空の廣がる低地の風景か、窓から弱い光の入る、白黒石が交互に収まった床の建物1階の様子を描いたものが多いやうです。「牛乳を注ぐ女」の素晴らしさを解説文、映像で流してもゐて、遠近法の視點は實際に針の穴があり、そこから糸を引いて線を描いたこと、手前の机は遠近法をそのまま使はず女性を強調するやうに違ふ角度にしてあつたり、成る程説明を讀んでから見るとよく理解できます。その上、當時の樂器を置いて様子を再現した部屋もあり、工夫に滿ちた樂しい展示です。

 資産の象徴とも云へる南洋の果物の靜物畫、精力材としての生牡蠣と後ろに寝臺を配置して淫靡な想像力を掻き立てる室内畫、農家の食事等々久し振りに觀る油繪の面白さを再確認できました。ふと、新國立劇場で觀たヴェルディの《ファルスタッフ》の舞臺装置を思ひ出したのは、この頃の繪畫をを元にしてゐたからです。

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