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2008年2月20日 (水)

狐忠信

 本日は44歳の誕生日ですが、自分の年の話ではなくて、先日觀た文樂《義經千本櫻》の話です。
 今回は狐が化けた佐藤忠信の活躍を中心に演じられました。前回は平知盛の最期が壓巻でしたが、今回は兩親を鼓にされた狐忠信が、伏見稲荷で窮地に陥った靜御前を助けます〈伏見稲荷の段〉。吉野へ落ち延びた義經を追ふ靜が滿開の櫻の中で舞ふ艶やかさ、それを慕ふ忠信は鼓の皮となつた親狐をも思ひ、靜の投げる扇をさっと受け取ったり舞が中心の〈道行初音旅〉。そして、吉野で匿はれてゐた義經の元に、本物の佐藤忠信の現れて、つひに狐忠信が本性を現し真相を告白すると、靜に對する忠義と親狐の孝行に感じ入つた義經は、狐に鼓を與へ、喜ぶ狐は踊りながら宙を舞つて去り、お禮に今夜僧兵の夜討ちを知らせるのでした〈河連法眼館の段〉。

 太夫それに三味線共に《冥途の飛脚》よりもよく、娯樂性も高いので樂しめました。太棹の人間國寶、鶴澤清治&寛治の技も冴へ、太夫も幾分歌ひ易さうな感じです。狐忠信は「ものの怪」であり、人ではありませんから、妙な動きやゴロニャンとすり寄ったり、身上を語る際は既に手先が狐になつてゐて、狐と共に主遣ひの早替はり、鼓や障子を割つて現れたり、最後に宙吊りになつて去って行くのには吃驚。江戸時代は今でも新しい。
 前から2列目の中央でしたから、視界はほぼ舞臺のみ。字幕は見辛いので敢へて見ず、集中して聽き、人形の顔附きや仕草に見とれてゐました。ワクワクする興奮を覺へる文樂は久し振りでした。

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