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2008年3月31日 (月)

國王

 昨日、MotoGP第二戰、西班牙Grand Prixがヘレスで行はれました。新しい王者が現れたり、熟練走者が久し振りに表彰臺に上がったり、今年の行方を占ふ白熱した試合にテレビの前釘附けでした。
 排氣量150cc級、今年から世界選手権に挑戰中の、16歳、中上貴晶選手は15位入賞でポイントを初獲得、コヤマックスこと小山友良選手は無念の13位。250cc級の高橋裕紀選手は二年前の獨逸GP以來の表彰臺に上り復活を印象附け、接觸後見事に巻き返した青山博一選手も4位と大健闘。最高峰MotoGP級では中野真矢選手がしぶとく10位以内に入り、9位と頑張りを見せました。

 そして、表彰式には西班牙國王自らが優勝杯を授與し、25萬人の大歡聲。日本ではあり得ない光景が羨ましい。もし、スポーツが得意であつた高圓宮がご存命なら、茂木に現れたかも知れませんねえ。

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2008年3月28日 (金)

來客

 今週は丁度一時歸國されてゐた「伯林中央驛」のマサトさんと、「中歐」家頁主催のOさんとお招きして、すき焼を突きつつ伯林や獨逸に就いて語り合ひました。丁度同じ時期に伯林に住んでゐた筈のOさんと、どこかの會場で一緒であつたかも知れない話から、どの演奏會へ行ったとか、照らし合はしたり、東伯林の思ひ出だとか、當時を知らないマサトさんに現状を尋ねたり、樂しい一時でした。

 と云つても、牛鍋だとか日本に於ける肉食の歴史から、1936(昭和11)年の伯林オリムピックのアルバムやら、ツェッペリンの飛行船関連資料に、實筆署名入りのプログラムや寫眞とか、私の蒐集品もお披露目して、私ひとり昂奮してた状態。20年も前のことですが、克明に記憶してをり、86年の寒かった冬、練炭の匂ひ、また暑かった89年の夏、壁の崩壊だとか、現場ならではの話しに花開き、時間の達つのも忘れてしまひました。

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2008年3月27日 (木)

マデラ酒

 大西洋に浮かぶ孤嶋、葡萄牙領マデラ嶋では、シェリーやポートワインと並ぶ世界三大酒精強化ワインが造られてゐます。その多くが料理酒として使はれる爲、單體で飲まれることが少ないものの、高貴な甘味の食後酒としても用ひられます。

 珍しく、そのマデラ酒の業者向け試飲會及び講義がありました。醗酵途中に酒精を強化した後、熟成中に太陽熱により加熱(カンテイロ)させる爲、餘分な成分は蒸發して、旨味だけが凝縮すると云ふもの。その昔、大航海時代にマデラ嶋で積み込んだワインだけが、新大陸へ着いても美味しかったので、大西洋を渡る暖かい海上で熟成されたことを人工的に加熱熟成させたのが始まりだと云はれてゐます。

 そんなことは教科書を讀めば解ることですが、實際に3代目の親父さんが自ら語ると違つて來ます。南部は熟成が早く甘口になるので、北部の粒が小さく酸味が強いものと混醸して釣り合ひを取るとか、狹い畑で棚造りされるとか、一時危うかったところを日本の輸入業者が資本参加して立ち直り、今では年間13,000~14,000箱も日本に輸出してをり、マデラ酒醸造會社全7~8社の中でも突出した量を誇り、信頼関係は絶大なのだとか。

 さてその味はひ。Dry Plainは他の製品に比べて辛口と云ふだけで、非常に乾燥果實のやうな甘くと深い味はひがあり素敵です。同じ價格帶のSweet Plainは甘味の釣り合ひもよくお値打ち商品でした。そして、同一品種のみ10年寝かせたものは、セルシアル、ヴェルデーリョ、ブアル、マルヴァジアの順に鈍重で甘味が増し、アルコールもツンと來る感じです。此処まで來るとフォア・グラや西班牙の生ハムのやうな濃厚な味はひから、林檎パイ、チェコレートムースやダーク・チョコレートのやうなデザートに合ひさうです。以前、ワイン雑誌編輯長が「すき焼にはマデラ酒が合ふんぢゃない?」と言はれたことがありますから、何時か是非相性を試してみたいものです。

ヴィニョス・バーベイト社

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2008年3月26日 (水)

城壁のハムレット

 先日、薩摩琵琶奏者、友吉鶴心さんと門下生の提琴演奏會がありました。フランクの《提琴奏鳴曲》は大好きな曲だけに大いに期待して行ったのですが、殘念でした。モデルさんかと思ふ程細い身體からは、そのままのキンキンとした細い音しか出て來ず、始終凡庸な速度にメゾ・ピアノ位の大きさで、響かぬ會場にも拘はらず、餘韻を殘す努力もなくて、ブツブツと切れ、伴奏も危うい所が幾箇所もあり、違ふ意味でハラハラさせられ、ご本人から提琴の樂しさや、嬉しさは全く傳はつて來ず、お復習ひ會にしてはお粗末でした。

 それに引き替へ、師匠たる鶴心さんの歌はぐいッと心を鷲掴みにする勢ひと文語がビシビシ傳はつて來ます。村上元三作詞、鶴田錦史作曲の《義經》は、大物の浦で平家の怨靈に行く手を阻まれ、辯慶が祈祷する〈船辯慶〉から、靜御前との〈吉野の別れ〉そして、山伏に變装した関守、富樫左衛門丞が情けをもって見逃す〈勸進帳〉まで入つた贅澤な曲です。歌舞伎や文樂でお馴染みの場面が、浪に揉まれる小舟の様子、強力姿の判官を打ち附ける辯慶等琵琶ならではの表現が面白く、お弟子さん二人が加はることで音量も増し、迫力が出て素晴らしかったです。

 特に良かつたのは、橋本治作詞の《城壁のハムレット》。桃尻譯のいい加減な本ばかりの惡い印象の作家さんですが、どうしてどうして、格調高い文語が収まりもよく書かれ、日本語の美しさを堪能できました。「to be or not to be」は「このままあるかあらざるか」と譯され、死ぬべきかと云ふ大仰な問ひではなく、もっと身近な根源的な問ひになつてゐます。この作品は、最初に鶴心さんに作詞した作品ださうで、さう云へば以前鶴心さんに遇った際、橋本さんの生原稿を見せて頂いたことがありました。自分にはとても真似のできない美しい文語に、さすがは専門家だと一人唸つたものです。
 以前行はれた國立劇場第19回特別企劃公演「新しい傳統藝能―怪しの世界」の臺本と、作者と演者の對談本では、鶴心さんと橋本さんが語り合つてゐます。

怪しの世界Book怪しの世界


著者:国立劇場,橋本 治,いとう せいこう,夢枕 獏

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2008年3月25日 (火)

文語

 正字舊假名をもう一歩進めて、文語の良さを廣めやうと云ふ動きもあるやうです。時折、遊びで友人に「候文」で手紙を書きますが、過去の名文を書き寫し、聲に出してリズムを掴み、定型を學ぶのがよいのだとか。文語の苑と云ふ電子頁を主催してゐる愛甲次郎著 『世にも美しい文語入門』 海竜社 に其の美しさを傳へ、實踐的な方法が書かれてゐます。
 森鷗外の『獨逸日記』や『即興詩人』のやうな文語で書ければ、それに越したことはありませんが、漢文の素養もなく、似非古文の自分にはとても目標が高すぎて尻込みしてしまひます。

 初めて、文語が美しいと思つたのは谷崎潤一郎の『細雪』の中で、雪子のお見合ひ相手から失禮なお斷はりの手紙が候文で書かれてゐて、戰前はごく普通に使はれてゐたことを知り、吃驚するのと同時にいたく感心したのです。樋口一葉の『にごりえ』邊りから、書き寫してみませうかねえ。

世にも美しい文語入門Book世にも美しい文語入門


著者:愛甲 次郎

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2008年3月24日 (月)

文字

 民族は言葉から共通意識を持つやうですが、日本語の書き言葉の場合、正字舊假名遣ひがすっかり廢れてゐます。占領軍が否定したものを後生大事に、戰後60年以上たつても守り續ける必要もないとは思ひますが、如何なものでせう。
 漢字の作りの意味からも、よく解る正字の方が合理的だと思ひますし、舊假名も字面が綺麗なので私は使つてゐます。別に文化を傳承しようとか、そんな深い志で始めたことではありませんが、それに對して危機を感じる人も居るものなのですね。青木逸平著 『旧字力、旧仮名力』 生活人新書はクイズ形式で舊字の部首や作りの意味や、舊假名遣ひの合理性を説いてゐます。果たして、この本だけで問題解決するとは思ひませんが、問題提議になつたことでせう。

旧字力、旧仮名力 (生活人新書)Book旧字力、旧仮名力 (生活人新書)


著者:青木 逸平

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2008年3月21日 (金)

ゼッフィレッリ

Aida この間、新國でゼッフィレッリ演出の《アイーダ》を觀て來ました。この豪華絢爛な舞台を上演するだけで、ゼッフィレッリは著作権料を得て映画が一本取れるとの噂がある位、正統派の時代繪巻舞臺です。凱旋の場面では、馬が驅け抜け、ラダメスは乘馬で登場するのが壓巻です。まt、あこの曲にしか使わないアイーダ・トランペットが
10本も出て來るし、この先これを越えるやうな演出は二度と觀られないかも知れません。

 また、第四幕の後半、墓場は前半部で使はれた神殿部分がせり上がり、二階建て構造で演じられました。勿論、作曲者ヴェルディが二階建てと指定はしていたものの、場面転換がなくて、そのまませり上がるのは説得力があり、幕切れはまた徐々に降りて、神殿部だけとなり、虚しくアムネリスが死者の平安を祈つてゐました。

 これは、新國10周年記念の目玉だけあって、指揮、歌手も粒揃ひで「やれば、できるじゃん」って感じの優秀な舞臺でした。ラダメス役のマルコ・ベルティは腹の出たおっさんではありますが、透き通るやうな美聲テノールを聞かせ、祭司ランフィスはアルメニア出身の眼光鋭い長身のコアニアンが好演、アイーダ役のファンティーニは戀一筋にならざるを得ない奴隷を見事に演じ、タラソワのアムネリスは王女としての威厳があり、地位も名誉も財もあるのに、戀人だけはモノにできない儚さを演じ切り、堀内の血氣盛んなアモナズロ、低音が響き亘るもののやや貫禄不足な(細い)斉木の埃及國王も素敵でした。語り草になる舞臺とはかういふものなのでせう。再演演出の粟國の力、合唱指揮の三澤の力添へもあつたことでせう。

 畫像はロビーにあつた、第一幕の舞臺模型です。

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2008年3月19日 (水)

厨房設備見本市

 同時期開催で厨房機器の見本市(ホテル&レストランショウ)が、東京國際展示場(ビックサイト)でありました。ゆりかもめで一本とは云へ、結構遠いです。
 會場には、食器や厨房設備、椅子、卓子、壁紙材、照明等がずらりと並び、こちらも歩くだけで疲れる廣さです。これは創意工夫が求められる飲食店の最前線の機器が見られる絶好の機會です。今までは洋食器、銀器、硝子器しか見て來ませんでしたから、改めて和食器を見ると、非常に新鮮です。1階で使つてゐた珈琲抽出機械も現在、2階に設置しましたので、そのメーカーに挨拶したり、取引先に顔を出して、すぐに時間が過ぎます。
 丁度、會議室では業界の総會もあり、その後會長の講演。「老舗は常に新しい」。時代の空氣を先んじて讀まないとけないことを痛感した次第。

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2008年3月18日 (火)

食品見本市

 先週は、幕張へ「食品見本市(Foodex)」へ。洋食材ばかり探してゐましたが、これからは和食です。櫻のシャーベット、櫻の甘茶なんか使へないものだらうか、冷酒の小瓶180mlであつたり、興味深いものに澤山出遇ひました。外國部門では、米英豪の面積がかなり減り、伊太利、西班牙も威勢が良く、中國は倍近くになり、盛んに賣り込みです。お茶、珈琲、ワインに麦酒、アイスクリーム、煎餅、馬鈴薯のフライ、生ハム等々随分試食しました。世界の廣さを實感です。

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2008年3月17日 (月)

Handy

 今月、初めて携帶電話を持つことに。今まで通りの生活で、特に不便も感じ、ずっと、拒否續けて來ましたが、社長の居場所が判らないと困ると云はれ、仕方なしに最新式のものを購入。1セグでデジタル地上波のテレビが見え、寫眞は撮れるし、音樂も聽けるし、結構面白いものなのかも。

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2008年3月14日 (金)

バレヱ

 先日、娘たちのバレヱの發表會があり、朝から借り出されました。出番はお晝頃なのですが、髪結ひは自宅でかみさんがやつたものの、化粧、着替へ、トゥシューズへの履き替へ等思ひ他たいへんです。これが我が娘かと思ふほどの弩派手な化粧でしたが、舞臺に上がると違和感もなく、目元がぱっちりとして可愛らしいものです。他の親同様、一所懸命ヴィデオ撮りしてましたが、時々自分の子を見失ひ、いいカメラマンではありません。その上、本番10分前にヴィデオカメラが壊れ、急遽買ひに行く顛末も附きました。

 カルチャーセンターで週に1度切りしか習つてゐませんから、森下バレヱ團のやうな統一感や上手さは全くありません。それでも樂しげに踊る子供は素敵です。それに比べると、成人組は餘裕がないのか、笑顔がないどころか引き吊つてをり、手足は上がらず、ほんたうに樂しみでやつてゐるのかと疑問に思ふ程です。もう少し、作り笑ひでもして下さると、見てゐる方も氣が樂です。
 腰振りベリーダンス、ジャズダンス、韓國舞踊等普段見る機會のない、全く違ふ踊りも樂しかつたです。

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2008年3月13日 (木)

指輪 第一夜

 この間、東京文化で二期會公演、樂劇《ワルキューレ》を歡て來ました。娘が前の方で見たいと云ふので、奮發して平戸間中央、前から5列目です。歌手の聲は直接響き、オケの音も左右から聽こえる迫力のある席です。只、いつものやうな劇場全體が鳴り響くやうな感じはありません。
 ワルター、維納フィルのSP盤のおどろおどろしい嵐で聽き慣れた耳には、緊迫感なく始まります。 ワーグナー演奏に定評のある飯守泰次郎の指揮は、極めて中庸なもので、可もなく不可もなし。逆に東フィルの演奏に粗が目立ちました。ジョエル・ローウェルスの演出は、最初からヴォータンや無言演技(パントマイム)のローゲまでが出てゐて、説明過多な感じです。また、子供の頃のブリュンヒルデを出す必要があるのか、第二幕の冒頭でヴァルハラ城の廣間でワルキューレ達が連れて來た戰場の英雄たちと戯れてゐたり、そんなのは要らないと感じる演出が多々ありました。
 左右に動く黒い壁や上から降りる壁、そして上下左右に繪柄が變はる背景等、装置はなかなか工夫されてゐてよかったです。ですが終幕、岩山の魔の炎が天蓋のやうな白いカーテンが中央に柱のやうに聳え、赤い照明が照らされ、その中にブリュンヒルデが寝てるのは、どうもいただけません。陳腐で安っぽい感じがして、炎に守られてる感じが全然しません。行きずりの男に寝室を見せてゐるやうな感じ乍ら、底の方から柱のやうに聳えてゐますから、近附けない雰圍氣はよく出てゐました。また、全宇宙はヴォータンではなく、フリッカが實質握つてゐる設定なのか、いちいち登場するもの、如何なものか。

 泉良平のヴォータン、増田彌生のフリッカは押し出しもよく、聲も通り存在感がありましたが、大野徹也のジークムントは氣負ひすぎたのか、第一幕幕切れの一番の聞かせ処で音を外して、がっかり。1983(昭和58)年の二期會日本初演の《ジークフリート》の時は、何とも未熟で、蓮ッ葉な感じのジークフリートであつたことをよく覺へてゐます。さすがに25年も經てば、貫禄も増し、演技もよい分、歌の出來が斑(マダラ)なのが殘念。増田のり子のジークリンデは、日本人的な顔が浮き立つたことを除けば、問題なく、無難にこなしてゐました。
 そして、桑田葉子のブリュンヒルデは、聲も演技もいいのですが、他のワルキューレに比べて小柄な割に恰幅がよく、かみさんが出て來たのかと、子供と顔を見合はす程、雰圍氣が似てゐました。それ故か、どうも隣に座ってる筈のかみさんが舞臺に居るやうな錯覺を覺えて、不思議な感覺に陥り、ワルキューレが身近に感じる不思議。

 全體として、日本人だけでよくやれたと思ふ反面、これだけしかできない不滿も殘り、斑な演奏でした。

 

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2008年3月12日 (水)

豪州人の伊太飯

SazaePasta 能登空港へ行く前に民宿「ふらっと」に立ち寄ります。豪州人のご主人が地元の食材で作る伊太利料理が人氣の民宿ですが、事前にお願ひすればランチだけでも戴けます。此処は元々民宿「さんなみ」でしたが、移轉したところ娘さんが引き繼いで民宿をされてゐます。3室しかない「さんなみ」は、日本一の民宿として名が知れ渡つてゐますが、こちらも自宅のやうな和室にストーヴが入り、疊の上で食べる伊太利飯もいいものです。
 ご主人ひとりですから、お任せのコースしかありませんが、榮螺の大蒜風味、サラダ、パスタ、魚料理、ピザ、デザートそれにラヴァッツァのエスプレッソも附いていい感じです。そのどれにも隠し味として「いしる」が使はれてゐるのが素晴らしい。明るい奥様と豪州ワインもあつて、また訪ねたくなります。娘さん2人で我が家と同じなのところも親しみを覺へました。

 能登で一番感じたのは、人々の温かさでした。東京は昔のやうな昨日附き合ひも減り、殺伐としてるんだと思ひます。多くの方のもてなしの心に接することができて幸せでした。

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2008年3月11日 (火)

朝市

 輪嶋へ行って「朝市」へ行かない譯には參りません。出店の小母ちゃんたちの元氣のいい掛け聲につひ商品を覗き、試食してしまひます。併し、いつも同じ店で、鰈の一夜干し、河豚の醤油漬けを買ひ、反對側で鮑や榮螺の蒸したものを買ひます。今回はカワハギの糠漬けや、河豚の卵巣の糠漬けのやうな鹽辛い珍味も購入。お茶漬けにも合ひます。瓶詰めの烏賊の鹽辛も見附けました。「いしる」はまだあるので遠慮して、朝市から外れますが、冬の名物「水羊羹」も忘れません。片手の指が痛くなる程買ひ込みましたが、自宅に戻れば親類に配るのですぐに無くなるものばかりです。暫く、自宅でも日本海が味はへるのが嬉しいお土産です。

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2008年3月10日 (月)

寝豚温泉

Yushoku 一説には弘法大師が、温泉で傷を癒す野豚(猪)を見て、人にもよい筈と名附けた云はれのある「寝豚温泉」。アルカリ性の温泉はぬるっとしてますが、まとわり附くことなくサラッと流れ、肌はすべすべ、芯から温まります。海遊び「能登の庄」は幾度も泊まつてゐますが、今回は初めて家族連れでしたので、奮發して露天風呂附の部屋に。と云ふかそこが空いたので、回してくれました。何時でも入ることのできる安心感、脱衣所と小さな湯船しかありませんので、内風呂か大浴場で身體を先に洗ふ必要はあります。昨年改装したばかりで檜の香りもよく、極樂極樂。その上、大好きなマッサージ器が置いてあるので、自動設定にして、疲れをほぐします。
 遠く七つ嶋を眺め、焚き込んだ香の匂ひも微かにして、女性陣は選んだ浴衣にはしゃぎ、靴下足袋履いて、疊敷きの廊下を歩くのも嬉しい。大浴場の出入り口でこのアルカリ水を飲んで一息附いて、食事処へ向かひます。 

Suizen 夕食、それに朝食も凝った料理が並び、炉端で一寸焼くのも心地よい。輪嶋塗の器も自然に澤山使はれ、氣持ちがいい。自分で焙り焼きをする夕食は、温めるだけにしてある榮螺(さざえ)、魚、能登牛等山海の珍味が並び、地酒も合ひ幾らでも食べられます。大根のいしる漬けも初めての味はひで氣に入りました。
 朝は河豚の醤油漬けを炭火で焙って戴きます。火に掛けた豆乳が食べる頃には豆腐となり、白く手前に畝つてゐるのが「すいぜん」と云ふ海藻から作るもので、黒くほんのり甘い胡麻たれを附けて食します。
 食事に加へて、仲居さんの笑顔がいい。こちらは却つて氣を遣はねばならない老舗旅館もありますが、肩の力を抜いて、心底ゆったり寛(くつろ)げました。また行きたい、さう思はせる強い磁氣が漲つてゐます。

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2008年3月 7日 (金)

千枚田

Senmaida 能登には小さな土地を耕し、やっとお米を穫る日本の原風景とも云ふべき棚田が多く在ります。特に保護されてゐる「千枚田」は途中道路が隔ててゐるとは云へ、全部でほんたうに千枚以上あるのだとか。其の昔、全部耕し終へたお百姓さんが、蓑を取り上げたら其処にまで田圃があつたとも云はれてゐます。
 耕耘機も入らない、小さな田圃ばかりですから、無償奉仕(ボランティア)も募集してゐます。その上、稲作を存續させる爲の田圃の管理ができる「オーナー制度」も設けたさうです。所有権、賃借権はありませんが、年間を通じて他の田圃の方々と一緒に作業するのは面白いかも知れませんね。活動支援の「トラスト制度」もあり、希望により體驗もできるのだとか。どろんこ遊びや土いじりすらやったことのない都會の子供にはいいかも知れません。

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2008年3月 6日 (木)

天然鹽

Enden 能登半嶋には、昔乍らの鹽田がまだ在ります。揚げ濱式と云つて、砂の鹽田に筋目を入れ、海水を桶で組み、此処に霧状にして撒き、乾いた砂を真ん中に集め、それを板で囲つた「垂れ舟」に入れます。その上から海水を掛け、鹽分濃度の濃い海水「鹹水(かんすい)」を取り出し、今度はこれを大鍋に煮て更に濾して、再度煮詰めると天然鹽が出來上がります。

 最初、道の驛「珠洲鹽田村」へ行きましたが、此処は入場料取られて、スライド見るだけで面白くありません。昨年訪ねた所には「鹽アイス」もあつて美味かったので、そこを目指して能登先端方面に再度出發です。
 やっと見附けた珠洲製鹽へお邪魔したら、わざわざ社長を呼び出してくださり、細かく説明して下さいました。膝下まで海に入り、波を利用して桶に汲んで立ち上がること、桶の背負い方、海水の撒き方、實際にやって見せてくれます。これだとしっかり脳裏に焼き附きます。畫像の桶だとかを使ひます。寒いので實演後、扉を閉めて、暖房附けて下さいました。

 釜の上の方には食卓で使ふやうな鹽が、下の方は重い鹽分が多くて漬物用ださうです。苦鹽(ニガリ)もあります。二度煮て鹽分を抜き、ミネラルだけのものを、毎朝一滴コップ水に垂らして飲むと健康によいとか。毎日鹽を扱ってるおじさんの手の綺麗なこと。鹽の力は偉大です。

 揚げ濱に 擔ぐ桶から海水が 波立ち溢れ霧と撒かれる

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2008年3月 5日 (水)

時國家

 日本海には義經傳説も多い場所柄ですが、壇ノ浦の合戰後、「平清盛」の義弟、大納言「平時忠」は能登配流と決まり、此の地で生まれた平時國は平家であることを捨てて「時國」を姓として時國家を興し、珠洲から輪嶋に移り住んで、困窮してゐた近隣農村を助け、この地を支配する豪農としなりました。そして、江戸時代には天領、大庄屋として名字帶刀を許され、昭和の初めまで當主は駕籠で移動したのだとか。本家の上時國家にはそれらの品々が殘されてゐます。

 現在の建物1831年から28年もの歳月を掛けて建てられた茅葺き屋根の立派なもの。元は大納言故、格式の高い金縁格天井や、欄間の彫り物も手の込んだ素晴らしいもの。加賀百万石、前田の殿様が來られた時、自分は中納言故、この上座に入れぬと云はれて、紙を貼って金縁を隠したとの云はれも殘ります。
 併し、寒い。足の裏からシンシンと寒さが傳はります。入り口で毛糸のスリッパを貸してくれますが、全然役立たず、疊の上で歩いて見るだけで底冷えを體感できました。

 時國家 廣き屋敷の 寒々と 足裏響く 雪の間に間に

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2008年3月 4日 (火)

日本海

Misaki 我々の印象では、日本海と云ふとどうしても東映映畫の最初のザブ~ンと岩にぶつかる飛沫を思ひ浮かべます。ところが、富山灣側は波もなく、さりとて輪嶋沖もさしたることなく、波の華も見られません。それで、岩場に連れて行つて貰つたのが、鴨が浦。打ち寄せる荒波の一枚岩の上に木の棒があり、繩が下がつてゐます。なんと、夏場はその岩に登って、そこから飛び込むのだとか。ちゃんと頭から飛び込めて、やっと男として認められる子供たち試練の場所でもありました。海水プールもあつたり、海水浴場の袖ヶ濱も近く、夏に來てみたいものです。

Madoiwa 能登半嶋には奇岩も多く在ります。曽々木海岸の窓岩は崩落の危險もあり、近くまで寄れませんが、砂濱から見ると丁度岩の真ん中に菱形に窓が開いてゐるやうに見えます。畫像ではよく判りませんね。

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2008年3月 3日 (月)

蒔繪

 主に漆器の表面に漆で文様を描き、金粉を蒔き附けることを「蒔繪」と申しますが、今回特別に漆藝作家、箱瀬淳一さんの工房にお邪魔して、蒔繪體驗をさせて戴きました。既に完成したものではありますが、好きな器を取り、かぶれるので手に附けないやうに注意の後、描きました。銘々好きな題材で、全く違ふ描き方をするのが面白く、それだけではたいしたことないのですが、最後に箱瀬さんの一筆で命が吹き込まれます。また、世界にひとつの器の完成です。
 手前にあるのは珈琲です。生漆ではありません、あしからず。自分はやや大振りのぐい呑みを大海原に見立て、船の飛行船を描きました。ところが、どうもしっくり描けません。何も見てゐないとは云へ、艦橋が駄目です。最近に彎曲した印象が頭に殘つてゐて、曲げて描いた爲、どうもぬっぺりとしてしまひました。昔の豪華客船ならば、丈夫船體は真四角でなければならないと、後で氣附きました。

Sushi そして、工房藏の下で、海藻鍋と出前の寿司を戴きました。天氣が惡ければ、海藻も採れません。春先の青々として新芽だけを摘んだものを、味噌に酒粕を加へた鍋にしゃぶしゃぶのやうにして入れて食べます。鍋に入れると茶色い海藻がさあッと緑になるので、春を感じさせる季節料理です。寿司は地元ならではの食材に小振りの酢飯も可愛らしく、〈甲州〉樽貯藏のワインや上喜元の清酒がよく合ひます。さり氣なく、ご自分の作品に盛つてあるところが粋です。寒鰤、甘海老は勿論、能登牛、鯖の糠漬けだとか、珍しい寿司種も載つてゐました。

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