« センチュリーの危機 | トップページ | 狼谷 »

2008年4月14日 (月)

ワイン王子

W 先週金曜日に開かれた東京木下商事さんの試飲會に、キンタ・ド・コットの次期當主、と云ふよりは雑誌で取り上げられた通り「ワイン王子」の名に相應しい好青年、ミゲール・シャムパリモーさんが來日して、直接ワインの説明をしてくれました。12世紀の葡萄牙建國以前からワイナリーを所有する大富豪のご子息ですが、葡萄牙訛りのハキハキした綺麗な英語で、こちらの質問にも丁寧に答へてくれました。
 頂いた名刺には薄く家紋が入り、とても分厚いもので、少しテカりのある水を彈くやうに工夫してある感じです。仕立てのいいスーツといい、品の良さが漂ひます。

 170種位、全輸入ワインが陳列され、ほぼ品種別に、輕いものから重いものへ、順繰りに試飲できました。通常は、國別或ひは醸造所別なのですが、同じ品種でも地域や醸造所の違ひが判りとてもよいものでした。只、數が多いと、どうしても個性的なものしか印象に殘らず、それが料理に合ふかはまた別の問題です。

 さて、ワイン王子のワイン、2006年産〈パス・デ・テイシェイロ〉は、「緑の葡萄酒(ヴィニョ・ヴェルデ)」と同じですが、發泡してゐないので敢へて名乘らず、酸味主體の爽やかな味はひ。葡萄牙で最初にスクリュー・キャップを使用したと云ふもの。現當主であるお父さんが、収穫された葡萄や混醸用にワインを賣るのではなく、自家醸造ワイン造りを中心となつて推進して來たのだとか。「スクリュー・キャップはどう思はれますか」と逆に質問された爲、《今朝》はお座敷が主の店で、店主である私は呼ばれない限りワインを空けませんから、仲居にはコルクより簡單だと好評ですよ、と答へるとニッコリ。

 そして、〈ロゼ〉もありましたが、強く主張しない優しい味はひは、相手を選ばず、和食に合ひさうな感じです。それを尋ねると、よくぞ訊いてくれましたと言はんばかりに頷いてゐました。

 2004年産〈コット・レッド〉は、地元品種から造られた赤ワインで、極めて中庸な釣り合ひの取れたものでした。適度な澁味は赤い肉料理全般に合ふことでせう。

 もう一種、特別な2001年産〈グランデ・エスコリア〉もデキャンタに移したものを試飲できました。最高の収穫年だけしか醸造しないもので、地元品種乍らボルドーの赤ワインのやうな風格を備へ、濃い色調で、花や動物のやうな野性的な香りの通り、力強いタンニン、と複雑な味はひが素敵で、餘韻も長いいいワインです。只、お値段が安くありませんので、すき焼に合つたとしてもどれだけのお客さんが飲んでくれるでせうか。難しいところです。
 葡萄牙はポートワインとヴィニョ・ヴェルデだけの印象が払拭された試飲會でした。

|

« センチュリーの危機 | トップページ | 狼谷 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« センチュリーの危機 | トップページ | 狼谷 »