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2008年5月27日 (火)

鎌倉三代記

 人形浄瑠璃、文樂5月公演、第一部を觀ました。《鎌倉三代記》と《増補大江山》です。
 豐臣贔屓の大阪人にとつて、大阪城落城は徳川嫌ひを増發したかも知れません。大阪冬の陣を鎌倉時代に移して、後藤又兵衛の活躍や敵味方に分かれてしまつた真田信之と幸村、家康との戰ひを描いてゐます。

 百姓の藤三が敵方の武將、佐々木高綱(真田幸村)に似てゐると北条時政(家康)の前に捕らわれて來ます。間者として捕らわれてゐる高綱の妻、篝火は自分の夫に相違ないと言ふが、藤三の妻、おくるが驅け附けその疑念は晴れます。紛らわしいので時政は藤三に入れ墨を入れて、區別するのでした〈入墨の段〉。
 時政の娘、時姫(千姫)は三浦之助(木村重成)を慕ひ、琵琶湖畔の三浦之助の實家で母親の看病をしてゐます。御姫様故、言葉遣ひから、慣れぬ家事仕事が笑ひ誘ひますが、既に形勢不利な敵方から娘を取り返すべく、時政は次々に迎へを寄こすのでした。
 戰場から、三浦之助が傷附き乍らも討ち死にする前に一目母親に逢はうと戻りますが、母は逢つてはくれません。時姫は一途な戀を、三浦之助は母を捨てて戰場へ赴く苦惱を語り、母は飽くまで氣丈にしてゐます。そこまで嫁としてオレを愛してくれるなら、父である時政を討てと三浦之助は時姫に迫ります。親子の縁より、夫婦の契りを優先して時政を討つと覺悟を決めると、佐々木高綱が井戸の抜け穴から現れ、それまでの顛末を語ります。
 おくると共に謀った爲、藤三として入れ墨を入れられたのは實は高綱本人であつたが、これにより誰からも咎められることなく戰場に戻ることができたと云ひ、三浦之助の母は時姫に手柄を立てさせる爲に、自ら姫の槍で自害し、各々死出の旅立ちに時姫と高綱は時政の陣へ、三浦之助は戰場へと向かふのでした。

 そして、《大江山酒呑童子》に加へられた一段から、《増補大江山》と名附けられた作品は、源頼光四天王のひとり渡邊綱が鬼女の片腕を切り落とした話を描いてゐます。近頃鬼が出ると云ふので、京都一条戻り橋で美しい女性、若菜に出遇ひます。物騒故、五条まで送って行かふと申し出るが、川に寫る異形からその後の優雅な舞にも誑かされることなく退治するのでした。前半の舞に對して、後半の立ち廻りも激しく、妖力に罹らない綱の勇猛さが光ります。

 無理難題の聯續にハラハラし、飽きの來ない物語が樂しめました。
 

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