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2008年9月30日 (火)

亂れ

Padmote_2 自動二輪競技(バイクレース)のパドックは通常、普通の人が入ることの出來ない、或る意味聖域です。それを一日千名限定で有料開放してゐる日本はかなり特別なことかも知れません。
 ここ何年か、豫選二日目のパドックを訪問してゐましたが、群がるファンの殺氣立つてゐること、誰彼構はず自著(サイン)を強請る樣は異様だと思つてゐました。まだ、オペラ・ファンの方が自然と並び、列を亂さずに順序よく貰へるので質はよいやうです。獨逸Grand prixの際は、基本的に招待客しか入れませんから、無理して出待ちする譯でもなく、運良く貰へればよい程度、雰圍氣を樂しむ餘裕がありました。只の酔ッ拂ひやバイク小僧は入れませんから、安心でもありました。

 きっと、そんな日本GPの状況を憂いたのでせう、パドック二階觀覧席は上がらせず、選手に近附くにもだいぶ制限を設けたやうです。今回は決勝戰だけの觀戰でしたから、現状は判りませんが、言はれて初めて知つたファンも多いことでせう。相撲取りに對するやうに選手を叩いたり、トイレの前で待つてゐてサイン責めにしたり、あれでは氣の毒でした。これから、品良くなることを熱烈なファンのひとりしとして切望します。

 

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2008年9月29日 (月)

ヴァレ優勝

Varemote1 矢張り來てしまつた日本グラン・プリ!然も、今年はツインリンクもてぎ10周年記念の上、王者「ヴァレンティーノ・ロッシ」の年間優勝が決まる大事な一戰、外せません。
 細かいことは明日報告するとして、目の前で繰り廣げられ熱戰を觀れば血が騷ぐこと必至。豫選の結果4番目から發進したヴァレの前を行く、昨年のチャムピオン、赤いマシンのケーシー・ストーナー、それを抜いたレプソル・ホンダ組のエース、ダニ・ペドロサがどこかで失敗して一氣に三位に順位を落としてから、虎視眈々と抜く間合いを計つてゐたヴァレは我々の目の前、第3角でケーシーを抜いたかと思ふと、あれよあれよと云ふ間に間隔も廣がり堂々の一位入賞。
 優勝走行(ウィニング・ラン)は思ひ他時間が掛かり、多くの觀客席からは様子が判りません。そしてやっと現れた王者。2年ぶりチャムピオン復歸はことのほか嬉しいのでせう。白い記念Tシャツを上から羽織つたヴァレの全身からこみ上げて來るのが判ります。きっと、ヘルメットの下は笑顔に滿ち溢れ、歴史的偉業を成し得て滿足してることでせう。かういふ現場を自分の目で確かめられた嬉しさ。ありがたうヴァレ。まだまだ、王者として君臨してくれさうです。畫像はコース上で喜びを分かち合ふヴァレ!

Valemote2そして8度目の優勝を飾つた爲、腕に誇らしげに8の文字が見えるます。

 また、東京中日スポーツ新聞(トーチュウ)へ讀者記事を投稿したところ、載りました(笑)。FREEコンテンツ内ですから、上の釦「WGP」を押し、左のバナー「もてぎ通信員Report」を押すと、記事が出て來ます。「茂木リポート」として、gramophonの名で書いてます。

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2008年9月26日 (金)

蓄音機小演奏會

 手前味噌で恐縮ですが、白金に在ります「東京都庭園美術館」に於いて舊朝香宮家所藏の78回轉盤を、私の蓄音機を持ち込み、自分でゼンマイ回して、自ら解説して掛けます(笑)!

 10月2日(木)、3日(金)、8日(水)、9日(木)、10日(金) 各日共、11時と13時(30分程度)
東京都庭園美術館の2階ホールですが、椅子はありません。凡そ30分程度です。お時間の許す方は是非、お出掛け下さい。
 明日、子供の運動會後、笠間に宿泊し、明後日は茂木で應援して來ます。

 

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2008年9月25日 (木)

岩藤

 文樂ならば、自ら初日に電話してでも切符を手配するのですが、歌舞伎となると値も張り、嫌ひではないもののやや縁遠いもの。先日、母がぎっくり腰で行けず、代はりに新橋演舞場へ行つて來ました。

 第二部の《加賀見山舊錦繪》と踊りの《色彩間苅り豆》(かさね)。

 前作は女忠臣藏とも云はれる主君の仇討ち女版。悪女「岩藤」を市川海老藏、對する虐められ役「尾上」を中村時藏、仇討ちをする女中「お初」を市川亀治郎と云ふ豪華な顔振れ。亀治郎は昨年の大河ドラマで武田信玄役に附いて人氣急上昇の若手です。

 お家乘っ取りを企む悪い奴らに荷擔してゐ局「岩藤」は姫に気に入られている「尾上」に難癖を附けて、無理難題を押し附けます。序幕は竹刀での試合を申し込み、逆に女中お初にやりこめられ、怒り心頭、仕返しを誓う岩藤。
 大事な家寶を盗んでをき乍ら、尾上に濡れ衣を着させ、人前で、草履でもって滅多打ちにして折檻する岩藤。屈辱に耐えた尾上も、岩藤側のお家乘っ取りに証拠を掴んで自害してしまひ、お初が仇討ちをし、忠義も守られお家も安泰、天晴れお初、萬々歳で幕となります。

 海老藏演じる、この岩藤が憎々しげ極まり、背があるので迫力が出ます。それに對する時藏の耐える女の悲哀。そして利發であり乍ら武藝に秀でた女中お初の可憐なこと。華があります。
 現在、一番人材が豐富なのでせう。20年位前は梅幸さんも元氣でしたが、娘役はかなり無理がありました。今は、若い世代が演じる故、肌も綺麗で、若侍も張りがあり素敵です。

 文樂に比べると、大夫が語るのはト書き部分だけで、俳優が江戸時代の言葉で科白を述べる爲、ややもっさりと進行します。それでも、花道や回り舞臺、それに着物の柄も美しく、様式で魅せるのが魅力です。映畫のやうな寄り(クローズ・アップ)はありませんから、見得を切り、大事な箇所はストップ・モーションで見せる技を考へ出した江戸時代は一歩も二歩も先へ進んでゐたのですね。回り舞臺も日本の發明だと聞きました。

 踊りの通稱《かさね》は家中の腰元に手を出し、心中を決意したものの一人逃げる「與右衛門」。身籠もってゐるので足手纏ひにならうとも一緒に逃げる決心をして、木下川の堤で追ひ附いた「かさね」ですが、丁度そこへかさねの亡父の髑髏が流れ附き、その怨念により醜く變はり果てます。それを見た與右衛門はかさねを手に掛けて自分だけ逃げる筈が、今度は死んだかさねの怨靈により逃れられないのでした。

 因果應報の物語ですが、美しい娘の華やかさが一轉、醜い娘に變はつた途端に捨てられる哀れ。かさねが實は以前與右衛門が殺した百姓助の娘だと云ふ重なる話。奧深いお化けものでした。與右衛門の色男振りを海老藏がきっちり演じ、かさねの艶やかさと幽靈が見事な亀治郎。こちらも堪能しました。

 また、歌舞伎を見たくなりましたね♪

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2008年9月24日 (水)

十三夜

13ya_2 秋色手拭ひ、もう一部屋は「十三夜」。中秋の名月、十五夜は過ぎましたが、樋口一葉の小説『十三夜』の一場面を墨の濃淡で描いた風情のある淺草「ふじや」の作品です。壁が反射して線が入つてゐますが、落ち着いた色合ひです。

 夫の仕打ちに耐えかね離縁覺悟で家を飛び出した阿關(オセキ)。置いて來た子供が不憫だと父親に諭され、人力車で戻ることに。車夫は淡い戀心を秘めてゐた幼馴染みの録之助でした。添ひ遂げられなかった二人は十三夜の明るい月の下、夜道を歩き出すのでした…。

 不忍池の畔に在る黄楊櫛の「十三屋」や神田の串焼「十三屋」もクシ(九+四)から來てゐます。西洋では嫌はれる數ですが、奇數を尊ぶ我々には決して不吉な數ではありません。

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2008年9月22日 (月)

Throne of Blood

Kumonosu 邦譯すると《血染めの王位》ですが、これは黒澤明1957年作品、映畫《蜘蛛巣城》の英題です。ご存知の通りシェークスピアの『マクベス』を原作として、戰國時代の日本に舞臺を移して撮つたものです。

 配下の謀叛から、絶體絶命の危機に陥つた蜘蛛巣城、城主都築國春(佐々木孝丸)。籠城を決意し最後の一兵迄で戰ふ決意をしたところに折良く、鷲津武時(三船敏郎)と三木義明(千秋實)の活躍により危機は回避されたことを知る。大勝利を直接知らせる爲、蜘蛛巣城へ向かふ二人は森の濃霧の中で道に迷ひ、物の怪の老婆(浪花千栄子)に出遭ふ。武時はやがて蜘蛛巣城の城主となるだらうと豫言を授けられ、それを知った妻の淺茅(山田五十鈴)に唆され、或る晩、自城に滯在した國春を殺し、蜘蛛巣城城主となるのだが…

 餘り詳しく書くと未だ觀てゐない人にネタバレになるので止めてをきますが、シェークスピアと云ふより黒澤の世界觀がしっかりと出た、戰爭映畫です。先日、衛星放送で初めて見ましたが、噂通り、最後に武時が次々と矢を射かけられる場面では、特撮にない大迫力。大寫しの三船の恐怖におののく顔が印象的です。三十三間堂で通し矢をしたと云はれる人間國寶級の名手が射つた矢がバシバシ飛んで來ます。一寸間違へれば殺人になりかねない近距離に射來まれる爲、後で酒に酔つた勢ひで黒澤の自宅に押し掛けたと云はれる位生死を賭けた撮影であつたのですね。

 それに冒頭、霧の中に「蜘蛛巣城跡」の立て札から、霧に埋もれ晴れると城になると云ふ時空の超え方も素敵です。陸自の北富士演習場で撮つたのか、サラサラ火山土壌だとかに佇む兵士の間に霧が流れ、その切れ間を待つて撮影されたのでせう、絶妙なところに拘りを感じます。山の麓に城が在るのは山上から攻められさうで、やや不自然な感じもしますが、戰の無常觀がよく出てゐました。
 そして、時代考証に從ひ眉毛を剃り、おでこに朧眉を描いた奥方の化粧が怖い。手を洗ふ場面はシェークスピアと同じですが、陰影の強い白黒映畫の良さが出て、おどろおどろしい雰圍氣がよく醸し出されてゐました。矢張り、黒澤作品は白黒時代の方が好きです。

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2008年9月19日 (金)

移籍

Dani 自動二輪周回軌道競走、MotoGP世界選手権(WGP)も夏休み以降後半戰に入るとだいぶ勝敗がついて來て、先の第14戰インディアナポリスで7勝目を擧げたヴァレが年間優勝に一歩前進。次戰日本グラン・プリで4位以上に入れば自力で年間チャムピオンを獲得します。

 そして氣になるのが來年の次期組の動向が氣になります。全く精彩を欠いてゐたメランドリはドゥカティからカワサキへ移籍、今期成績の奮はなかつたホンダの主力選手ニッキー・ヘイデンがドゥカティに移籍します。このレプソル・ホンダ組にはドヴィッツィオーゾがチーム・スコットから入り、250cc級から高橋裕紀が昇格する模様です。やったぜ、裕紀!KTMの青山博一はどうしたのでせう。今期は全然活躍の場がなくて氣の毒です。

 さて、青山に在る「ホンダ・ウエルカムプラザ青山」では昨日より24日まで2008年度、MotoGP世界選手権の第15戰、日本グラン・プリ直前の企劃として、昨年のMotoGP二輪車を公開してゐます。今年はMotoGP開催60周年の節目であり、ツインリンクもてぎは10回目の連續開催となります。尚一層の盛り上がりを見せて欲しいもの。

 ダニ・ペドロサ、ニッキー・ヘイデン、中野 真矢、高橋 裕紀宛に、各選手別横斷幕が用意されてゐますから、昨日真ッ先に應援文を書き込んで來ました。先着300名と云ふ來場記念品も貰へて、ひとり氣を吐くgramophonでした。中上貴晶選手の應援Tシャツが出たので、早速入手。結局、來週末は騷ぐ血を抑へられず、家族を連れて茂木です!

 畫像はカタルニアの星、ペドロサが昨年愛用した二輪車です。

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2008年9月18日 (木)

口上

 襲名披露で型通りの挨拶を舞臺でするあれである。揃ひの裃を着て、ずらりと並んだ姿は清々しく、立派な上、丁寧な挨拶が順繰りに繰り返される形式も美しい。先日の文樂東京公演では、吉田清之助改め五世豐松清十郎襲名披露の口上が行はれました。住大夫、寛治の兩人間國寶、再起した簑助も短い乍らもハッキリとしたご挨拶、勘十郎に文字久大夫と今をしょって立つ連中ばかり。日本語が美しい。

 この日は猿回しの門出の祝ひが涙を誘ふ《近頃河原の達引》、口上の後に狐の變化(ヘンゲ)が可愛いらしい《本朝廿四考》。元氣になつた住大夫が良く、相變はらず聲の通らない綱大夫は殘念でしたが、嶋大夫の語りは泣けます。寛治の三味線の冴へ、貫太郎の琴も上手でした。

 別の日に觀た第二部の《奥州安達原》は鬼婆の傳説も交へた源頼義&義家親子に滅ぼされた奥州の安部頼時の「前九年の役」後日談です。勘當した娘が目の不自由な乞食となつて親の前に姿を現しても、武家なので家に招き入れることもできず、父儀仗は宮樣行方知れずの責任を取り切腹、娘は我が身を嘆き、子供をあづけて自害してしまひます。流刑にされてゐた桂中納言則國が實は頼時の息子、貞任であつたり、親切な老女が妙藥になる胎兒が欲しいと人殺しになつたりして、然も安部頼時の妻、貞任、宗任の母であつたり、どんでん返しも多く臺本の良さが光る時代物。

 〈一つ家の段〉では、清治の三味線が光ります。音だけで判る程、切っ先がよく、鮮やかな藝が活きます。


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2008年9月17日 (水)

牛肉を食すと云ふこと

 関東で「肉饅(ニクマン)」と云へば、即ち「豚」を指しますが、関西ではこれは「豚饅」のことで、肉とは牛肉のことなのですね。それは「カツ」でも同じこと。関東の「カツ」が豚なのに對して、関西では「ビフカツ」を指すのだとか。農耕に牛を使つてゐた関西では、年老いた牛を肥育して食べるやうになつたのだとか。それ故、松阪牛や神戸牛、近江牛と發展して來たらしい。

 歐州でご馳走と云へば、「子羊」でせう。牧畜生活が基本であつた彼等はハレの日に子羊を潰して、もてなしたその傳統があります。しゃぶしゃぶの元は北京風の羊鍋ですから、臭さに慣れない日本人向けに牛肉になり流行りました。
 東京人のご馳走は今も「牛肉」でせう。「ビフテキ」なんかなかなか食べられませんでしたが、ファミレスでも今は氣樂に食べられます。牛肉と聞けば、誰もが目を輝かしますねえ。


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2008年9月16日 (火)

食料自給率

 自國で作る製品より、輸入品が安ければ、それを使へばよい、と云ふのが自由貿易經濟の基礎だと教へられて來ました。併し、中國の毒入冷凍餃子事件を契機に、日本の食料自給率が半分にも滿たないことを自覺してから、高い國産野菜を食べる人が増えたのは良いことです。

 安くて安全なんてあり得ない筈なのに、求める消費者が居るから、それ應へる企業が擬装するのですが、なかなかその邊が傳はりません。手間暇掛けた食品は高いのです、だから安心だと思つて貰へない悲しさ。おタクのすき焼は高いから行かないと云ふのも判斷基準のひとつですから、否定はしませんが、ハレの日に年に一度位ど~んと大枚叩いて召し上がつて戴きたいもの。松阪牛は高いのです。

 でも飼料は米産の玉蜀黍であつたりする譯で、米國植民地から未だに抜け出せない所以かも知れません。そんなこと考へてゐると、美味しいものも喉が通らなくなりますねえ。

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2008年9月12日 (金)

紅繁縷(ベニハコベ)

 佛蘭西革命の最中、ロベスピエールの粛清により、罪なき貴族が斷頭臺に消え行くことを良しとしない英國人貴族パーシー・ブレイクニーは密かに革命政府に捕へられた貴族たちを、人知れず救出してゐた。英名「スカーレット・ピンパーネル」の圖柄の紋章を殘したことから、ジャコバン黨の革命政府は彼を捜し出して処刑することを命じられたのであつた。

 そんなバロネス・オルツィの冒險譚が1997年に音樂劇(ミュージカル)に仕立てられ、更に小池修一郎が寶塚少女歌劇團向けにした『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット・ピンパーネル)』を觀る。主催出資社の招待によるもので、長女を連れて行く。

 さすが入り口に社員が並びお出迎への上、プログラム入りのお土産を手渡し、更に途中休憩には座席番號がそのまま抽選券となる籤引きとなり、豪華なおもてなしでした。
 初めての「ヅカ」なのですが、貸切公演故、普段の雰圍氣とはだいぶ違ふのでせう、男性もチラホラ見掛けます。主演の男役安蘭(アラン)ケイ女史の美しいこと!マイクロフォンで聲を拾ふとは云へ、歌あり踊りあり、早變はりあり、さすがトップ・スターとはかくありき。後ろで踊る人も水準は高く、揃つた踊りも綺麗。これなら女性が夢を見てはまるのも頷けます。
 最後のラインダンスや順番に階段を下りて來る際に足下を見ないのが素晴らしい。管絃樂團による生演奏も雰圍氣を盛り上げ、堪能致しました。

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2008年9月11日 (木)

Non, je ne regrette rien

 波瀾万丈の人生を歌に捧げたシャンソン歌手エディト・ピアフ(1915 - 1963)。昨年公開された映畫《エディット・ピアフ 愛の賛歌》。彼女を知らない人から、「えっ、海老ピラフ?」と未だに聞き直されますねえ。

 本人の歌ふ曲が次々に流れ、臆病と傲慢さが入れ變はる気弱なピアフは、貧しい生まれ乍らも歌だけでのし上がり、戰後、愛しすぎた拳闘家マルセル・セルダンの飛行機事故から麻藥に溺れ、どうにも立ち直れない時に持ち込まれたこの曲に自身を重ね、巴里の「オラムピア劇場」で再起を誓ふのでした。それが『水に流して』。

  いいえ、ぜんぜん
  いいえ、私は何も後悔してゐない
  私が人にした良いことも、悪いことも
  何もかも、私にとってはどうでもいい

  いいえ、ぜんぜん
  いいえ、私は何も後悔してない
  私は代償を払った、清算した、忘れた
  過去なんてどうでもいい

 どなたの翻譯か知りませんし、正確でないかも知れません。先週末に衛星有料放送で觀たのですが、實はこの間の旅行の際、フランクフルト直行便の中で觀て、號泣してしまひました。案外と涙腺は緩い方なのですが、人の目、家族の目が氣になりぐっと堪えて泣けません。何故かこの時は、無理して休みを取ったり、仕事のこと、色々なことが頭の中を巡り、ドバ~と感情が溢れ出て止められず、聲を出して泣いゐました。前に座る子供たち、隣のかみさんも吃驚して人の顔を覗き込むも、言葉にならず、ぐしゃぐしゃになるとはかう云ふことなのだと合點し、彈けた感情が落ち着くと妙にすっきりしてゐました。音樂は直接心に訴へ掛けるものですね♪

 また、映畫の中の談話で好きな食べ物の問ひに「牛肉のフィセル(Boeuf a la ficelle)」と答へてゐました。食べたことありませんが、牛フィレ肉を紐で括り、紐の片方を鍋の取手に縛り、 野菜ブイヨンの中に肉を垂らして煮込む料理らしいです。


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2008年9月10日 (水)

マイセン

Meissen 嘗てザクセン選帝候の居城のあつたエルベ河畔のマイセン。ドレスデンから25粁しかなく、レンタカーで行くには丁度よい距離です。このマイセン大聖堂は1250年から建築が始まり、1470年には隣接してアルブレヒト城が建てられました。
 東洋の磁器に魅せられたアウグスト強王の命により始められた白磁の研究は、錬金術師ベトガーにより1709年に技術が確立したものの、秘密漏洩を恐れた王はこの城に軟禁して技術流出を止め、此処にマイセン磁器工房として開窯されたのです。そして、1717年には染め附け磁器の焼成に成功し、マイセン磁器の名は歐州中に知られました。

Meissenp 今は別に工房が在り、見學できます。ヘッドフォンを借りると、ちゃんと日本語もあり、手描きで柄を入れ、小さな部品を附けて行く樣(左圖)が見られます。生憎とユーロ高の爲に繪葉書しか買へませんでしたが、景德鎮に柿右衛門や伊万里の技を此処で見られるのは不思議です。

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2008年9月 9日 (火)

葡萄畑

 シュロス・プロシュヴィツ醸造所へは日本から直接メールで豫約を入れただけでなく、取引のある輸入元からも連絡を入れて戴いたので、役員自ら案内をしてくれました。勿論、日本から手土産を持つて行つたのは云ふまでもありません。最初に事務所に通され、旅の目的なんか聞かれるから、MotoGPの獨逸GPへ行った話をすると、全員が話に乘って來るので吃驚。誰でも知る内燃機關運動(モータースポーツ)であつたのですね、日本とは大違ひです。

 そして、(うちの家族には必要ありませんでしたが)醸造所の現況や、對日輸出に就いて詳しい説明があり、設備の見學、最近始めた宿泊所(ペンジオン)では次回お泊まり下さいと勸められ、今度始めるレストランの現場まで見せて戴いた後、母屋とも云ふべき18世紀に建てられ、現在修復中の城へ車で移動し、そして畑を案内してくれました。

 畑では丁度お晝時で農作業を終へた人々が解散するところでした。そこには何とご當主自ら農作業を指導してゐました。Dr. Georg Prinz zur Lippe、貴族ですからプリンツ・ツア・リッペと云ふ稱號が附いてゐます。直譯すると「唇王子」になつてしまひますが、葡萄酒醸造家に相應しい名前です。東西統一後、莫大な金額を拂つて畑に醸造所、それに城を一族で買ひ取つたと云ふのです。それで急に近頃名前が賣れて來た由來が判りました。荒廢した畑を直し、廢屋同然であつた醸造所を修理し、現在は城の修復と云ふやうに順繰りに直してゐる最中ですが、既にワインは評判を得て賣り切れ續出なのは素晴らしいことです。

 ご挨拶したら、お世辭でせうが私の獨逸語を褒めてくれた爲、20年前に働いてゐたと話すと「えっ、こんなに小さい頃から?」とぐっと手の平を膝まで落として云ふので泣き笑ひ。冗談でも背丈の低いのを氣にしてるのに、一本取られました。「今度、うちのレストランですき焼特集をやりませう」とのご提案も。和牛や白髪葱、白瀧が手に入らない場所では難しいなあと思ふ反面、面白さうだとにこやかに相鎚ちを打ちました。

 それから試飲所に戻り、地元のチーズを食べ乍ら10種以上のんびり晝食を兼ねて試飲です。乾いた空氣の中では何を戴いても美味しく、吐器に流すのは勿體なくて珍しく全部飲んでしまひました。かう云ふ時に嫌な顔しないで運轉してくれるかみさんにも感謝して、欲しいと云ふ自家製バルサミコ酢と甘口ワインを買ひました。

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2008年9月 8日 (月)

葡萄果汁

Saft 7月にザクセンへ行った時に、マイセン郊外に在る葡萄酒醸造所を一軒訪ねました。最近めきめき力を附けて來た「シュロス・プロシュヴィツ醸造所」です。9時半の約束でしたが、案外道路も空いてゐたので早めに到着したら、どうぞお這入り下さいと試飲所に招き入れてくれました。

 レース場での雨模様から一轉、夏の日差しが強く喉が渇いてゐた爲、大人には歡迎のゼクト(發泡酒)、子供には葡萄果汁(ぶだうジュース)を振る舞つてくれました。日本の醸造所に置いてある葡萄果汁はその多くが濃縮還元の輸入果汁なのですが、此処ではきちんと自社で絞ったものです。爽やかな酸味とコクのある甘味が疲れを癒してくれます。日本だとどうしても、収穫された葡萄は全部ワインにしたいのでせう。獨逸もそれは同じですが、子供が飲むだけでなく、そのままワイン酢の代はりに料理に使ふ人もゐる位旨いのです。ワインの醗酵前まで同じ行程となる除茎や壓搾作業がある爲、本格的な収穫を前に試し運轉で機械を動かすのだとも聞いたことがあります。丹念に造るのはワインと同じですから、1本800圓近くしますが、それだけの價値のある味はひでした。これは凄いと重いのに1本購入しました。

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2008年9月 5日 (金)

シュール・リー

Surlie ロワール河河口附近のナント近郊産の白ワイン「ミュスカデ・エ・メーヌ シュール・リー」は、酸味だけの單調な味はひを補ふべく、醗酵後も澱の上(シュール・リー)に寝かせて味はひに深みを持たせ、春先再醗酵し始める前に瓶詰めにする方法を採用してゐます。それを80年代後半、まだ甘口ワイン主流の日本で〈甲州〉に應用し辛口仕立てで、世に問ふたのがメルシャンの現在の「勝沼甲州」です。

 勝沼地區全體の底上げを狙ひ、醸造技術を開放してゐるメルシャンですから、近隣の醸造所も真似をして切磋琢磨した結果、どの藏でも普通に行ふやうになつてゐます。その上、今では〈甲州〉シュール・リーと云へば、ルバイヤートと云はれる位丸藤葡萄酒さんのワインが有名になりました。
大手さんが必死に魅力を探るべく分析調査をしてると云ふ噂もある位、飲み應へもする、きりりとした酸味の辛口ワインです。現社長んとは、17年位前に知り合ひ、訪ねる度に單刀直入に感想を述べ、日本のワインのあり方を一緒に惱み、向上を願ひ、毎年の仕上がりを樂しみにしてゐます。

 我が家の定番として、お客さんが來た時だけでなく、勿論、すき焼「今朝」にも置いてゐます。前菜や新涼造り(冷たいしゃぶしゃぶ)にも負けない味はひ、案外、しゃぶしゃぶにも合ひますね。〈甲州〉は日本で唯一のワイン用葡萄品種ですが、まだまだ魅力に溢れ、可能性があります。

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2008年9月 4日 (木)

勝沼のフレンチ

Sep1Sep2 「山梨縣人は食べ物に興味がない」と醸造所へ行く度に聞かされ、「今朝さんお店やらない?」なんて冗談も。噂では聞いてゐた驛近くの佛蘭西家庭料理屋のセパージュへ初めて行きました。
 一軒家を改装した店は窓から甲府盆地が見渡せ、こぢんまりとした造りです。晝食時は1,800圓の定食だけですが、前菜一品の後、主菜の魚か肉か選べ、天然酵母パンに食後の飲み物が附き、お好みで羮(スープ)やデザートを追加することもできます。小さな子を連れた家族や女性客が目立ちます。

 西班牙風オムレツの後、主菜に甲州豚の煮込みを選びましたが、どちらも輕くするッと入り、また來たくなる味はひです。基礎のきちんとした調理人が仕上げた真面目な味はひです。但し、臨時雇ひなのでせう、給仕の女性は餘裕がなく、お皿を下げるのに卓子の上でフォークとナイフを縱に揃へてるのには吃驚。できたら持ち上げて、腕の上でフォークとナイフを落ちないやうに×印に重ねて欲しいもの。そして3枚持つてくれたらもっとよかったかも。田舎故文句は言ふまいって、此処で書いちゃいましたが…。今後に期待します。

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2008年9月 3日 (水)

深秋山水

Akisansui 根本さんに出してゐた掛け軸が装ひも新たに戻りました。水洗ひ、染み抜きの上、周りを取り替へて見事に生まれ變はつてゐます。畫像はずッと寄つて繪だけしか寫してゐませんので、ご來店の際にとくとご覧下さい。將に蘇生した感じです。
 今迄氣附かなかつた水泡、水紋、川の色や鳥、そして奥行きが出て、奥山に分け入つたやうに見事な繪が再生されました。「夏雲」と云ふ號は圓山應擧(1733-1795)も使つてゐましたが、そんなに古いものではありませんから、別人です。

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2008年9月 2日 (火)

秋色

Momiji お盆明けから涼しくなり、掛け軸及び手拭ひ額も模様替へです。流水に紅葉が映えます。

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2008年9月 1日 (月)

生き殘り

 防災の日に相應しいと思ふ一冊。柘植久慶著 『21世紀サバイバル・バイブル』 集英社文庫。佛蘭西外人部隊としてコンゴ動亂、アルジェリアと實戰を重ね、ベルランにも度々訪れた筆者ならではの現實的な危機回避法が示してある。昔は怖いものと云へば「地震・火事・親父」であつた筈が、親父の代はりに「殺戮者」かも知れません。政治信条達成の爲に破壊活動や直接的暴力を奮ふテロリストだけでなく、無差別殺人へ驅り立てられる、何でも人の所爲にする病人たち。

 ボウイスカウトの標語に「備へよ常に」と云ふのがありましたが、事前に周到な準備をしてをかないと、大震災で生き殘れないことを實感。北朝鮮が侵攻して來たら3日で首都が鎮壓されてしまふかも知れません。何もしないより考へるのは大事だけれども、いざ行動となるとこれまた二の足を踏むのも事實。ですが、東京で直下型の大地震に襲はれれば、少なくとも3日乃至一週間は助けは來ないだらうから、一日一人3立(リットル)の飲料水だけでも確保する必要がありますね。せめて、使った風呂の湯をすぐに抜かないと云ふだけでも、生死の分かれ目になる可能性もあります。

21世紀サバイバル・バイブル (集英社文庫)Book21世紀サバイバル・バイブル (集英社文庫)


著者:柘植 久慶

販売元:集英社
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