« 十三夜 | トップページ | 蓄音機小演奏會 »

2008年9月25日 (木)

岩藤

 文樂ならば、自ら初日に電話してでも切符を手配するのですが、歌舞伎となると値も張り、嫌ひではないもののやや縁遠いもの。先日、母がぎっくり腰で行けず、代はりに新橋演舞場へ行つて來ました。

 第二部の《加賀見山舊錦繪》と踊りの《色彩間苅り豆》(かさね)。

 前作は女忠臣藏とも云はれる主君の仇討ち女版。悪女「岩藤」を市川海老藏、對する虐められ役「尾上」を中村時藏、仇討ちをする女中「お初」を市川亀治郎と云ふ豪華な顔振れ。亀治郎は昨年の大河ドラマで武田信玄役に附いて人氣急上昇の若手です。

 お家乘っ取りを企む悪い奴らに荷擔してゐ局「岩藤」は姫に気に入られている「尾上」に難癖を附けて、無理難題を押し附けます。序幕は竹刀での試合を申し込み、逆に女中お初にやりこめられ、怒り心頭、仕返しを誓う岩藤。
 大事な家寶を盗んでをき乍ら、尾上に濡れ衣を着させ、人前で、草履でもって滅多打ちにして折檻する岩藤。屈辱に耐えた尾上も、岩藤側のお家乘っ取りに証拠を掴んで自害してしまひ、お初が仇討ちをし、忠義も守られお家も安泰、天晴れお初、萬々歳で幕となります。

 海老藏演じる、この岩藤が憎々しげ極まり、背があるので迫力が出ます。それに對する時藏の耐える女の悲哀。そして利發であり乍ら武藝に秀でた女中お初の可憐なこと。華があります。
 現在、一番人材が豐富なのでせう。20年位前は梅幸さんも元氣でしたが、娘役はかなり無理がありました。今は、若い世代が演じる故、肌も綺麗で、若侍も張りがあり素敵です。

 文樂に比べると、大夫が語るのはト書き部分だけで、俳優が江戸時代の言葉で科白を述べる爲、ややもっさりと進行します。それでも、花道や回り舞臺、それに着物の柄も美しく、様式で魅せるのが魅力です。映畫のやうな寄り(クローズ・アップ)はありませんから、見得を切り、大事な箇所はストップ・モーションで見せる技を考へ出した江戸時代は一歩も二歩も先へ進んでゐたのですね。回り舞臺も日本の發明だと聞きました。

 踊りの通稱《かさね》は家中の腰元に手を出し、心中を決意したものの一人逃げる「與右衛門」。身籠もってゐるので足手纏ひにならうとも一緒に逃げる決心をして、木下川の堤で追ひ附いた「かさね」ですが、丁度そこへかさねの亡父の髑髏が流れ附き、その怨念により醜く變はり果てます。それを見た與右衛門はかさねを手に掛けて自分だけ逃げる筈が、今度は死んだかさねの怨靈により逃れられないのでした。

 因果應報の物語ですが、美しい娘の華やかさが一轉、醜い娘に變はつた途端に捨てられる哀れ。かさねが實は以前與右衛門が殺した百姓助の娘だと云ふ重なる話。奧深いお化けものでした。與右衛門の色男振りを海老藏がきっちり演じ、かさねの艶やかさと幽靈が見事な亀治郎。こちらも堪能しました。

 また、歌舞伎を見たくなりましたね♪

|

« 十三夜 | トップページ | 蓄音機小演奏會 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/41030/23781596

この記事へのトラックバック一覧です: 岩藤:

» CR−Xデルソル 中古車 [CR−Xデルソル 中古車]
■CR−Xデルソル 中古車!! [続きを読む]

受信: 2008年9月25日 (木) 14時51分

« 十三夜 | トップページ | 蓄音機小演奏會 »