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2008年9月18日 (木)

口上

 襲名披露で型通りの挨拶を舞臺でするあれである。揃ひの裃を着て、ずらりと並んだ姿は清々しく、立派な上、丁寧な挨拶が順繰りに繰り返される形式も美しい。先日の文樂東京公演では、吉田清之助改め五世豐松清十郎襲名披露の口上が行はれました。住大夫、寛治の兩人間國寶、再起した簑助も短い乍らもハッキリとしたご挨拶、勘十郎に文字久大夫と今をしょって立つ連中ばかり。日本語が美しい。

 この日は猿回しの門出の祝ひが涙を誘ふ《近頃河原の達引》、口上の後に狐の變化(ヘンゲ)が可愛いらしい《本朝廿四考》。元氣になつた住大夫が良く、相變はらず聲の通らない綱大夫は殘念でしたが、嶋大夫の語りは泣けます。寛治の三味線の冴へ、貫太郎の琴も上手でした。

 別の日に觀た第二部の《奥州安達原》は鬼婆の傳説も交へた源頼義&義家親子に滅ぼされた奥州の安部頼時の「前九年の役」後日談です。勘當した娘が目の不自由な乞食となつて親の前に姿を現しても、武家なので家に招き入れることもできず、父儀仗は宮樣行方知れずの責任を取り切腹、娘は我が身を嘆き、子供をあづけて自害してしまひます。流刑にされてゐた桂中納言則國が實は頼時の息子、貞任であつたり、親切な老女が妙藥になる胎兒が欲しいと人殺しになつたりして、然も安部頼時の妻、貞任、宗任の母であつたり、どんでん返しも多く臺本の良さが光る時代物。

 〈一つ家の段〉では、清治の三味線が光ります。音だけで判る程、切っ先がよく、鮮やかな藝が活きます。


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