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2008年12月27日 (土)

この一年

Newy 振り返りますと、弊社の案内出版の他に

  飛行船專門誌『ブイヤント航空』に投稿1回、

  バイク雑誌『Riding Sports』に投稿1回、
  『トウチュー』バイク関連電子頁に投稿1回、

  日本放送協會 教養番組「美の壺」に蓄音機のことで出演、
  「東京都庭園美術館」に於ける蓄音機小演奏會10回、
  78回轉盤を提供した板興しの音樂CD3枚、

  TBSのヴァラエティー番組「ひみつのアラシちゃん」に出演、

と執筆と露出度の高い一年でした。

 その反面、近所で30年以上お附き合ひのあつたお茶屋が廢業し代はりを探すのに一苦勞し、また獨立以來贔屓にしてゐた豆腐屋も廢業した爲、戰前からのお附き合ひのあつた元の業者に戻したり、すき燒屋を續ける環境も變化してゐます。

 來年は「學びの年」と定め、社長就任二年目として改めて經營を見直し、痛んだ箇所の修復は勿論、本格的に表具を習ひに出掛け、掛軸の簡單な補修くらいは自分でやり、器の再生として「金繼ぎ」も試し、蓄音機のことでもう少し勉強して行かうと考へてをります。
 一年間ご贔屓にお讀み下さりありがたうございました。本日、夜もご豫約戴いてをります故、休憩時間に大掃除も濟ませて新しい年をお迎へしたいと存じます。皆様も、よいお年をお迎へ下さい。

 新年は5日(月)より通常營業致します。

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2008年12月26日 (金)

贈り物

 この間のウェルカムプラザでの恒例の行事は、抽選會と握手のみで、サインは御法度でした。併し、終了後暫く待つてゐると私服に着替えた選手が續々と二階の階段から下りて來て、實に氣樂に應じてくれました。勿論、黒山の人だかりでしたが、押し合はず、さして混亂もなく割に順繰りに。

 清成龍一選手商品は今回何も持つて來なかつたので、高橋裕紀選手にひとり絞り待つてゐました。裕紀(親しみを込めて呼び捨てにします♪)とは獨逸Grand Prixのパドックで一緒に撮つた寫眞がありますので、其処にして貰ふ爲です。握手會の折りに來年は獨逸へ行けないと傳へたら、とても寂しそうな顔をしましたが、茂木には行きますよと應へる、元氣に「お待ちしてゐます」との一言にこちらも感激。來年は本格的に應援しなくてはならないぞと云ふ熱い思ひが沸き上がるのでした。
 伊太利へ渡つた當初、會話も苦手で誰とも話さないレースを心待ちにしたと云ふ裕紀。大きな怪我で足の指先の感覺を失つても不屈の精神で勝ち取ったMotoGPの座席。大治郎が果たし得なかった年間優勝を是非飾つて欲しいものです。

 階段下で待つてゐても、真っ先に自分の所まで降りて來てくれて、差し出した寫眞に自著をする前に「下まで降りていいですか」とご丁寧な言葉。焦つて差し出した自分が恥ずかしい(瀧汗)。押されて誰か倒れでもしたら、危ないですからね。何と大人になつことでせう。24歳の今が伸び盛りなのに違ひありません。今年の基督降誕祭の大きな贈り物を戴きました。

 背番號26、ペドロサの愛車に跨ることもできました(笑)。全くいい年して小僧と
同じやうに喜ぶ自分。

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2008年12月25日 (木)

笑顔

 基督降誕祭に相應しい映畫のご紹介!昨年公開された陣内孝則監督作品《スマイル 聖夜の奇跡》。タップダンサーとしての夢を捨て、戀人の住む北海道に赴いた修平(森山未來)が、結婚の條件として戀人、靜華(加藤ローサ)の父親から出された課題は弱小アイスホッケーチームの勝利であつた。全くアイスホッケーを知らない修平だが、タップの音感を生かした奇想天外な試合攻略方法、信じる者にしか奇跡は起きない、笑顔の爲に戰ふと教へる姿も清々しさ。
 また、チームのエース昌也は事故で兩親を失ひ笑顔もなかったものの、東京から來たフィギュアスケートの禮奈との交際で徐々に心を開き、笑顔を取り戻して行くのだが…

 ネタバレにならないやうに、ここまでにしてをきませう。青春運動(スポーツ)映畫ですが、間抜けた表情の今風の若者を好演する未來の直向(ひたむ)きさがいい。近頃、俳優としてしか見てゐなかつた陣内孝則がアイスホッケーに魅せられ、8年も掛けて考へ抜いただけあり、笑ひあり涙ありの一流娯樂(エンターテイメント)に仕上がつてゐます。

 決勝戰の前半終了後、完全に追ひ詰められ誰も聲すら出せない位に落ち込んだ時、コーチ修平が渾身の力で〈LITTLE DRUMMER BOY〉を歌ひ、チームに、そしてブラスバンドに、觀客に廣がる音樂の素晴らしさに思はず落涙。元歌劇歌手を目指してゐたものの、ロバート・デニーロ似の漁師と驅け落ち同然でやつて來た母(森久美子)がすッくと立ち上がり、歌ひ出す姿にうちの子供たちは大笑ひしてましたが、ひとり涙する父でした。きっと、貴方に勇氣を與へてくれることでせう、必見です!

http://dogatch.jp/cinema/smile/popup/pop_mov.html?id=0

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アーティスト:サントラ,RAMONES,ジャクソン5,レミオロメン,T.レックス,修平,幹夫の母,スマイラーズ

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2008年12月24日 (水)

2&4

2x4 自動車競走國際方式(フォーミュラ)1の撤退を決めたホンダの青山に在るウェルカムプラザで内燃機關運動愛好者感謝行事(モータースポーツファンイベント)が日曜日に行はれ、恒例通りのこのこ出掛けました。10時に配布される整理券は前から割り振った座席番號順でしたが、今年から順番に好きな席を選べるやうになり、右側端から2番目52番を選び寫眞機構へて、カメラ小僧のやうです。

 基督降誕祭前夜に因んだ、二輪選手、四輪選手合はせてのこの企劃も大ちゃんの元氣な頃から參加してゐますが、今回は5名も壇上に。2輪からはスーパーバイク世界選手権の我らの清成 龍一選手、來期は250ccからMotoGPへ進歩した高橋 裕紀選手、4輪からは全日本モトクロス選手権シリーズ IA2級の平田 優選手、4輪からは米國インディーカーの武藤 英紀選手、SUPER GTの伊澤 拓也選手と豪華な顔触れ。司會は元二輪選手のお馴染み宮城光さん。

Kiyo 清成選手(左)は集中力がレース以外で發揮できず、會話が空回り、精悍さが増した裕紀(右)は丁寧にきちんと應對し、右手の大きな手術痕を見せてくれた平田選手は野山を走るモトクロスでは泥も口に入るとか、笑ひを取ることばかり氣にしたおちゃめな武藤選手は米國のトレーラーカーでの豪華な住まひを披露し、4輪車は冷却水が着衣の中を巡るとか、初めて知ることばかり。伊澤選手は女性雑誌「CanCan」に連載もしてをり、黄色い聲援も多く、二輪だけの愛好者とは趣がだいぶ違ひました。

 今年一年の活躍振りの紹介、事前に書いて貰つた觀客からの質問、左右に分かれて簡單な體力試合。動體視力では4輪選手の方が壓倒的に強く、身體の柔らかさが自慢の高橋選手や一見硬そうな清成選手の前屈の見事なこと、握力自慢は觀客も加はり、應援合戰では大きな聲を出した方が勝ちだと云ふ樂しい内容でしたねえ。ホンダさん、ありがたう。200名の觀客ひとりひとりと握手する選手は、きちんと顔見て笑顔でしてくれました。愛好者を大事にする選手は成績も伸びます。

F1 「ご聲援ありがたう」の札の出たフォーミュラ1車。

 

 

 

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2008年12月22日 (月)

ゴスペル

 先日の文樂ワークショップで教へて戴いた英大夫はGOSPEL in Bunrakuにで語つてゐたと後輩からの連絡。
http://jp.youtube.com/watch?v=I7vtV-7z4eY

人形淨瑠璃で「基督の一生」とは吃驚。色々なことに挑戰されてゐるのですねえ。

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2008年12月20日 (土)

どんな、あんな?

Photo 此処、新國立劇場も基督降誕祭の飾りが賑やかで、ロビーも華やいで見えます。
 さて、モオツァルトの歌劇《ドン・ジョヴァンニ》の中で、幕開けから夜霧に紛れて好色の騎士ドン・ジョヴァンニがドンナ・アンナの寝所に突然現れ、襲はれてしまひます。さうです、これが本日のお題ドンナ・アンナ。

 騷ぎを聞き驅け附けた父の騎士長もドン・ジョヴァンニの刃に倒れてしまひます。そこへ助けにやって來た彼女の許婚ドン・オッターヴィオが共に復讐を誓ひ、騎士の從者レポレッロは主人の行爲をなじるものの宮仕への悲しさ、主人の命令で、以前主人が捨てた女ドンナ・エルヴィーラに諦めるやうに諭し、主人の女性遍歴を記した〈型録の歌〉を歌ひ、ドラマは進みます。

 ドンナ・エルヴィーラは未練もあり復縁を願つてゐますが、このドンナ・アンナは父親も殺され、自分も辱めを受け(たぶん)、踏んだり蹴ったりで絶望しても、何とかドン・オッターヴィオに励まされますが、それでも結婚は惡人であるドン・ジョバンニの爲に一年間喪に服します。許婚もそれに從はざるを得ません。親の喪に服すのなら解るのですが、ドン・ジョヴァンニの爲と云ふことは二人には肉體關係があつたと勘ぐりたくなりますね。

 このオペラの原題は《罰せられた放蕩者》または《ドン・ジョヴァンニ》で、西班牙に古くから傳はるドン・ファン傳説を本に、惡事を重ねると地獄に堕ちると云ふ内容なのですが、單に「悲劇」とはせず、「ドラマ・ジョコーソ(諧謔劇)」としてゐます。地獄落ちの後、銘々が心境を語り、明日への希望を夢見る最後も單に附け足しで省略すべきだと云ふ人も過去にゐました。

 今回、グリシャ・アサガロフの演出は成功とも失敗とも云へない中途半端な印象でした。黒く艶光する床をヴェニスの運河に準へ、ゴンドラでやって來るドン・ジョヴァンニとレポレッロ。〈型録の歌〉で大きな女性人形が現れ、意図を操るドン・ジョヴァンニの姿から、女の心を玩んでゐることを表してゐたのでせう。橋になつたり、二階部分になる工夫はよく、紫のカーテンで好色なドン・ジョヴァンニの心情をよく表してゐました。
 ツェルリーナとマゼットが結婚祝ひをしてゐる所は、白黒チェスの駒、騎士を象つた馬に跨り、メリーゴーランドのやうに遊んでる場面でした。この駒は第二幕で騎士長の石像前に配置されます。第二幕前半は木立の繪柄が天井まで届く大きな衝立として並ぶ森の表現は秀逸。但し、全體を考へると、説得力に欠け、意外性もないのが殘念でした。

 歌手は各々非常に伸びやかに歌ひ、アムサンブルもよく、纏まり、外人の中でツェルリーナ役の高橋薫子が可憐さを備へ見劣りせず、逆に田舎娘ぽくありませんでした。若い指揮者コンスタンティン・トリンクスのテムポはアリアや重唱はたっぷり聽かせてくれますが、小氣味よい速度で引ッt張る譯ではないので、中弛みしてしまひます。本人の彈くチェムバロもエッティンガー程の遊びがないので、よりグランド・オペラぽい仕上がりで、重々しさが強調され、モオツァルトらしい滑稽さや諧謔が今ひとつ傳はらず、今後の精進に期待しませう。

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2008年12月19日 (金)

放送

Arasi 昨夜の放送は如何でしたか。ほんたうは《ドン・ジョヴァンニ》に就いて昨夜書いた記事を載せるつもりでしたが、やはり「ひみつのアラシちゃん」の収録と放送の差に就いて書くべきでせうか。

 料理だけの撮影まで入れると丸々一日掛けた収録も、實際に放送されるのは僅かな部分だけで、自分のした料理説明は殆どがナレーションに代はり、その場の忘年會よりもロケーションの長崎での漁が主となつてゐたとは驚きました。當日戴いた臺本には、その日の撮影の流れが記されてゐるだけで、放送されるべき全體像は知らされず、與へられた任務を各自、定められた時間内にこなすのが精一杯でした。

 自分は場を盛り上げる添へ物役ですから、そんなものでせう。弊社とまるで違ふ鍋を、電磁調理器(IH)の上で、先方が炊いた畫像が大寫しの上、饂飩まで店で出すやうな印象が流れたのは心外ですが、全ては映像の爲。

 人氣、ジャニーズの嵐諸君とは握手をする機會もなく、サイン、寫眞は御法度と嚴しい制限もあり、同じ時間を共有でき、二言三言會話ができただけで感謝しないといけません。一つの番組にあんなに大勢の人が關はり、視聴率と云ふ魔物と闘ふ姿を垣間見えたのも勉強になりました。
 

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2008年12月18日 (木)

レーサーズ

 故加藤大治郎が自動二輪競技者(レーサー)で集まつて野球をやらうと云ふ遺志を繼いで始まつた年末恒例のレーサーズ野球試合。入場は無料ですが、交通事故減少の願ひを込め、チャリティーも行はれます。思ひ出せば、大ちゃんだけでなく、昨年沼田憲保がレース場で亡くなり、ノリックこと、故阿部典史も公道の事故で亡くなりました。

 この試合に參加するレーサーは小さい頃から、レース場でバイクの競走ばかりしてゐて、實は成人するまで野球と云ふものを一度もしてゐなかつた方々ばかり。珍プレーも樂しめ、普段と違ふレーサーの横顔が見られる絶交の機會です。今年は19日(金)9時から第一試合、12時前に追悼式典、そして午後は第二試合が行はれます。是非、お暇な方はお出掛け下さい。

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2008年12月17日 (水)

化粧

N4 店近くの日本テレビさんでは、基督降誕祭一色の飾り附けがしてあります。電通カレッタ汐留の青色に對抗してか、こちらは白一色で幻想的な雪景色が電飾でされてゐます。このところの寒さで襟を立て、首をすぼめて通り過ぎるだけでしたが、ふと足を止めました。
 

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2008年12月16日 (火)

文樂教室

 もう40回目だと云ふ、文樂鑑賞教室では、最初にお祝ひに欠かせない《二人三番叟》、解説を挟んで《菅原傳授手習鑑》より〈寺入りの段〉と〈寺子屋の段〉と云ふ魅力の出し物。

 元々、能樂《翁》を義大夫にした《壽式三番叟》の内、《二人三番叟》だけを演じたもの。三味線の合奏に力強く、激しい二人の踊りがずっと續きます。途中、一人の人形が疲れて怠けるのをもう一人が励ますなんて場面もなり、鈴を鳴らして踏み固め、五穀豐穣を願つてゐます。これなら邪氣も拂はれて、清涼になる感じです。能舞臺を模した装置の前で、幸助と一輔の息の合つた踊りに元氣附けられました。

 そして、解説では語り、三味線、人形それぞれの演者が詳しく具體例を見せ乍らやつてくれるので、これなら高校生でも少しは興味をもってくれるに違ひありません。また、〈寺子屋の段〉も大きな圖式を出して、菅丞相(菅原道真)と藤原時平の敵對關係、三つ子乍らそれぞれ就職先が違ふ舎人(牛車を牽く職)となつた梅王丸(丞相家來)、櫻丸(齋世親王家來)そして松王丸(時平家來)の運命を教へてくれました。

 〈寺入りの段〉は松王丸の息子、小太郎が寺子屋に入門する場面です。そして〈寺子屋の段〉は松王丸が今は時平に仕へる身であり乍ら、丞相の恩に報いる爲、自分の息子を身代はりにすると云ふ悲しい話です。松王丸が小太郎の最期を聞き、笑ひ泣きするところがひとつの見せ場ですが、勘十郎さんに比べ、玉女さんだと品がありすぎて、病氣療養中の弱った感じの松王丸でした。自分の子供を身代はりに差し出し殺してしまふと云ふ設定も凄いのですが、親子の情だとか色々考へさせられます。咲甫大夫の通る聲もよく、津駒大夫の情もしっかり傳はりました。

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2008年12月15日 (月)

板興し

 1948年3月、戰後初めて倫敦を訪れたフルトヴェングラーはキングズウェイ・ホールに於いて、倫敦・フィルを指揮し、デッカ社に録音を殘してゐます。ところが巨匠はカルーショーの設置した目障りなマイクロフォンを氣に入らず、全部撤去させた爲、デッカらしい音像が録れず演奏自體も餘り評價されてゐませんでした。

 たまたま、學生の折りに演奏したことがある爲、好きな曲のひとつでこのSP盤AK1875/79を3組持つてゐることから貸し出したものが、平林さんの手で新しくCDになりました。協會の板興しには78回轉盤をだいぶ貸して、立派なCDになつてゐますが、如何せん市販されてゐませんので、GRNAD SLAMさんの復刻を樂しみにしてゐました。

 さて、このブラ2は蓄音機で聽く分には、巨匠らしい盛り上がりがあり決して侮れない演奏です。以前、デッカの鐵針でHMV194を通した演奏をステレオで録音したことがありますが、CDではこれとはまた違ふ音像が樂しめます。勿論、針の摩擦音はあるにしても、60年前の豐かな響きが和ませてくれますね♪

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2008年12月13日 (土)

冬景色

Photo 初冬を迎へ、徐々に軸や色紙、置物も衣替へです。靴箱上には大觀の模寫「富士」。凛とした佇まひが素敵です。

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2008年12月12日 (金)

若手の活躍

 今月の文樂東京公演は《源平布引瀧》。平清盛全盛の頃、源氏の白い御旗を守り、將來兵を擧げる木曾義仲誕生秘話を絡めたお伽噺です。齋藤實盛が髪を黒く染めて錦の直垂で戰ひ、義仲の家臣、手塚太郎光盛に討ち取られる後日談の原因を解き明かしてゐます。今回は前から4列目中央ですから、見晴らしよく、最高の席でした。

 〈義賢館の段〉: 登場人物の説明を兼ね、表向きは燒き捨てた筈の源氏の御旗を守り抜き、平家に反旗を翻す場面。
 のっけから三輪大夫の聲が通ります。歌舞伎のくぐもって居乍ら、聲を張り上げるのではなく、腹の底からスルリと聲が出てる感じで氣持ちいい。續く奧の呂勢大夫も情を美味く語り清々しい。また、義賢の主遣ひ、勘十郎の風格。武士の大將らしい格と品位がステキでした。

 〈矢橋の段〉: 源氏の御旗を託された小まんが立ち回りの末、琵琶湖に飛び込む場面。
 芳穂大夫の相方、まだ十代の寛太郎、一人彈は初めてでしたが、何の迷いもなく滯りなく濟んで、成長を感じました。

 〈竹生嶋遊覧の段〉: 平家の御座船に助けられた小まんが御旗を奪はれさうになり、齋藤實盛が腕を切り落として旗諸共に湖底へ沈んで行きます。
 波の音を表す太鼓の音で琵琶湖だとすぐに判るやうになりました。小まんの主遣ひ、和生が泳ぐ姿が鮮やかで、こちらまで水を飲んで溺れ掛かつた氣分になりました。また、大勢の大夫の内、飛騨左衛門役の呂茂大夫の聲が抜きん出てでかく、度肝を抜かされたものの、粗忽者らしさが出てこれは、これでよかったです。

 〈九郎助内の段〉: 源氏の末裔を捜索してゐる平家方が落ち延びた義賢の妻、葵御前を探し出し、腹の子諸共に抹殺しようとしますが、源氏に心を寄せる實盛の機轉で二人は守られます。そして、葵御前は無事に出産、後の木曾義仲が誕生します。實は腕を切られた小まんは十郎の娘であり、わざと自分の孫、太郎吉に手柄を立てさせやうと十郎自ら刺され、首を差し出します。義仲の最初の配下となつた太郎吉は母の敵と實盛に挑みますが、30年後に合戰で逢はうと實盛は颯爽と馬に乘つて去るのでした。

 この終幕前半、親子の情を語る中堅睦大夫と文字久大夫にはがっかり。情が演じ切れず、眠くなることしきりで、全然舞臺に集中できません。住大夫の弟子、文字久大夫は語り口が似てるところがたまに出て來ますが、全然悲しくならないから不思議。折角の錦糸の太棹が死んでました。
 その後を繼いだ千歳大夫は汗水垂らして力は入つてゐるものの、ブツブツと切れるので、語りにならず、詰まらない。さうして、後を語る咲甫大夫の方が展開の早い場面をテキパキ、通る聲で演じるのそれまでの鬱憤もすっきりでした。お相手はこの間お會ひした燕三は安心して聽けます。 そして、實盛の主遣ひ、玉女も堂々として立派でした。ひらりと馬に跨る仕草がこれまたいい。

 文樂はいいなあ、歌舞伎と違つて人形の立ち回りや動きが速くて、緩急の差があります。

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2008年12月11日 (木)

収録

 昨日はテレビ番組の収録の爲、テレビ局へ出張。番組内忘年會の撮影で、お持ちした弊社のすき燒を仲居が目の前で炊き、私が説明係なのでした。使つたことのない電磁調理器(IH)、スタジオの鐵鍋に四苦八苦し、會話の合間を狙つて料理説明が巧くできません。

カメラ・リハーサル、本番、料理だけの撮影、段取り、科白、それに長時間の拘束…慣れないことでヘトヘトです。所謂、ヴァラエティー番組を見るのはいいですが、自分が出るとなると困りますね。

ひみつのアラシちゃん
12月18日(木)22時より、TBSで放送豫定

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2008年12月10日 (水)

大吟醸古酒

Daijin 先週末の「すき燒と大吟醸」の會では五種類の古酒を飲み比べました。摂氏零度に近い低い温度の冷藏庫にずっと寝かせてをいたものですから、青林檎や果實香のやうな新鮮味や鋭い酸味は無くなつてはいるものの、芳醇な香り、まろやかな口當たり、とろみのある深い味はひは感動もの。

 ○開運 大吟醸 
平成17酒造年(靜岡縣掛川市・能登杜氏)
 酒造好適米「山田錦」を40%精米、靜岡縣吟醸酵母KS一號を使用。穏やかで深い香りと豐かな味はひの大吟醸。優しい味はひが心を和ませてくれました。

 ○四季櫻 花寶 純米大吟醸
平成13酒造年(栃木縣宇都宮市柳田町・南部杜氏)
 酒造好適米「山田錦」を50%精米し、日本一の純米酒を目指し、研鑽を重ねて造り出したとてつもなくふくよかな大吟醸。四合瓶でしたが、他のものと一緒に一時間前から抜栓して更に片口に移してから注いだ爲か、一氣呵成に華開き、最高の状態で味はへました。

 ○四季櫻 大吟醸 聖
平成13酒造年 (栃木縣宇都宮市柳田町・南部杜氏)
 兵庫縣産酒造好適米「山田錦」を麹米に35%、酒母と掛米に40%精米、鬼怒川の伏流水を仕込水に使ひ、麹は蓋麹法、熊本縣酒造研究所九號酵母で三段仕込みされた極限定品。美味いのは美味いのですが、今日は機嫌が惡のか、閉じたままで、どうしても開きません。

 ○豐の秋 大吟醸 斗瓶取り
平成6酒造年(嶋根縣松江市・出雲杜氏)
 醪を壓搾せず、袋に入れて吊し、滴り落ちる清酒を斗瓶に受けた手間の掛かる造りをしてゐます。山田錦麹米35%、掛米45%精米。古さを全く感じさせないおだやかな佇まひで、豐かなコクもすき燒の邪魔をせず、引き立ててくれました。新潟のお客樣が普段飲むのと唯一感じが似てるとおっしゃいます。日本海の海風のなせる技でせうかねえ。

 ○大七 生酛 貴醸酒
平成15酒造年(福嶋縣二本松市・南部杜氏)
 平安時代の宮中行事を記録した『延喜式』にも「貴醸酒」は記載されてゐます。通常の造りと違ひ三段仕込みの最後「留添へ」で仕込水の代はりに純米酒を使用して仕込みます。本來、古酒の旨味を感じる筈ですが、こちらは賣り出されたばかりのもので、偉大な古酒の後で青々しさが目立ち、もう後7年位は寝かせた方がよい感じです。

    御 献 立

  先附 京壬生菜・舞茸・帆立貝 紅葉和へ
  お造り 松阪牛新涼造り
  小鉢 小蕪蟹庵掛け
  すき焼 松阪牛ロース肉
  お食事 御飯・赤出汁・香の物
  氷菓 富有柿寒天寄せ

 今回は人數も少なく、ひとり當たりの分量も多く、賑やかな會になりました。

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2008年12月 9日 (火)

22社

Asayashiin 珍しく新宿のハイアット・リージェンシー・ホテルで試飲會が催されました。山梨縣ワイン酒造協同組合主催により縣内醸造所22軒が堂々集まつたものです。メルシャン、サッポロ、サントリーのやうな大手企業は勿論のこと、小さな藏まで〈甲州〉種だけでも、シュール・リー、樽、甘口と色々ありますから、造り手の個性がはっきり判り樂しい會でした。赤は果實味たっぷりの〈マスカット・ベリーA〉や〈ブラック・クイーン〉のやうな日本の交配品種だけでなく、〈カベルネ・ソーヴィニヨン〉〈メルロー〉〈シラー〉なんてものも、結構タンニンの澁味や濃さの上に複雑味もあり、期待のもてるものも多數ありました。

 幾つか氣に入つたものだけアイウエオ順にご紹介。

 「麻屋葡萄酒」は雨宮さんにも會へ、自慢の2006年産〈シャルドネ〉が樽醗酵、樽貯藏のまろやかを秘めて美味。

 勝沼町ではなく、まだ足を伸ばしたことのない北杜市の「江井ヶ嶋酒造」。07年産シャルマン〈甲州〉シュール・リー 無濾過は、爽やかさが抜きに出てゐて、青林檎、パイナップルの香りが強く、酸味のしっかりした味はひ。

 篆刻のやうなラベルに凝ってる割に違ひが判り難い「勝沼醸造」の06年産〈甲州〉古傳樽熟は、樽醗酵後、シュール・リーにしたもので、厚みもあり、ぼってりした感じが素敵。

 一升瓶ワインの印象が強い「サドヤ」は20年前と何ら變はらぬ昔乍らの味はひが逆に新鮮。地元受けする筈の晩酌ワイン。

 勝沼葡萄郷驛から坂を下つた所に在るどでかい「シャトー勝沼」の06年産〈甲州〉晩秋仕込みがほんのりとした甘味が心地よい。

 初めて名前を聞いた「スズラン酒造」の07年産〈シェンブルガー〉は獨逸系品種らしい、交配品種なのでせうが知らなんだ。ライチのやうな香りもあり、優しい甘味としっかりとした酸味があり、氣樂に飲むタイプ。

 以前、綺麗に改装されてすぐ訪ねたことのある「蒼龍葡萄酒」の06年産プレミアム〈甲州〉は厚みが違ふと思ひきや、冷凍濃縮果汁を低温醗酵させたものだと云ふ。かう云ふのもありでせう。

 ロンゲの若い醸造家の居る「ダイヤモンド酒造」の07年産シャンテAひしやま〈甲州〉はなかなかの出來。

 「山梨マルスワイナリー」では顔を見るなり、こっそり微發泡のペティヤンを出してくれました。これがまた、泡立ちは細かくはないもののメチャ辛口で吃驚。

 「丸藤葡萄酒工業」のルバイヤートは一番古くから親しんでゐる爲、よく知つてゐる所爲もあり何かホッとします。07年産〈甲州〉シュール・リーはバランスが定評通り今回でも一番よく、06年産〈シャルドネ〉舊屋敷畑収穫は、自分が世話した頃に比べたら格段に美味しくなり、07年産〈マスカット・ベリーA〉樽貯藏は品種らしさがあるだけでなく適度な飲み應へもあり、05年産ドメーヌ・ルバイヤートは混醸ものでまだ若くて開いてをらず硬いのですが、將來性があります。

 「メルシャン勝沼ワイナリー」の07年〈甲州〉グリ・ド・グリは以前の野性味より、上品さがでて、飲み疲れせずに料理に合はせられる優れもの。矢張り、これは好みの第一等。

 「大和葡萄酒」は個性的な藏元がワインを注ぐ際、必ず硝子杯を受け取つて一杯づつ入れてゐました。普通は、お客さんが持つてゐる硝子杯に注ぐだけなのですがねえ。ワインもなかなかでした。

 木造の仕舞屋(シモタヤ)の母屋座敷が綺麗な「山梨ワイン」の07年産フォーシンズンス〈甲州〉は大人しい味はひ。

他にも素晴らしいワインが目白押しであつたことは云ふまでもありません。

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2008年12月 8日 (月)

池上實相寺

1 池上實相寺ではえらい樣々な催しを「寺子屋」いふてやッてはりますけんど、今回初めて參加した「文樂ワークショップと鑑賞會」では太夫(豐竹英大夫)、三味線(鶴澤燕三)、人形主遣ひ(桐竹勘十郎)それぞれの工夫を凝らした公開演技(デモンストレーション)も珍しうて、おもろかッたんやて。

 まづは聲に出さんといけへん、と英大夫自らの指導で義太夫節を大合唱。《壷坂觀音靈驗記》より

2  三ツ違ひ乃兄さんといふて暮らして居る内に
  情けなやこなさんは 生まれも附かぬ疱瘡で
  目かい乃見えぬその上に 貧苦にせまれど 何乃その
  一旦殿御の澤市ぁん  たとへ火の中水の底
  夫婦ぢゃと思ふばかりか これ申し

 こんなん讀めまっか、讀めへんかッてワインバーで開いてボソボソ語はればええんです。もてまッせえ! 出ッ尻、鳩胸にせなあかん、そこは伸ばさんと止め、言葉は江戸時代の大阪辯でんがな!情を語るんはたいへんでッせえ。へえ、自分で聲にすると、ようけ分かります。

 燕三は淨瑠璃の初期と最盛期では語りの量が違ふと言ひ、具體例を彈き語り。常々、心の中で謡つてないと大夫さんに附いて行きはりまへん。續いて素淨瑠璃で《菅原傳授手習鑑》より〈寺子屋の段〉後半を演じて下はりました。自分の子を身代はりとした松王丸の笑ひ泣きが目に浮かびます。

 そして、今年は紫綬褒章等お祝ひずくめの勘十郎は黒子衣裳のまま、松王丸に使ふ百日の頭だけを取り出して紐や支える棒の扱ひを見せ、〈車曳き〉を梅王丸、櫻丸の足だけで演じ、「首實驗の場」で一人遣ひの人形、兒と爺さんを觀客にもやらせて大喝采。最後に衣裳を附けた松王丸の笑ひ泣きを披露し、しんみりと終はりました。

 懇親會では、演者が卓子を回り樂しく語らひ。二月の東京公演で觀た《義經千本櫻》より〈河連法眼館の段〉終幕、狐義信と共に勘十郎も宙吊りになつて幕引きとなる時、どんな氣持ちやッたんか直接訊けたんが嬉しうおました。人形なしの稽古はえらい、怖いさうで常に人形と一緒なんやとか、大阪では客席の上を飛んで行くんやとか、しんどい言ふてもジムで鍛へる時間もあれへんとか、そりゃあ、もうおもろい話が飛び出してきはりましたわ。
 二十代の若手の人形遣ひは現在三人だけやけど、勘十郎さんの前十年も誰も居らなんだから、最初は可愛いがられたんのに、入門した途端に態度がコロッて變はッてしもて、何や、昨日まで優しいおっさんがいきなりと思はれたんやと(笑)。ほんま、樂しかったわ。

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2008年12月 6日 (土)

本日出勤

 師走は土曜日もすき燒「今朝」は營業してゐます。今宵は「すき燒と大吟醸」の會がありますから、着物で出勤したものの、事務仕事がし辛いことこの上なく、襷(タスキ)掛け。袖が絡まず樂です(笑)。
 祖父さんの大嶋ですか、最近袖を通すことも増えて、一發で帶も収まりました。

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2008年12月 5日 (金)

坪田聖凛

Tessen 坪田聖凛企劃、構成による「琵琶樂研修會」があり、表參道の銕仙會能楽研修所能舞臺へ。自由席故、早めに並ばんと開場30分前に行くと、まだ誰も居らず一番乘りでした(笑)。靴を脱ぎ、段々畑のやうなやや擂り鉢状の會場は疊に座布團。暖房を切つてゐるのか、底冷えのする凛とした佇まひです。友吉鶴心さん自身も坪田聖凛の門下だけでなく、他の方々との合同合唱のやうな形で、いつもの薩摩琵琶だけとはだいぶ雰圍氣が違ひました。

 鶴田錦史作曲の《白虎隊》は、阿部鷺夕の琵琶伴奏の他女性6名が加はり、大合唱。出だしが合はず、僅かにずれ乍らも、聲が重なり、合戰の悲惨さよりも、潔い若者の最期が語られました。

 楠木正成の最期を謡ふ《大楠公》は同じく女性奏者、宇野鶴芳の老練な語りで、きっちり枠取りされた額繪のやうな趣で、鋭く描かれました。

 勝海舟作の西郷隆盛最期を語る《城山》は、逢坂譽士の琵琶に2人の男性が加はつた合唱故、前作迄と音の大きさから迫力に至るまで、がらりと雰圍氣が變はり、力強いものでした。特に、逢坂は戸惑ひ氣味であつた以前と違ひ、大いに成長し、師匠鶴心に頼ることなく一人、迷いなく演奏したのが素晴らしい。

 謙信と信玄の戰を描いた《川中嶋》は、阿部鷺夕の彈き語りで、女性ならではの繊細さがあり、撥捌きの技も冴へ、朗々と語る樣は上手でした。彼女は坪田さんの紹介で現在、菊水隆二代目宗家に師事してゐるさうで、やや毛色が違ふ感じ。

 そして、トリに登場した鶴心さんの《義經》は、一段格上の品格を表し、演奏技術、聲量共に情の籠もつた素晴らしいもの。前座があるので、餘計にその良さが光ります。言葉が聞き取り易く、歌詞を見ずとも直接言葉が心に染み渡ります。
 平家一門の怨靈が浮かび揚がる、船辯慶の冒頭、撥を絃に擦らせて徐々に音を出すのですが、もう海上の霧が漂ひ亡靈の現るおどろおどろしい情景が浮かびます。突然、タイム・マシンに乘せられて、義經の船上の移動したやうな緊迫感がのっけから出るのには舌を巻きました。鮮やかな技の冴へ!一緒に連れて行つた、初めて琵琶を聽く學生さんが、プログレッシブ・ロックのやうで新鮮だ、と目を輝かせてゐました。
 數を聞いてゐる内にこちらの耳も慣れるのかも知れませんが、それ以上に毎回、新しい發見の聯續が樂しい琵琶樂でした。また、足を向けたくなります。

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2008年12月 4日 (木)

ナシェ:哀傷のラメント

 佐藤久成、提琴(ヴァイオリン)獨奏會(リサイタル)に東京文化會館へ。自由席故、開場半時前より並ぶ。伴奏に岩崎淑を迎へ、「珠玉のヴァイオリン名曲を聽く」と題されたもの。この小ホール實は600人を優に超ゆる思ひの他廣き演奏會場なり。

 前半はタルティーニの〈惡魔のトリル〉で技巧を表し、ブラームスの〈提琴奏鳴曲第1番〉ではしんみり牧歌的な歌を奏でるもののやや硬し。情感が素直に出で立たず、ややもすると技術發表に偏りがちにて、心あらず。聞き慣れたるクライスラー盤の響きやテムポの違ひに囚はれ、こちらも時々居心地の惡さも認めたり。
 されど、後半に入るや、小曲全てに手抜かりなく、19世紀浪漫派の色めき立ち、技巧を樂しむ餘裕すらあり、次第に速くなる筈が瞬く間に技が活き、腰をくゆらせ、足踏みをして、全身で音曲を表し、一音一音に樂しさが溢れた好演なり。

 西班牙の叙情溢れるファリャの〈西班牙舞曲〉、優しきタウンゼントの〈子守歌〉、難しいと云はれるヴィニアフスキイの〈スケルツォ・タランテラ〉は波蘭(ポーランド)の土俗的な匂ひ強く、提琴演奏技術の限界まで使はせる曲なれど、弓の馬毛を幾本か切る程の力も入り、難なく引きこなしたり。
 さて、本邦初演のナシェの〈哀傷のラメント〉、原題はTrauergesangにして、嘆き歌、哀歌、悲歌の意なり。百年以上昔印刷されしも、廢れ埋もれたる樂譜の蘇演を人生仕事(ライフワーク)としたる佐藤氏の面目躍如。親しみ易き旋律なけれども、溢れる哀愁が浪漫派らしき厚き音から顔を出す好演。

 馴染み薄きモシュコフスキイの〈ギターラ〉は更に難技巧多しと雖も、色彩感豐かにして素敵なり。パガニーニの〈モーゼ幻想曲〉は最低絃のG線のみで演奏さる特異な曲。それをそれと感じさせない音の變化や幅に醉ひしれたり。續いてヴィルヘルミーの〈ロマンス〉も忘れ去られたる珍曲なり。19世紀末の流行りなりしかば、餘程現代曲より心を感ず。
 終曲は、サラサーテの〈ツィゴイネルワイゼン〉!サラサーテ本人及びプシホダ盤に慣れては居るものの、目の前で紡がれる音粒の際立ち、緩急自在、流麗な旋律、後半の驀進を聞けば、生演奏の有り難さ、昂揚いや増し、昂奮の坩堝(ルツボ)とはこのことなり。
 拍手鳴り止まねば、すかさずタイスの〈瞑想〉及びボッケリーニの〈メヌエット〉もお茶目な演奏にて締めたり。

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2008年12月 3日 (水)

未だ歸國せず

 全く人騷がせなもので、ほんの一週間のつもりの筈が未だに歸へつて來ません。實はうちの兩親、タイの首都で大規模な示威運動(デモンストレーション)と占拠があつたその日にバンコックから歸國豫定でしたが、空港を占拠された爲、ホテルに戻り、長い休暇續行中。取り敢へず、無事の連絡が入りましたから、いちいち電話しませんが、さすがに、かうも長引くと心配になりました。通常はタイ國王の一言で収まる筈らしいのですが、一應デモも終了するやうですが、まだ空港檢査、整備等何時運行が再開されるか目途は立つてゐません。

 昨晩、電話が入り、本日の臨時便で歸へるとの連絡があり、一安心。まさか身内が巻き込まれるとは、世界は狭くなりました。

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2008年12月 2日 (火)

名作の復活

 チラ附きがなく見易いプラズマ式表示装置(ディスプレイ)・テレビにしてからと云ふもの、高品位(ハイヴィジョン)とさうでないものの畫質の差に日々、驚愕してをりますが、ヴィスコンティの《山猫》に續いてと云ふか、またまた、名作の復活です。

 大好きなデビッド・リーン監督作品《アラビアのロレンス》!。1988年、丁度英國に居た頃、監督自ら修復作業をして216分の「完全版」が出て、映畫館の大畫面で觀る壓倒的な規模(スケール)と美しい色調に改めて魅入らされたものでした。再生機も持つてゐないのに最初にDVDを買つたのも、この作品。
 砂漠と云ふ異境の壮大(スペクタル)な自然、現地の人に飛び込み純白の衣裳を翻すロレンス、決して諦めず部下を助けに行く姿、土耳古軍に拉致されて辱めを受けたり、部族抗爭等丹念に描寫してゐます。戰場でも、釣りの練習をする將軍、士官と一兵卒の差、政治家の思惑… 色々なものが詰まつてゐて、幾度觀ても感動を呼び戻しますね。
 12月20日からテアトル・タイムズスクエア(新宿南口)で封切りです。聞けば、黒澤明監督作品《羅生門》も復活させたのだとか、名作の復活に萬歳三唱。

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2008年12月 1日 (月)

FCXクラリティ

Fcx1Fcx3Fcx2 最先端技術、燃料電池を使つた世界初の市販車、ホンダのFCXクラリティの試乘會へ赴く。と云つても、實は子供向けの「燃料電池自動車教室」なのでありました。自分は父兄參觀です。

 開發責任者の藤本さん自らが説明してくれます。地球温暖化の結果どうなるかを、紙芝居ならぬ繪畫面で見せた後、燃料電池の仕組みを實際に子供たちは實驗します。水に炭素棒を入れたものに電流を流すと酸素と水素に分かれます。知識として頭で知つてゐても、現實に目の前で泡を見ると納得できますね。酸素泡粒は大きく、水素は細かい泡でした。

 そして、それに触媒として白金を加へてあるこの炭素棒を今度は電動機(モーター)に繋ぐと、發生した電氣により回轉羽根(プロペラ)が回ります。それ故、燃料電池自動車には内燃機関(エンヂン)は必要なく、燃料電池で水素から發生した電氣を溜める電池と、タイヤを動かす電動機も必要なことも理解できました。子供には、理解度を確認する爲でせうか試驗もあり、皆真劍です。

 籤引き後、12家族順繰りに試乘です。我が家は10番目、記念搭乘番號は27番になりました。今回は初の一般試乘と云ふことで多くのマスコミ関係者も訪れ、幾度も映像を撮られ、談話を聞かれました。點火装置(イグニッション)はなく電氣回路開閉装置(スヰッチ)釦ひとつ!靜かな音で、ガソリン車よりも加速も滑らかで馬力もあり、できた電氣で空調もナヴィも賄へる優れもの。出て來るのはほんたうに水が滴り落ちるだけで、空氣を汚しません。偉い! 一度の水素給氣で600粁も走り、最高速度は時速160粁も出るのですから、普通自動車との違ひはこの「空氣を汚さないこと」に尽きるでせう。

 まだ、研究試作段階で一臺一億圓位もする爲、まだリース販賣のみださうですが、一千萬圓を下り、我々が手を出せるやうになるには、水素燃料補給所の設置等、まだまだ實現には時間が掛かりさうです。10年後を目途に一般に市販できるやうにするのだとか。明日への技術ももうそこまで來てゐます。「夢」を掲げ、常々「やってみなはれ!」が口癖であつたと云ふ本田宗一郎の精神が今も脈々と引き繼がれてゐるのですねえ。

 
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