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2008年12月 5日 (金)

坪田聖凛

Tessen 坪田聖凛企劃、構成による「琵琶樂研修會」があり、表參道の銕仙會能楽研修所能舞臺へ。自由席故、早めに並ばんと開場30分前に行くと、まだ誰も居らず一番乘りでした(笑)。靴を脱ぎ、段々畑のやうなやや擂り鉢状の會場は疊に座布團。暖房を切つてゐるのか、底冷えのする凛とした佇まひです。友吉鶴心さん自身も坪田聖凛の門下だけでなく、他の方々との合同合唱のやうな形で、いつもの薩摩琵琶だけとはだいぶ雰圍氣が違ひました。

 鶴田錦史作曲の《白虎隊》は、阿部鷺夕の琵琶伴奏の他女性6名が加はり、大合唱。出だしが合はず、僅かにずれ乍らも、聲が重なり、合戰の悲惨さよりも、潔い若者の最期が語られました。

 楠木正成の最期を謡ふ《大楠公》は同じく女性奏者、宇野鶴芳の老練な語りで、きっちり枠取りされた額繪のやうな趣で、鋭く描かれました。

 勝海舟作の西郷隆盛最期を語る《城山》は、逢坂譽士の琵琶に2人の男性が加はつた合唱故、前作迄と音の大きさから迫力に至るまで、がらりと雰圍氣が變はり、力強いものでした。特に、逢坂は戸惑ひ氣味であつた以前と違ひ、大いに成長し、師匠鶴心に頼ることなく一人、迷いなく演奏したのが素晴らしい。

 謙信と信玄の戰を描いた《川中嶋》は、阿部鷺夕の彈き語りで、女性ならではの繊細さがあり、撥捌きの技も冴へ、朗々と語る樣は上手でした。彼女は坪田さんの紹介で現在、菊水隆二代目宗家に師事してゐるさうで、やや毛色が違ふ感じ。

 そして、トリに登場した鶴心さんの《義經》は、一段格上の品格を表し、演奏技術、聲量共に情の籠もつた素晴らしいもの。前座があるので、餘計にその良さが光ります。言葉が聞き取り易く、歌詞を見ずとも直接言葉が心に染み渡ります。
 平家一門の怨靈が浮かび揚がる、船辯慶の冒頭、撥を絃に擦らせて徐々に音を出すのですが、もう海上の霧が漂ひ亡靈の現るおどろおどろしい情景が浮かびます。突然、タイム・マシンに乘せられて、義經の船上の移動したやうな緊迫感がのっけから出るのには舌を巻きました。鮮やかな技の冴へ!一緒に連れて行つた、初めて琵琶を聽く學生さんが、プログレッシブ・ロックのやうで新鮮だ、と目を輝かせてゐました。
 數を聞いてゐる内にこちらの耳も慣れるのかも知れませんが、それ以上に毎回、新しい發見の聯續が樂しい琵琶樂でした。また、足を向けたくなります。

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