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2009年1月14日 (水)

15歳の花嫁

Photo 久し振りに家族を連れて、新國の《てふてふ夫人》を觀に行く。栗山民也の演出版はこれで二回だが、前回は當日故、天井桟敷で舞臺は殆ど見えず、隣の爺さんの加齢臭に惱まされた記憶しか殘つてゐません。
 さて、今回は二階左脇席なので、案外見晴らしもよく、前に人が居ない分子供には好評。カルロ・モンタナーロの指揮は疾風の如くグイグイ引ッ張り、歌はせるところはたっぷり間合ひを取るので、印象の惡い東響でも安心して身を委ねられます。然も、合唱等和服の着こなしが粋なのが、安心です。てふてふ夫人役アルメニア人のカリーネ・ババジャニアンも違和感なく打ち掛けも似合ひ解け込んでゐました。途中、正座してお辞儀するのにお尻が上がつてゐたり、草履が巧く脱げずにバラバラになったまま上がつてしまつたのが殘念でしたが、日本の風習を知らないので致し方ありません。そんな時に一寸座って直す仕草が素敵なんですがねえ。歌は情感も籠もり上手でしたが、惜しむらくはもう少し聲の伸びが欲しかった。そこまで望んでは酷ですね。
 マッシニリアーノ・ピサピアのピンカートンは巨漢だが、色艶のある聲もよく、アレス・イェニスのシャープレスもやや聲は通らないものの及第點。松浦健のゴローや、大林智子のスズキは日本人らしさが出て好演。

 第一幕最後の甘い二重唱、そして、改宗してまでピンカートンに真心を尽く、どんな境遇にならうと愛を貫き通す覚悟のてふてふ夫人の哀れなところが、最後に子供が出て來た邊りから盛り上がります。没落して藝者になり、たった15歳で身請けされたにも拘はらず、崇高な心意氣だけで、夫を待ちわび氣丈に生きて來た3年間。再開も果たせず、子供まで取られてしまふ悲劇。自害する前に、我が子に「永遠の別れ」なんて云ふのを聞くと、どうしても自分の子供のことのやうに感じるので目頭が熱くなります。涙もろくなりました。

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