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2009年1月16日 (金)

睨まれる

Enbu 《二人三番叟》終はりて、吉例儀式「仕初(しぞ)め」にて、三寶より巻紙を取り上げて讀みし後、裃の肩を脱ぎ、巻載せたる三寶を片手に、ハッと睨みたり。市川團十郎と成田屋縁の者にしか許されぬ「睨み」、海老藏の迫力この上なく、祝賀の呪術これに極まり。

 荘重な翁の舞ひ、格調高き千歳の舞ひの後に、三番叟が踊る樣は、文樂の《二人三番叟》と違ひ、力強い足踏みよりも、表情豐かに滑稽さが増しをり。右近の眼力の重に對して、猿彌の笑顔の輕と釣り合ひよく、いとをかし。

 《義經千本櫻》の内、三段目〈木の實〉〈小金吾討死〉〈すし屋〉は海老藏演ずる「いがみの権太」の獨壇場にて、笑ひあり、涙あり、娯樂の王道。惡役なれども、子煩惱な一面も見せ、改心すれど親に切られてしまふ哀れ。一寸くぐもった聲乍ら滑らかな臺詞回し、睨みや所作の粋なこと、初役とは思へぬ程の上手さ。上方の文樂に比ぶれば、江戸言葉多く、全く違つた魅力を再發見。

 《お祭》では、鳶姿と藝者姿の役者が舞ひ、手拭ひを觀客に撒きたり。新春に相應しき、目出度きこと。

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