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2009年1月28日 (水)

饗宴

 「饗宴は外交の重要な道具立て」とは西川惠の言葉。『エリゼ宮の食卓』新潮社 で佛蘭西政府は食事を共にすることが如何に大事な外交であるか鮮やかに描き出してゐましたが、今度は『ワインと外交』と云ふ新書が出ました。

 表向きの言葉よりも、食卓の料理内容やワインの品揃へを見れば、相手の扱ひが一目瞭然なのですね。自宅にワイン好きの友達を招いたとしても、何を一緒に飲むか、いつも頭を惱ませます。決して相手を輕んじてゐる譯でもないけれど、妙に輕快なワインでもいけないし、だからと言つて、料理に合はない矢鱈と重い高價な赤ワインでもいけません。まあ、料理に合ふことは前提ですが、結局、自分がその時に飲みたいものに決まります。これが國同士の卓ならば神繼質にならざるを得ないことは容易に察すことができます。

 「天皇の料理番」として名高い秋山德藏も著作の中で(どの本であつたかは失念)、戰前にエドワード八世(後のウィンザー公)や戰中に滿洲皇帝、愛新覺羅 溥儀(ラスト・エムペラー)が來日した際は饗宴の準備がたいへんであつたと書き殘してゐますから、西川も同じ氣持ちを料理人から感じたことでせう。

 蜜月を演出する爲、また對立を和解する爲、あらゆる場面に外せない食事。一時であらうとも一緒に生活すると、非常に親近感を得ますし、その親しい仲を「同じ釜の飯を食ふ」と云ひますね。ですから、相手がきちんと箸が持てなかったり、ズルズルと羮(スープ)をすする姿を見せられるとがっかりします。

 和蘭女王が見せた心遣ひ、外交儀禮(プロトコル)に拘る中國、靖國神社參拝問題を重要視してゐた韓國の意味深長な輕い食事等々、外交の舞臺裏と云ふか、食事が外交の表舞臺になりうることがよくわかる良書でした。

ワインと外交 (新潮新書)Bookワインと外交 (新潮新書)


著者:西川 恵

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味―天皇の料理番が語る昭和 (中公文庫BIBLIO)Book味―天皇の料理番が語る昭和 (中公文庫BIBLIO)


著者:秋山 徳蔵

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舌―天皇の料理番が語る奇食珍味 (中公文庫)Book舌―天皇の料理番が語る奇食珍味 (中公文庫)


著者:秋山 徳蔵

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