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2009年2月18日 (水)

不義は御家の法度

 鑓(ヤリ)の名手として知られ、イケメンの上に武藝にも優れた松江藩の表小姓、25歳の権三(ゴンザ)は、茶の湯も弟子の筆頭です。それがライバルである伴之丞(バンノジョウ)に、茶道の師の妻(37歳)、おさゐとの不義の汚名を着せられ、権三の師匠、おさゐの夫の武士としての面目を立てる爲に汚名を被り、夫に討たれる悲しい物語、《鑓の権三重帷子(ヤリのゴンザ カサネカタビラ)》。

 幾年か前に篠田正浩がメガフォンを取った記憶もありますが、1717(享保2)年の初演後は上演されず、明治に入り歌舞伎となつて當たり、文樂としては1955(昭和30)年になつて復活された近松、圓熟期の作品です。今月の東京公演は珍しく二演目が近松と云ふ構成。

 元々悋氣(嫉妬深い)なおさゐは男振りのよい権三を娘の婿に迎へたかつたものの、相手がゐたことから、激しい嫉妬に驅られてしまひます。彼女の送った帶を締めた権三に腹を立てて、その帶を解いて庭に捨て、代はりに自分の帶を締めればいいと、投げるものだから、権三も腹を立ててその帶を庭に放り出すと、忍んでゐたライバルに浮氣の印として持ち去られる。何とも間の惡い話。それが下着であつたりすれば、現代に通じるよくある話です。そこで辯解もしないおさゐの肝の据はつたのは偉いところですが、それなら何故最初から短氣を起こさねばよかったものを。色々考へさせられるのがいいですねえ。

〈數寄屋の段〉を語る筈であつた竹本綱大夫が病氣療養の爲、前の〈淺香市之進留守宅の段〉を語つた竹本津駒大夫がそのまま勤めたので、違和感なくすっきりとした上演になりました。綱大夫さんだと、聲が通らず、自分の好みではないのですが、早く復歸して戴きたいものです。

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