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2009年3月31日 (火)

美とは

 人に美しさを傳へるのは難しいものです。いくら自分が美しいと感じて、言葉にして傳へても、相手が興味なければなかなかこちらの氣持ちが傳はらず、齒痒い思ひをします。言はなければ、もっと辛い。誰かと「美しい」を共有したくなります。例へば、マーラーの交響曲第9番の第四樂章「アダージョ」冒頭、提琴のG線が奏でる低音の響きが美しいと云つて實際に曲を聞かせても、「へえさうなんだ」程度で終はり二の句が繼げません。

 そんな中讀んだ、橋本治著 『人はなぜ「美しい」がわかるのか』 ちくま新書 は彼獨特のネチッこい語り口ですが、單純化して教へてくれました。

 まづ、美術品が高いのは、「製作原價が高いから」と實に明快。値段が高い原料が使はれてゐるだけでなく、「質的にとんでもない經費も含まれてゐるから」なんだと嚙んで詳しく教へてくれます。「カッコいいから美しい」と單純化した圖式から紐解き、『枕草子』と『徒然草』の美意識の違ひだとかを述べ、美を實感するのに「豐かな人間関係」が必要だと解きます。自分一人でさう思つてゐても、外へ向けて發信しなくてはならないとか、「美しいが分かる人は」敗者であるとか、介入せずに保護して、その相手の中に「なにか」が育つのを待つのが愛情だとか、一寸變はつた子供であつたからこそ、發見した事例と共に語られます。

 確かに、筋骨隆々な健康勝者に美術は似合ひませんね。

人はなぜ「美しい」がわかるのか (ちくま新書)Book人はなぜ「美しい」がわかるのか (ちくま新書)


著者:橋本 治

販売元:筑摩書房
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