« アルマ | トップページ | 2作目完成 »

2009年6月23日 (火)

灰被り娘

 「シンデレラ物語」のオペラ版、ロッシーニの歌劇《チェネレントラ》を直譯すると《灰被り娘》となる。下女のやうに扱はれ、臺所の灰にまみれてゐることを指すらしい。

 新國立歌劇場の公演は、ポネルの演出故、安心して見られる反面、最近の奇抜なものに見慣れた目には物足りなさを感じてしまふ。その上、ロッシーニはコロコロと轉がるやうに装飾を附けた旋律(コロラトゥーラ)が随所に出て來るので、緩急自在に操れる指揮者と、主要登場人物のアンサンブルが噛み合ひ、明るい喜劇にならないと非常に退屈する。喜劇の方が演技力を求められる。

 男声合唱はまとまりもよく、さすがだった。デイヴィッド・サイラス指揮の東フィルは、可もなく不可もなし。もう少し疾風の如く前に進んで欲しかったが、まあ足を引っ張るでもなく、身構えてロッシーニを聞くもんぢゃないと云はれてゐるやう。

 チェネレントラ(シンデレラ)、主役がメゾソプラノと云ふのは珍しい。ヴェッセリーナ・カサロヴァは声質が重いので、衛星放送で見たチューリヒ歌劇場の《カルメン》のやうな氣性の激しい女性役は似合ふが、輕快感が賣りのロッシーニでは、彼女の良さも引き出されず、威嚴があり過ぎて浮いてしまふ。
 それに對して、理想の花嫁を求めて身分を偽って従者に扮したドン・ラミーロ王子役、アントニーノ・シラクーザは
演技はおとなしいが、第二幕の前半は彼のの獨壇場となり、途中詠唱(アリア)をアンコールで歌う程、美聲を艶やかに放ち、見事な高音で観客を沸かしてくれた。
 初めて觀る歌劇として、樂しめたが、カサロヴァの突き出た顎が一番氣になつてしまつた。


|

« アルマ | トップページ | 2作目完成 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/41030/30152922

この記事へのトラックバック一覧です: 灰被り娘:

« アルマ | トップページ | 2作目完成 »