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2009年9月28日 (月)

シェイクスピア

 文樂東京公演第三部《天変斯止嵐后晴(てんぺすとあらしのちはれ)》を觀ゆ。坪内逍遙譯のシェイクスピア原作『テンペスト』を中世の日本に舞臺を移し、義太夫節を附け、人形淨瑠璃にしたもの。

 第一幕〈暴風雨〉では、舞臺正面に六人の太棹三味線猛者が並び、十七絃琴と共に厚い音量を奏で、御簾からは樣々な効果音を用いて表す。大海の孤嶋より、阿蘇左衛門藤則(あそさえもんふじのり=プロスペロー)の術に因りて大嵐となり、敢へ無く御座船は沈没し、自らを陥れた弟の刑部景隆(けいぶかげたか=アントーニオ)、隣國城主、筑紫大領秋實(つくしのたいりょうあきざね=アロンゾー)、嶋流しの際に情けを掛けてたる恩人、日田権座衛門(ひだのごんざえもん=ゴンザーロー)が流れ附く。呪術を使ふ阿蘇左衛門の策略で、娘美登里(ミランダ)と筑紫大領の嫡男、春太郎(ファーディナンド)は戀に落ち、仇討ちではなく改心させて皆幸福なる結末を迎へる。

 チャリ場では携帶電話も出て來るし、力持ちの話では朝青龍の名も擧がり、家族連れ、子供向けの仕上がり。されど、音曲に無理多く、努力は認めるも古典に親しむ者には疑問に思ふことあり。千歳大夫は顔ばかりで聲枯れて聞き取れず悲惨、呂勢大夫は清治の援護にて好演、久し振りの文字久大夫はそつなく、抜きん出でたるは咲甫大夫の美聲なり。人形遣ひは主遣ひも顔出さず、全て黒子。愉快とも言へぬものの、樂しめり。

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