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2009年10月15日 (木)

新版畫

Hasui_2 大正時代に入ると傳統的な浮世繪技法により、木版畫で風景、美人畫、役者繪、風俗を描いてをり、世界的な蒐集家であつたロバート・ムラー・コレクションの里歸へり本邦初公開作品群が江戸津教博物館で公開されてゐる。題して「蘇へる浮世繪 -麗しき大正新版畫展」である。

 誇張された江戸時代の繪よりも、餘程こちらの方が親しみが沸く。例へば「雪の芝増上寺」を描いた川瀬巴水の作品は1929(昭和4)年のツェッペリン伯號が東京府上空を横斷した年に描かれてゐる。橋口五葉の「髪梳(クシケズ)る女」1920年(大正9)年は技術の進歩も感じられる程、髪の毛1本1本描き混まれ細かいのに風情が感じられる。また、笠松紫浪「雨の新橋」1935(昭和10)年には正面に今は無き天麩羅「天國(テンクニ)」の舊舎が描かれ、建物を知つてゐる者には郷愁を誘ふ。或ひはフリッツ・カペラリ「藍と白」1916(大正5)年は古磁器屋の店先で朝顔の蔦を絡ませる紐を結ぶ店の若い者とふと足を停めた和装の女性が描かれてゐるが、これなどはわたせせいぞうのイラストを彷彿とさせる色遣ひで類似點を發見して、妙に嬉しくなつた。伊藤親水も随分と新版畫を手掛けてゐたことも知る。懐かしい昭和に出逢ふ展覧會であつた。

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