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2009年10月29日 (木)

すき燒に合ふワイン

Tanakawine ワイン雑誌『ワイナート』の主筆であり、日本橋濱町ワインサロンを主催する田中克幸さんのワイン會がすき燒今朝で開かれた。は齒に衣着せぬ辛口論評で定評のある田中さんがどんなワインを合はせるのか興味津々であつた。以前から酒精強化ワインのシェリーやオロロソが合ふとおっしゃってゐたのだが、アルコール度數の高いこれらのワインは食中酒に向かない。最初から最後まで飲むには疲れてしまふだらう。

 まづ、すき燒に就いて、語源、日本人の肉食、牛鍋とすき燒の違ひ、日本の肉食の歴史、今朝の由來、すき燒の食材等ざっくり解説した後、すき燒とワインの絶妙な組み合はせを探る講義に入つた。すき燒のどこに注目してワインを合はせれば良いのか。和牛の脂、蛋白質、醤油、甘味と主たる成分を鑑み、味はひの廣がりに合はせなくてはならず、重心が揃はなければ反發してしまふとのこと。すき燒の丸く重い味はひには

 1. 2006 「シャトー・レキュイエール」    ポムロールの柔らかいメルロー
 2. 1995 「オルネライア」    熟成した伊太利のカベルネ・ソーヴィニヨン
 3. 1990 マルセル・ジュージュ 「コルナス」キュヴェC    熟成したシラー 
 4. 1998 ピエール・ダモワ 「シャムベルタン」   熟成したピノ・ノワール
 5. 2003 アルベール・ボクスラー 「アルザス・グランクリュ・ゾマーベルク ピノ・グリ」
 6. 1989 ジャン・ノエル・ガニャール 「バタール・モンラッシェ」 長期熟成シャルドネ
 7. 1995 アルヴァロ・パラシオス 「レミタス」 西班牙産グルナッシュ
 8. エル・マエストーソ・シエラ 「オロロソ」 西班牙の酒精強化ワイン

がよいと考へられ、ワイン用小型冷藏庫もお持ちになり、嚴かに試飲が始まる。ワインの説明が終はる頃に愈、すき燒〈竹〉だが、リブロース肉に腿肉のカメ、イチボ、シンシン、内モモと部位を比べ乍ら、玉子も附けずそのままであつたり、潜らせてみたり、一口食べては飲み比べ、幾通りも試してみた。

 1番は意外とタンニンが際立ち柔らかく感じず、逆に力強いのは一見柔に見える4番であり、ロース肉と玉子に負けない力を備へてゐた。
 ロース肉は脂身の甘みが強く、モモ肉は赤身が多い分牛肉らしく感じる中、意外と2番が貢献してどれにも合ひ、3番は椎茸に合ひ、燒豆腐と4番は合はず、5番は葡萄のべったりとした甘味が邪魔をし、6番は古酒のシャルドネにも拘はらず酸味が浮いて全く合はず、單體で飲んだ方がよかつた。7番は千住葱に合ひ、肉の味を引き立ててくれ、8番も確かに無難に合ふがアルコールが強くて疲れてしまふ。春菊の青臭さは強烈でどのワインよりも風味が勝ってしまつた。

 結論としては、最良のコンビはなく、それぞれ一長一短、熟成したブルゴーニュの赤が一番外れない。併し、誰もが註文できるやうな代物ではないのが痛いところ。ご飯、赤出汁、香の物をお出しして、最後に自分の秘藏してゐた2004年産新西蘭、アタランギの「ボトリティス・リースリング」を振る舞ひ終了した。大きく外れなくても、肉の部位よつて合つたり、合はなかつたり、野菜とはとんでもない組み合はせで口の中で驚いたり、とてもよい經驗となつた。    

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