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2009年10月16日 (金)

師弟

 新版畫の展覧會は今月は他にもあつて、小石川に在る個人美術館、礫川浮世絵美術館に足を運んだ。「小林清親と土屋光逸 -師弟による明治の面影木版畫展-」と云ふ矢張り明治の終はりから昭和に掛けての新版畫展なのだが、住み込みで師匠の家に入つて雑事をこなし、なかなか畫家として一本立ちできなかつた土屋光逸の作品の數々を見られた。このやうにまだ埋もれた人は大勢居るのだらう。師匠に比べると暗ぼったく陰氣な感じがする夜景が多いが、東京風景シリーズ 1933(昭和8)年の「銀座の雨」、「日比谷の月」、「増上寺の雪」、或ひは「牛込神楽坂」1939(昭和14)年は見知った懐かしい風景ばかり。
 「増上寺の雪」は川瀬巴水の同題 1953(昭和28)年に比べると、重いぼた雪がつもった感じで、吹雪いて寒々してゐる巴水とはだいぶ趣を異にしてをり、戰前と戰後と云ふ20年の隔たりはあるものの、捉へ方が違つて面白い。碧さはコバルトなのだらうか、色を幾重にも重ねて表現する木版畫も愉快この上ない。

 今回の展示作品は土井利一さん個人の蒐集品150枚の内の何枚かだと云ふ。どの道にもマニアは居るもの。それをまた個人美術館で開くので靜かでいい。

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